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大仏と愉快なインド人と。 #奈良街歩き

奈良に1泊2日の1人旅に行ってきた。
総歩数6万歩。ひたすら歩き大仏巡り。
先に書きますが、長いです。

1日目。
朝起きて、近鉄で橿原神宮に行く。
橿原神宮は神武天皇が約2680年前に建立した日本最古の神社らしい。
橿原神宮前駅で下車して、約20分歩くと橿原神宮に到着。

雨の中、橿原神宮

途中から横殴りの雨になり、傘は逆向きになってしまう。1人で思わず笑ってしまいながら、本殿まで進む。ちょうど、七五三参りをしている家族が何組かいて、子供たちもこんなに寒いのに着物を着て大変だよなあと思う。「早く帰りたいよ~」と子供たちの切実な声が聞こえた。本殿の入り口までしか入ることができなくて、祈念台帳があったので、自分の名前を書いて、健康と幸せを祈願してきた。晴れていたら周囲を回ってみたいと思っていたが、雨が強いので、そのまま今井町まで歩いていく。橿原神宮の外苑に沿って40分ほど歩くのですが、道中に陸上競技場やスポーツアリーナがあって、明治神宮と似ているなと感じた。他にも持統天皇の古墳があったり。こんなに大きい橿原神宮の管轄が宮内庁と書いてあって、宮内庁も大変だなと思いつつ、ここで働けば宮内庁職員の肩書になるのか?と思った。なんか、名刺に宮内庁職員ってかっこよくない?

今井町はググった時に出てきた酒造が目的だったのですが、到着してみると試飲できる雰囲気でもなく、少し見学して退散。
他にも醤油蔵や昔ながらの長屋が沢山あり、晴れていたら楽しいだろうなと思う。
段々、とにかく寒いのと休憩したい気持ちからカフェやレストランを探し始めた。しかしどこも閉じている・・・。
と、思った矢先に開店中のカフェを発見。
入ってみるとリタイアされた老夫婦が営んでいる古民家カフェだった。
今日のランチがパクチーたっぷりのジャーマンポテトとチキンのトマト煮込み。
ああ~~パクチー絶対美味しい・・・と思いながらチキンが苦手なので、リンゴのケーキとコーヒーを注文した。
待っている間は奥の部屋の写真展を眺めたり、他のお客さんや店主と話していた。
話を聞いている感じ、他のお客さんは常連そうな雰囲気。
ちなみに店主夫妻は元々東京に住んでいて奈良に移住してきた。
学生の頃に使っていた京王線の地元トークをしてしまう。
奥様が法事の関係で京都に来た時、時間も余っているからと奈良に足を延ばしたんだけど、その時に寄ったのが今井町で、その雰囲気に魅了されて、帰宅後に旦那さんに移住を提案。リタイア後は古民家カフェをしている。
奥様の行動力の素晴らしさと、それに付いてきながら楽しんでいる旦那さんの愛情に微笑ましさを感じた。
今は古民家に住んでいることもあり、大学の同窓会で今井町の建築についての紹介パワポを作成中。
一部を見せて頂いたが、趣味にしては詳細で読み応えのあるものだった。
街歩きのことを話すと今井町の歴史や観光名所について解説もしてくれたり。
りんごケーキはバターたっぷりの素朴で甘い美味しいケーキだった。
おばあちゃんとおじいちゃんに会った時のような懐かしさを感じながら、つい長居をしてしまった。
思いがけず、素敵なお店を見つけたことに感謝して、その後は飛鳥村の方に向かう。

素朴な雰囲気に心身共に癒される

飛鳥村は橿原神宮前駅から徒歩30分のところにある聖徳太子の出生地と日本で一番古い大仏がある飛鳥寺がある。大化の改新で蘇我入鹿が首を切られた跡地もある。
中々多くの観光スポットがある割に駅から遠いこともあり、中々観光客はいなかった。
駅から15分も歩くと、田舎の景色で山と田んぼ、トラックが行きかう。
午前中の雨が上がった空は青くて、雲が綺麗だった。
空気が澄んでいて、息を吸い込みながら歩く。
ただ、街灯もなければコンビニもないので、陽が落ちる前に駅に戻らないといけないなと気に留める。

明日香村は、思ったより田舎

飛鳥寺は大仏が顔が少し横を向いていた。
それは当時、飛鳥にあった五重塔を向いていたらしい。
本堂があるだけのこじんまりしたお寺で気持ちが落ち着く。
飛鳥寺を後にして、少し歩くと聖徳太子の生誕地があった。
ここで聖徳太子が本当に生まれたのならば、この景色と音を感じたはずだ。
偉人に関係のある土地に行くと、すぐにそんな気持ちになってしまう。

