from_headz

主にダイハードテイルズ関連を追うアカウントフロムソフトウェアも好きなのでそっちも書くかも

from_headz

主にダイハードテイルズ関連を追うアカウントフロムソフトウェアも好きなのでそっちも書くかも

マガジン

  • その恋は光を超えて

    FGOのCCCコラボイベント「深海電脳楽土SE.RA.PH.」の前日譚となる物語

最近の記事

おおきな花嫁

注意、この短編はFGO「キングプロテア」の絆礼装とマテリアルVIIIのネタバレを含みます。  -----  キングプロテアという少女がいた。言ってしまえば、彼女は平凡でどこにでもいるような愛を求める少女である。包帯を巻いた痛々しい姿だとか、床まで届く長い長い髪といった特徴から想像されるような病床の少女像に反して、彼女は活発に遊びまわり沢山食べる子供である。愛してくれる誰かに撫でてもらう幸せを求める少女である。「お嫁さん」の意味もわからないまま、お嫁さんになり可愛がってもら

    • メルトのお風呂

       これはある日のカルデアのマスターの話である。この日もマスター、藤丸立香は彼にとっての日常を過ごしていた。それは短くも激しい人理のための出撃の合間を占める、地味だが大変な訓練と座学の日々である。  そんなある日のこと、訓練を終えた藤丸立香はとても疲れていた。寝る前の皆への挨拶も済まし、マイルームの扉を開ける。そうすると、熱々のお湯が沸かされたバスタブがそこにあった。 「どうして。」  カルデアのマイルームは機能的だが、バスタブは設置されていない。つまりあからさまに怪しい。しか

      • マスターがメルトリリスの髪を解く話

        ルルハワの騒動も終わり、特異点が解消されるまでの束の間のこと。藤丸立香はあてどなくビーチを散歩していた。ルルハワの真っ白な砂浜に真っ青な空と海、そしてそれを求める人やサーヴァント。当然混み合っていてしかるべきなのだが…何故かぽっかりと人のいない領域があった。いや、よく見ると中央あたりに誰かがいる。パラソルを立てて、デッキチェアに寝そべる誰か。金属製の脚はまぶしく日光を反射し、そしてガラス質にも見える部分は陽光に照らされきらめいていた。 「どう考えてもメルトだ…」 そう呟

        • メルトリリスがマスターの体内で戦う話

          (これまでのあらすじ。人理漂白後も微少特異点は発生し続ける。その修正のために奔走するマスター藤丸立香はしかし、この地を守ろうとしたキャスターをの死力を振り絞った反撃を受けてしまい…) 明滅する視界。バイザーを上げながらこちらを振り返り何かを叫ぶマシュ。その踵で首を刎ね、トドメを刺すメルトリリス。それを最後に意識は一度閉じた。 ・・・ 「先輩、起きてください…先輩!」 マシュの必死な声に意識を覚醒させる。起き上がろうとするが力が出ない、身体から活力を丸で感

        おおきな花嫁

        マガジン

        • その恋は光を超えて
          12本

        記事

          「その恋は光を超えて」創作覚書

          「その恋は光を超えて」を書くときに気をつけたこと、感じたことを書く。 キャラクター数は増やしすぎない。技量がないなら味方二人と敵一人くらいでも手一杯になる。特に今回はパッションリップという話せないキャラクターが一行にいるので非常に動かしにくかった。話すことができないと舞台装置に徹することになってしまうので、話す以外の感情の動きの表現が必要かもしれない。 多数のキャラクターを出して多様性を出しながら会話に参加する人数を制限するために決闘、負けた方を退場させるという方式は便利で

          「その恋は光を超えて」創作覚書

          その恋は光を超えて エピローグ

          エピローグ その恋は時を超えて 残ったのはすでに語られた物語。過去に辿り着いたメルトリリスが月から派遣されたというBBと知識を共有し、殺生院キアラに向けて対策させたこと。初期化したもう一人の自分を壊したこと。藤丸立香がやってくるまでの下準備など些末なことである。 自分の経験とはまるで違う「もう一回」の冒険。全ての思い出は輝かしく…そして。 正真正銘、最後のパラディオンの槍としてキアラと刺し違える。メルトリリスはそのつもりだった。しかし変わり果ててしまった/何も

          その恋は光を超えて エピローグ

          その恋は時を超えて #8

          第8話 刻を裂くパラディオン 強敵、アルトリア・ペンドラゴンに対してパッションリップとメルトリリスは二人の合体宝具、ヴァージンレイザー・パラディオンで対抗し撃破する。そして狂った聖杯戦争の勝利者である彼らはBBに転送され、謎の尼僧と対面する。 --------------- 「初めまして、勇敢なマスターさん?」 蕩けるような声色、すこし油断しただけで骨の髄まで蕩かされそうな色香。魔性としか言いようのない尼僧が目前に立っていた。だが藤丸はかろうじてそれを振り切る。 「

          その恋は時を超えて #8

          その恋は光を超えて #7

          第7話 偽りのフィナーレ ついに管制室へとたどり着いた一行はセラフィックスの構造を把握する。かつての性能を取り戻したメルトリリスと共に探索する中で、彼女は藤丸への恋をを告白、必ず守るという決意を新たにする。そして探索の果てに彼ら一行は最強のサーヴァントと対峙することとなる。 ----------------------------- 生き残るため、カルデアに帰るためメルトリリスとパッションリップと共に数多くの英雄を殺し尽くしてきた。次で最後だ、そんな予感があった。そ

