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23年後のサイン本完成~「魂の叫び J2聖戦記」

23年前、ベストセラーとなった一冊の本があります。
「魂の叫び J2聖戦記」
スポーツライターの金子達仁さん、戸塚啓さん、そして当時川崎フロンターレの選手でスポーツジャーナリストをはじめ様々な肩書を持つ中西哲生さんの共著です。

この本は、川崎フロンターレというチームが結成されJFLに加盟した1997年からJ2リーグに参戦した1999年までのJ1昇格までを記した物語です。
私がフロンターレを応援し始めたのは1999年でした。
当時、川崎をホームタウンとするチームとしては、ヴェルディ川崎がありましたが、あまりホームタウンを大事にする姿勢が見えないというか、川崎から出ていきたい感が強く漂っておりどうしても応援する気になれませんでした。
そうした中、Jリーグが2部制になった1999年、J1の下の下部リーグとしてJ2ができ、そこに川崎を本拠地とするもう一つのチームが参戦することになったので応援してみたいという気持ちになったのです。
それが、川崎フロンターレだったのです。

1999年、等々力競技場に通いました。
いつ行ってもガラガラなスタンド。いかにも下部リーグという感じのどこか牧歌的な雰囲気であり、そんな中懸命に戦う選手を応援するというのは、それはそれで良かったように思います。
合言葉は「みんなでJ1」。
フロンターレにとってJ1昇格は悲願でした。
そんなチームを牽引したのはキャプテンの中西哲生。背番号は14番。この番号がフロンターレの特別なレジェンド番号となったのは中西選手が付けていたことが始まりです。その後、長きに渡り中村憲剛選手が付け、今シーズンから脇坂泰斗選手が付けています。

そして、フロンターレは1999年のJ2リーグを制し、ついに念願のJ1昇格を果たし、2000年からJ1リーグで戦うことになりました。
この「魂の叫び」は、1999年末に出版されたものです。
当時、フロンターレの知名度は地元川崎においてもかなり低く、2部リーグということもあり当然メディア露出も少ないのですが、そうした中、まだSNSなどほとんど存在しなかった時代、中西選手はブログを通じて試合ごとに選手目線で様々なことを発信してくれました。本当にありがたかったです。その内容もこの本に収録されています。

当時20代も半ばの私でしたが、この本の出版は嬉しく、すぐに購入。J1昇格までの様々な出来事を振り返りながら2000年シーズンに迎えるJ1でのフロンターレはどんな戦いをしてくれるのだろうと楽しみに待つ日々を過ごしていました。

ところが、2000年、フロンターレはJ1で戦うために大補強を行い、蓋を開けてみると、スタメンは新しい選手ばかり。1999年に昇格に貢献したメンバーがほとんど試合に出ないという状況が続きました。
それでも、補強の効果で勝てれば良いのですが、チームとしてうまく機能せず、外国人選手も皆半年で退団し入れ替わり、監督も1シーズンで2回交代するなど、結果的にJ1最下位となりわずか1年でJ2降格となりました。
その中でもショックだったのは、怪我でもないのに開幕戦にキャプテンだった中西哲生がスタメンにもベンチにもいなかったこと。要するにユニフォームは同じでも全く違うチームになってしまったということです。
上手くいかないチームは試行錯誤でスタメンの選手を入れ替えて使っていく中でしばらく経ってからようやく中西選手がスタメンで登場することとなりましたが、それも長く続かず、中西選手はこのシーズンで現役を引退することとなりました。

あれから、22年、中西さんは、今でも川崎フロンターレ特命大使として、フロンターレに大きく関わってくれています。
そんな中西さんとお話しし、本にサインをもらうという願望が先日叶いました。23年越しです。
本を手にとって「おー、久しぶりに見た~。この本売れたんですよ!」と仰っていました。
1999年に買った本に2022年にサインを貰う。そんなことから日付の記入もお願いしました。

サインに日付を入れてもらいました

1999年シーズンのホーム最終戦のセレモニーで中西さんでキャプテンとしての挨拶で発した言葉です。「スポーツ不毛の地である川崎ですが、川崎フロンターレは必ず川崎に根付きます。」
かつて大洋ホエールズが出ていき、ロッテオリオンズが出ていき、ヴェルディも出ていった川崎。
しかし、今や川崎フロンターレは川崎の地域密着チームとして完全に根付いたといえるでしょう。
23年前にレジェンドが発した言葉が実現され、そして「みんなでJ1」から23年。J1優勝が当たり前の強豪チームとなりました。本当に隔世の感があります。

若かりし頃に買った一冊の本。私のフロンターレサポーターとしての原点です。著者のサインをもらったのはすっかりオッサンになった今ですが、これからも宝物として大事にしていきます。

長文お読みいただきありがとうございました。

本を持って撮影に応じてくれた中西哲生さん。
「写真は自由に使っていいですよ」と仰ってくれました。(本当はツーショット写真ですが)
中西さん、ありがとうございました!



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