ギリギリ時間が間に合いそうだったので、高松塚古墳の壁画を見に行く。
教科書で見た壁画だ。
これまた山のふもとの入り組んだところにあった。
確かに壁画だからアクセスが多少悪いのは当たり前なんだけど。
実物を目の前にすると教科書のそのまんまで感動した。
だた、壁画の中で折り畳み椅子を持っている絵があって、この時代に折り畳み椅子はあるのか?とそこは疑問に思ったけど。
年間パスポートとかアクスタがあって、面白いなと思った。
確かにお散歩コースにちょうどいいし、近所に住んでいたら年間パスポートが欲しくなる気持ちも分かる。

教科書で見たやつだ!(撮影ok)

その後は宿泊するゲストハウスがある奈良駅に帰る。
約1時間電車に揺られる。

奈良駅に到着すると想像より多くの外国人がいた。
渋谷とか難波より多い体感。
やっぱり古都には魅力を感じるのは万国共通。
せんとくんが迎えてくれる。せんとくん可愛い。
ゲストハウスに到着すると、ご主人が迎えてくれた。暖房が心身に染みる。
簡単に使い方の説明を受けて、部屋を案内してもらった。
ゲストハウスだけど、1人部屋。
和室でおばあちゃんの家のそのままだ!
荷ほどきをして、軽く休憩をしたら、夜ごはんを求めて散策。
本当はレビューの高かったうどんとおでんのお店に行きたかったのだけど、満席で待ち時間も長そうだったので、2つ目に目星をつけていたおばんざいのお店に行く。

おばんざいからオムレツとぶり大根と南蛮漬けを選ぶ。
ぶり大根の味が染みていて美味しい。隣の家族連れと何となく会話が始まる。
新潟の長岡から関西に旅行にきているそうだ。
息子さんが20前後くらいの3人家族。
何とこのお店に20年ほど、年1回のペースで通っているらしい。
マスターも気さくな人でみんなで話した。
自分が千葉出身であることを話すと奥様が房総に来たいみたいなので、軽くプレゼンしてきた。千葉は海鮮が美味しいので、来てほしいですね。是非。
やっぱり日本海と太平洋では採れる魚が違う。
インド人街目当てで葛西には来た事ありますよ、と絡んできた息子も中々キャラが濃い。
だけど、子供が大きくなっても家族旅行できるのって幸せだよなあ、と思った。
退店する時も「気を付けてね!またおいで」とマスターがお見送りしてくれた。ありがとう。

元々、ならまちには銭湯が多いので、帰りに寄った。
まさかの銭湯の中にカラオケやフリーマーケットスペースのある昔ながらの銭湯。
地元の小学生が作成した地域新聞が飾られていたり、地元に愛される感がたっぷり。先に浴場にいたおばあちゃんと天気のことなど他愛のない会話をして、湯舟に浸かる。沢山歩いた足を癒してくれる。

ゲストハウスに帰るとリビングで宿泊者たちとオーナーが酒盛りをしていた。
今日の宿泊者は長崎から1人旅中のおじいちゃんとベルギーから1か月旅行中の女性。受験校に迷う母娘。
オーナーは某大企業を退職後にこの古民家でゲストハウスをしている。
英語も話せて、延べ90か国の人が泊まりに来たそうだ。南アフリカからも!
確かに駅から近いし、古民家で、タイミングが合えば1人部屋もあるなら、泊まりたくもなる。
ベルギーのお姉さんは友人が東京で働いているので、そのタイミングで遊びに来たそうだ。
広島、関西、そして翌日関東へ行く。
彼女が広島のことを「strong city」と表現してくれたことが嬉しく、感嘆した。確かに広島はこの表現が合うし、リスペクトを感じられる。
ベルギーには小便小僧がいるので、そこに行きたいんだよね~って話をした。
デンマークの人魚姫像、シンガポールのマーライオン、ベルギーの小便小僧は世界3大残念像と言われていますが、あと小便小僧に会えれば制覇できるのです。
小便小僧君は世界中のデザイナーから提供されて365日毎日服を着替えるお洒落シティーボーイらしい。
彼女は姫路城にも行って、その時に悲しいお姫様のビハインドストーリーがあるよねって話をしてくれたんだけど、一度行った私は思い出せない。
彼女の話を聞きながら、思い出していくと、合点したので「i remenber it」と思わず叫んでしまった。簡単に話すと姫路城の中の井戸に処刑されたお姫様が落とされたのです。
端っこにある説明をよくお姉さんも覚えているなと思ったし、よく英語が話せても知識がないと意味がないと言われることが分かった。
知識がないとそれに関する意見とか感想も言えないし、会話のラリーができないのですよ。

