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正しい行動は、適切なミッションを掲げているから導かれるものです。保身に走る行動につながるのであれば、ただ文章の美しい飾り文句でしかないのでしょう。[利益とは何か #20]

ミッションの価値は文章の美しさにあるのではない。正しい行動をもたらすことにある。

非営利組織の経営』第Ⅰ部 ミッションとリーダーシップ
第1章 ミッション p2より


本書で紹介されていたのが、ジョンソン・エンド・ジョンソンの「タイレノール事件」です。

想定外の事態が起こったとき、どういった行動をするかは、組織の存続を左右します。

「想定外で対応できなかった」としてしまう。
「われわれには過失はない」としてしまう。
「われわれも被害者である」と発言してしまう。
他にも、保身に走った発言はいろいろあるでしょう。

このタイレノール事件において、原因は明確にはなっていないそうです。
原因が明確かどうかは問題ではないんですよね。
起きてしまったことに対してどのように対応するか、です。

同社は、言い逃れすることなく、自主的な商品の回収を行い、できうる限りの手段を通じて情報公開をし続けました。
消費者、医師やその他関係者に向けて100万回ものプレゼンテーションを繰り返し行い、信頼関係を修復するために努めたそうです。
その「行動の指針となったのは、同社の企業理念である「クレド『我が心情』」の存在」と紹介されています。(同記事

自分が被害者だったらどう感じるか……、同社に対してどのように対応してほしいか……、何をもって真摯な態度を示されていると感じてもらうことができるか……、すべての根源としてクレドが効果を発揮したものでしょう。

良い企業理念、クレドとは、良い行動を促すものです。
ただのお題目ではありません。
飾っておけばいいものではありません。
その組織に所属するメンバーを行動に駆り立てなければ、企業理念として存在する意味がありません。

佐藤先生は、「意思決定と行動は、損得ではなく、ミッションに忠実かが問われます。したがって、ミッションを真に理解し、いかに行動のレベルを上げていくかが問われています。」(本書 p52)と補足されています。


管理しない会社がうまくいくワケー自分の小さな「箱」から脱出する方法 ビジネス篇ー』(アービンジャー・インスティチュート 著 中西真雄美 訳 大和書房)から、ホープ・アライジングというNPOの事例をご紹介します。欲しい、という切迫したニーズに何とか応えようと、きれいな水を何ガロン供給できたかを評価基準としていました。

エチオピアの農村地域で、孤児や危険な状況に置かれている子どもたちの援助活動に従事しているNPOです。
干ばつ地域における「きれいな水」が欲しい、という切迫したニーズに何とか応えようと、きれいな水を何ガロン供給できたかを評価基準としていました。
現地のニーズには応える努力はしてきたものの、自分たちの活動がもたらした「影響」を評価する方法までは考えていませんでした。
評価方法を検討するため、村人と対話を進めていくと、「きれいな水があれば、汚い水で子どもたちが病気になることがなくなり学校にも行けなくなる。子どもが学校に行かなくなれば、巡回教師の給料が支払われなくなり、教師はほかの村に行ってしまうことになる。教育を受けられなければ、子どもたちは一生貧困から抜け出せなくなってしまう」という回答が多く集められました。
ここから、水の供給サービスを実施しているのではなく、子どもたちが学校に通う支援をする、という仕事を行っていることに気づきました。
そこからさらに、地域の人々を支援するさまざまなアイデアを考えるようになりました。
きれいな水の供給は手段でしかなく、自らの活動の本当のミッションは「地域の人々が自ら貧困から抜け出すための援助」であった、ということですよね。
本当のミッションは、目的と手段を明示してくれます。
目的と手段が明確化されれば、おのずと正しい行動が導かれます。


正しい行動、実際に行えているか、考えたことはありますか。

思わず手を出し過ぎているところはないでしょうか。
見てみぬふりをしてしまっているところはないでしょうか。
正しい行動を導くミッションを掲げているでしょうか。
間違った行動を正せるミッションを掲げているでしょうか。
顧客のために行動できるミッションを掲げているでしょうか。

自らの行動が、周囲の影響ある人たちに対してよい変化を生み出しているかどうか……適切なチェック基準を用意し、適切なタイミングで、適切な判断ができるよう準備しておきましょう。
有事は、もう目の前で起ころうとしています……。
その時あなたはどのようなミッションに基づき、どのように行動しますか?

どんなミッションを掲げていますか?
それは誰を想ったミッションですか?
そのミッションから、行動を起こせますか?
その行動はどのような行動ですか?
起こす行動によって影響を受ける人たちのことを、どのように考えていますか?


実践するドラッカー【利益とは何か】』 
chapter2 われわれのミッションは何か p51 #20


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実践するドラッカーシリーズは、膨大な数のドラッカー先生の言葉を選りすぐり、5つのテーマ別にまとめられた書籍です。
編著者の佐藤等先生は、札幌を中心に全国各地でドラッカーの書籍を中心に読書会を開催されてきました。
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佐藤先生の解説は、ぜひそれぞれの書籍で確認してください(*^ω^*)
ここではわたしが感じたことをお伝えしていきます。
自ら考え、決定し、行動するあなたのためのドラッカー、一緒に探してみませんか?

[利益とは何か]は、ミッションからスタートする<5つの質問>というツールを使いこなせるようになることを目的に書かれています。

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