          その恋は光を超えて #7

          その恋は光を超えて #6

          第6話 かつて敗れた魔のオディール 道中、マスター藤丸立香と二人のサーヴァント、メルトリリスとパッションリップはエリザベート・バートリーと遭遇する。生存者から搾り取った血液により力の増した彼女は、メルトリリスへの嫉妬と羨望を叩きつける。しかし三人の連携の前にエリザベートは倒れた。 ------------------------- 長い道のりだったが、ついに管制室へと辿り着いた。確かにこの周辺は変質していない、比較的安全なエリアのように思えた。 「周囲に敵の気配

          その恋は光を超えて #6

          その恋は光を超えて #5 後編

          第5話 悪竜のエトワール 後編 「あら、家畜の分際で私のブラッドバスに入ろうだなんて。」 ゾッとするような殺気と、聞き覚えのある声。エリザベート・バートリーがそこにいた。 「そして久しぶりねメルトリリス。貴女を串刺しにしたらこの頭痛も少しはおさまるかしら?」 ---------- エリザベート・バートリー。彼女は確かに悪逆を為したが、カルデアにいた彼女は本当に歌うのが好きな少女だった。事実としては理解できても実感は湧かない、だが間違いなく無辜の人々を磔にして

          その恋は光を超えて #5 後編

          石ころの夢

          それは何者でもなかった少女の見た夢、永遠に胸を焦がす想いだった。 ------------ 「まったく信じられませんよセンパイ、自分で言うのもなんですけど、頭おかしいんですか?」 「急にマイルームに現れたと思ったらいきなり何を!?」 いつもの調子でこの後輩系小悪魔AIを自称するBBは藤丸立香に話しかける。セラフィックス事件(といっても憶えているのはBBと藤丸だけであるが)以降カルデアでしょうもない悪戯の限りを尽くしていた。 「こんな破綻して、小悪魔で、どうしようも

          石ころの夢

          その恋は光を超えて #5 前編

          第5話 悪竜のエトワール 前編 管制室へと向かった藤丸とメルトリリスはしかし、門番と思われる少女と遭遇する。拘束され、狂乱するアルターエゴ、パッションリップとの戦闘にメルトリリスは優位に立ったが、悲鳴をあげる彼女を心配し堪らず藤丸は制止する。そんな藤丸に何かを感じたパッションリップは戦闘を停止し、供に行くことになった。 -------------- 管制室への道が断たれ、メルトリリスとパッションリップの負傷もあって拠点の教会まで帰還した。パッションリップは器用にその

          その恋は光を超えて #5 前編

          その恋は光を超えて #設定集

          本編中の描写や設定に関する補足説明。独自の解釈なども含む。随時更新します。 CCCや深海電脳楽土イベントの用語は注釈なしで使います。 1話 メルトリリスは初期化されているため性格面はオリジナルのBB・桜(Fate/EXTRA CCC)のものに近くなっている。そのため物腰は丁寧で、受容的、献身的。AIとして誰かの役に立つことを望んでいる。 しかし桜そのものともまた違うパーソナリティは持っており、特に戦闘用に作られたAIであるというのが色濃く反映されている。 2話 カルデア式

          その恋は光を超えて #設定集

          その恋は光を超えて #4

          第4話 まどろみのサロメ 藤丸とメルトリリスの二人は管制室へと向かう途中、セイバー鈴鹿御前との遭遇戦にもつれ込む。宝具の撃ち合いの末に勝利した二人だったが、消耗が激しく一度拠点の教会まで撤退するのだった。 ------------------ 勝ったというのにメルトリリスはまたしても落ち込んでいた、曰く「本来の私は戦闘用に作られていた、あの程度のサーヴァントは貴重な令呪など使わずに一蹴しなければいけなかった。」「守ると誓ったのにマスターを危険に晒してしまった」

          その恋は光を超えて #4

          その恋は光を超えて #3 後編

          第3話 湖面に舞う黒きオデット 後編 「おはようございます、マスター。よく眠れましたか?」 メルトリリスの呼びかけで目覚める。居場所もよくわからず、危険と隣り合わせの場所で眠りこけられるのは慣れのせいか生来の呑気さか、ともかく藤丸立香はぐっすりと眠れていた。 「ううん、おはようメルトリリス。先に起きてたのかな。」 「私たちAIは眠る必要がないんです、何よりここはまだ危険ですよ?見張りは必要です。」 そう言われると確かにその通りだ。しかし申し訳ないと思ってしまう。

          その恋は光を超えて #3 後編

          その恋は光を超えて #3 前編

          第3話 湖面に舞う黒きオデット 前編 カルデアのマスター藤丸立香は華奢な身体に似合わぬ異様な脚を武器とする少女、メルトリリスと契約した。遭遇した鎧の武人、英雄ヴラド公との遭遇戦に彼らは辛くも勝利した。 -------------------- 「マスター!私、すごく心配したんですからね!」 令呪一画を消費して、奇襲でなんとか強敵ヴラド公を倒したはずなのに、怒られている。なんで? 「なんでじゃありませんよ。『俺は毒は効かない体質らしいから、たぶんメルトウィルスも平気だ

          その恋は光を超えて #3 前編