母娘は東京から来ていた。
娘さんが中高でコロナのため、修学旅行がなく関西にこれなかったので、連れてきてあげたかった。地元の人の話が聞きたいのでゲストハウスを選んだらしい。
愛情ってこういうことだよなと感じた。
否、私自身も両親に幼少期沢山旅行に連れていってもらって、その時の経験とか感想が今の自分を形成していると思うからだ。
長崎から来ていたおじいちゃんも話していたが、歳をとってからの旅行と若い時の旅行は得るものも感じるものも大きく異なる。
若い時の体験は何にも代えられないものだ。
たまたま、娘さんの行きたい学部と話をしている限り学力が私の弟のそのものだったので、弟の大学と学部をお伝えした。
たまたま、その大学は見ていなかったそうで、理系の割には女子生徒も多く都心にキャンパスがあることも話すと、興味を持ってくれた。
これもお母様が娘さんを関西に旅行に連れてきた意味の1つになってくれたら嬉しい。

マスターに信州の日本酒をご馳走になって、ほろ酔い気分のまま就寝。

2日目。
頑張って7時に起床し、チェックアウト。
滞在時間は短かったものの、濃くて暖かい時間を過ごすことができた。
朝いちで向かった先は法隆寺。
柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺。
私の好きなJO1のメンバー河野純喜は法隆寺出身。今週ライブもあるので、神席祈願も兼ねてですね。

法隆寺も駅から30分ほど歩く。
駅前にはセブンがあるだけで、スーパーはない。商店街が続く。
朝の法隆寺は人が少なく、ランニングをしている人もいた。
朝日が五重塔に差し込んで、気持ちがいい。
何より法隆寺は敷地が広く、沢山歩いた。
ボランティア?勤務者かは不明ですが、案内をしてくれる人も多くいて、仏像の意味などを聞くこともできた。
私は単純な人間なので、大きいお寺や仏像を見るとテンションが上がる。
分かりやすいものが好きなのですよ。
教科書に載っていた仏像や展示物、絵画も沢山あった。


五重塔と朝日

そして、隣接する中宮寺にて、念願のアルカイックスマイルに謁見。アルカイックスマイルだけで入園料600円もする強気な価格設定。ただ、アルカイックスマイルはピラミッド、モナ・リザと並んで世界3大微笑と言われているらしい。中宮寺は奥にあるので、人もおらず、10分ほどアルカイックスマイルを眺めながら黄昏てしまった。心が満たされていく気がした。元々中宮寺は聖徳太子が母親のために建立したお寺らしい。そして、母親が亡くなった翌年に聖徳太子自身も亡くなった。今だと中々なマザコン扱いになるのかもしれない。

中宮寺は平成天皇皇后両陛下も訪問された有名な場所です。
ぜひ、朝に訪れて澄んだ空気と風の音を聞きながらアルカイックスマイルを堪能してほしい。
今まで祈りとか宗教とか、あまり分からなかったけど、初めて何かに救いを求める気持ちというか、支えにしたい気持ちが分かった気がする。
アルカイックスマイルを眺めていると、その達観した雰囲気と表情に自分の無力さと全てを受け入れることを覚える、そんな気持ちになる。

法隆寺駅から再度、奈良駅に戻り、興福寺と東大寺を目指す。
途中、柿の葉寿司を食べに160年前から営業している正宗に寄った。
開店直後に行ったので、他の予約客がおらず、大将が奈良の名産品や柿の葉寿司について、色々教えてくれた。

柿の葉寿司

柿の葉寿司は昔は保存食であったため、塩を多く使っており、今のようにぱくぱく食べるよりはちびちび食べるものだった。※保存料としての意味があるのは昨今話題のニュースからも分かります。ほうじ茶をかける茶漬けや奈良漬けも一緒に頂く。一番おいしかったのはおはぎだ。(お寿司のネタについては元々奈良は海が無いし、保存が目的なので、どうしても海に隣接する地域のお寿司の方が美味しい)柿の葉で巻かれていることで甘さを締めてくれる。お腹を満たした後はたまたま見つけた酒屋で奈良の甘酒を試飲。奈良は昔から神様がいたので、お神酒を作る必要があり、酒の名産地だそう。確かに合点。他にも沢山地酒が合ったのだけど、重たくなるので、また今度。

