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小説|十字に光る月の話

ある日の 夕暮れ時のこと
窓を開け
ぼおっと外を眺めていたら 突然

お疲れ様っ

と声をかけられた
辺りには 人っこ一人いない
驚いて 空を見上げると
十字に光る月が
にこにこと こちらを見ている

いやあ
くたびれたね
今日も 良く 働いたね
働くっていう事は
旗を楽にして行くんだってね
良く良く楽にして戴けたね
いやあ 良かったね

こうこうと笑う月は 
左上が随分と欠けていた
欠けた部分は 朧になって
宵の青と 深い雲をぼわっと纏っていた

誇らしげな 月の笑顔に ふいに
何をか思い出した私は
徐ろに ポケットを探しはじめた

近頃は お洋服にポケットは付いていない
サコッシュ等を 使うのだ
私のサコッシュには
小さな手帳が入っている
手帳のカバーには
ミケ猫が音符に合わせて
楽しそうにダンスをしているのだ

私が手帳を開くと

きゃははははは

月は 大層愉快に 笑いながら
みるみる 空から剥がれだし
すぃっと
手帳の中に 入ってしまった

月のいなくなった空は 大慌てで
一気に真夜中のドン帳を降ろしたものだから 
さあ大変
街中が大急ぎで 一瞬で皆んな寝静まってしまったのさ

ホラ
その寝息が 音符になって
私の手帳のカバーの上に
ミケ猫達と 踊っているのさ

実に 楽しそうだろう?




*



小牧幸助さんの企画に参加させて頂きます。ぴったり500文字です♪


こちらもステキです^^



今日も、良い一日を♪



9/24追記

作中に出てくる手帳はdot.さんmikepunchさん音楽帳工房さんのコラボの

こちらの手帳がモデルになっています♪ 

私のバッグにいつも入っているのですけれども、お月様のあんまり綺麗な日なんかは、バッグの中で一緒に踊っているんじゃないかと思うくらい、楽しいんですよ^^

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