興福寺はもちろん、阿修羅像目的。
阿修羅像って何体かある仏像の種類の1つらしい。いわば複数人のアイドルグループの1人だけが爆売れしてしまったパターン?箱推ししてあげなよ~と思いながら、流石センターに展示されている。オーラがあった。
他の仏像も沢山展示されている。
展示されている国宝館が白、グレー、黒を基調としたインテリアでとても禅の雰囲気にあっていた。
煌びやかな装飾もいいけれど、素朴で奥行きのある禅って何となく心が落ち付く。法隆寺でも前述したが、自分自身がこれほど落ち着いたのが初めてだった。

見学後は奈良公園で鹿を横目に東大寺へ。
鹿は冗談抜きで本当に多くいた。ちょっと怖かった。みんな餌やりなんてしないで欲しい。だし鹿せんべいは栄養素ないでしょ。どこから鹿は栄養を補充しているんだよ。

奈良公園の鹿

東大寺は流石、有名なだけあって人の数が多い。
修学旅行生や外国人が多くいた。
仏像はとても大きかった。タイで見た寝仏像のワットポーに近いものを感じた。
記念スタンプを押そうとしたら、隣の外国人と譲り合いになっちゃって、
「この仏像まじで大きいよね。私日本人だけどこの仏像は今まで見たことない大きさだよ」って話したら、「そうだよね!やばいよね!」ボディーランゲージを添えて大きさを表現してくれた。
観光スポットとして、有名になるのは建立した聖武天皇の心情的にどう思っているか分からないけど、外国の人にも伝わる、この大きさ。
外国人からしてもこんなに大きな像でかつ、昔からあるものって無いだろうから、衝撃だろうな。などと思う。

東大寺の大仏

流石、東南アジアの観光客はひたすら身体を斜めにして腰に手を添えて、インスタ映えな写真に夢中で面白かった。
それにしても、東南アジアからの観光客が増えた。
よく言う日本は貧しくなったって言うけれど、今まで私たちが安いし、観光もできるからって言っていた東南アジアが、今は逆に日本は安いし、観光地が沢山あるから行こう、と思われているのだろうか。

まだ時間もあったので、少し足を延ばして春日大社に行った。
春日大社はもう登山。ひたすら山の中を歩く。気持ちは松尾芭蕉ですよ。古の旅人。
本堂を参拝したら疲れちゃって、早めに帰ろうと駅へ引き返す。
途中、韓国人ぽいお洒落な1人旅している人がいてかっこよかった。
いや、普通に顔もかっこよかったし、1人旅で奈良にくるのめっちゃクールだなって思った。

東大寺の入場券に東大寺ミュージアムチケットもついていたので、見学してみる。
正直足が痛すぎて、あまり記憶がない。なんと東大寺建立は当時の日本国内の人口の1/2が参加した国家プロジェクトだったらしい。
今で想像すると人口の半分でオリンピックのモニュメントを作るそんな感じ?聖武天皇の求心力が凄い。
千手観音菩薩像や木造の仏像が見れたり、見どころも多くあった。
正直、この辺の時代は詳しくなくて、高校時代の日本史を頼りに見学していたけど、それでも十分面白かったし、学ぶ意欲が搔き立てられた。

本当はもう少し回ってから帰るつもりだったけれど、想像以上に足が痛く疲れていたので、早めの帰宅をすることにした。
どうしてもうどんが食べたかったので、商店街のうどん屋を探して歩いていると、何やら怪しげな店員に絡まれる。
1人旅をしていると色々な人が絡んでくる。

その人は日本に何十年も住んでいるインド人で、うどん屋・居酒屋・カフェで働きつつ、京都大阪でゲストハウスをしている。
その人の父親がインドでゲストハウスを始めて、弟さんがインドのゲストハウスを運営されている。
インド人は本当に元気でバイタリティに溢れている。
実際、うどん屋も開店して10分程度でインド人おじさんの呼び込みもあり、満席になっていた。
最後に名刺をくれたのだけど、なんとバラナシ市の親善大使をしているらしい。
インドに行ってみたくなった。今度ゲストハウスのお手伝いにいこうかな。
気軽に来てね、いつでも連絡していいよ!と笑顔で返してきた。
インド人の元気とバイタリティに触れて、私の奈良初上陸の旅は幕を閉じた。

奈良の素朴な雰囲気。自然が豊かで、歴史が長く、建造物も沢山ある。
この雰囲気がとても居心地がよく、好きになってしまった。
また、来たい。奈良。
そして自分の旅を作るセンスに自画自賛してしまった。
正直、かなりセンスがある。

次は和歌山に行ってみたいなと思いつつ、年明けにイリチルライブついでに岐阜にいく予定。飛騨高山と白川郷。楽しみだ~~!

途中で秋の景色を感じた


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