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山に行ってきました

 音楽講師をやっている飯田くんと、Wさんと僕の3人で、山に行ってきました。最初は飯田くんとWさんとで行く予定だったのだけど、急きょ僕も誘われたというわけです。そもそもどうして2人が山に行くことになったのかについては、謎めいています。僕には分かりません。訊かないでください。2人にとっての理由や目的がどうであれ、僕は健康のために良さそうだなと思って参加を決意しました。ここ1年半くらい1日30分のウォーキングを継続しているから、歩くことにも自信がありました。しかしながら、いざ山を歩いてみると、かなりしんどかったです。自宅周辺の舗装された歩道を歩くのとはまったくわけが違います。途中で僕だけ息切れしました。

 その一方、飯田くんとWさんは息切れの様子もなくとっとこ歩いていくので、「すごいなあ! 体力あるんだなあ!」 と感心しました。僕が体力なさすぎるだけかもしれませんが。毎日ウォーキングやっているのに、どうしてこんなに体力がないのだろう。もっと負荷を増やしたほうがいいのだろうか。でも高血圧だから、無理はできないんだよなあ。まあ、今回の山でだいぶ無理しちゃったんだけど。倒れるかと思いました。こんなところで倒れたら助からないかもしれない、とすごく不安でした。これはよく言われることですけど、山を舐めたらいけないですね。正直かなり舐めてました。ただ山の川沿いを歩くだけなのに、こんなにしんどいとは思わなかった。山すごいっす。

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 山へ行く当日は午前7時くらいに起きて、8時半くらいに大宮から埼京線に乗り、9時前には池袋に着きました。池袋で待ち合わせだったのです。誰も遅刻することなく集合し、新宿駅まで山手線で行って、そこから青梅駅おうめえきへ向かいます。青梅駅についたときは、看板を見上げながら「ここが、地下アイドルがよく青海駅あおみえきと間違える青梅駅かあ!」と感動しました。感動しながら一人で写真を撮り、そのあとトイレで小便をしていたら、乗り換えを待っていた飯田くんとWさんに心配されました。「ふちりんがいなくなったから、電話しようとするところだったよ」と飯田くんに言われました。心配をかけてすみませんでした。

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 それからまた電車に乗り、軍畑駅いくさばたえきに着きました。どうやら今回の山では、ここから2駅、多摩川に沿って歩くようでした。僕は大自然に囲まれてわくわくしていました。この時点ではまだ、わくわくする心と身体の余裕があったわけです。しだいに僕は、「倒れるかもしれない…。高血圧なのに無理をしすぎかもしれない…」という不安にさいなまれることになります。

 山を歩き始めてしばらくして僕の目の前に現れた多摩川は、とても広くて綺麗でした。「こんな綺麗な色の川を見るのはいったい何年ぶりだろう!」と感動しました。川に触れられるくらい接近できる地点があり、我々おっさん3人は少年に戻ったかのように、川の水と無邪気にたわむれました。その水はとても冷たくて気持ちがよかったです。飲めそうなくらい綺麗だったので飲もうかと思ったけど、それはさすがに無邪気すぎると判断して自重しました。

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 しばらくすると、頭部から汗がき出してきました。天気は快晴で、9月下旬なのにまるで真夏のようでした。太陽の光がじりじりと僕の肌を焼きます。僕は大汗っかきなので、マフラーくらいのサイズの白いタオルを持ってきていて、それで十秒に一回くらい頭部の汗をぬぐいました。僕の前を軽快に歩いていく飯田くんとWさんは汗を拭くようすがなく、少し居たたまれなかったです。僕はやっぱり普通の人と比べて圧倒的に汗っかきなんだな、と再認識しました。その大きな白いタオルは、最終的に全体がびしょびしょになりました。山歩きを終えて帰宅すると、カバンの中で熟成されたそれは、剣道部員の防具みたいなきつい匂いがしました。

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 多摩川沿いをひたすら歩いていると、休憩スポットみたいなところに出ました。売店などがいくつかあり、人々でにぎわっています。僕らもここで少し休憩することになりました。緊急事態宣言中により酒は売っていませんでした。「でも酒を飲んだら危険だろうな」と思いました。川沿いを歩くだけとは言え、かなり慎重に歩かないと川に落ちて死ぬかもしれないからです。我々は酒を飲むかわりに甘酒のかき氷を食べました。二郎系ラーメンのような盛りだったため、僕はかき氷を盛大にこぼし、テーブルや足元が白く汚れました。

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 かき氷を食べ終えると、我々はその休憩スポットを後にしました。おもむきのある橋を渡り、川の向こう岸に足を踏み入れ、また川沿いを歩きます。僕は体力がなさすぎるのと息切れにより、とっとこ歩く飯田くんとWさんについていくのが精いっぱいで、だんだん笑えなくなってきました。2人の談笑に混じろうとするも、笑顔がひきつってしまいます。だんだん動悸もしてきました。「ここで倒れちゃったらどうしよう!」と思うとさらに動悸はひどくなりました。日々のウォーキングでは、これほど鼓動が早くなることはないため、かなり不安な気持ちになりました。そんなとき、2人が「昼飯を食おう」と言ったので安心しました。川沿いにあるこじんまりとした蕎麦そば屋さんに入り、一息つきました。しばらくすると動悸はおさまりました。その蕎麦屋さんで、僕はもりそばを注文して食べました。とても美味しかったです。「これは、いくらでも食べられちゃうな!」と思うくらいに。

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 蕎麦屋さんを後にした我々は、また川沿いを歩きはじめます。上り坂をのぼるときは、ひいこら言ったけれども、体力がないと思われるのが恥ずかしかったので、何ともないような表情をつくって必死に前の2人について行きました。「それにしても2人とも、すごく体力あるなあ。一体何してたらそんなに体力つくんだろう? 僕もウォーキングをもっと頑張らないといけないな」と思いました。そして我々はゴール地点の御嶽駅みたけえきに到着しました。僕は「やっとゴールか。やれやれ、死ななくてよかったなあ」と思って胸をなでおろしました。それから僕たちは電車に乗って池袋に向かいました。飯田くんは立川で用があるらしく、立川駅で先に降りました。

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 そのあと、新宿駅へ向かう途中に中央線で人身事故が発生し、進むも戻るもできない状況となり、Wさんと僕は「ふみゅう…」となりました。復旧までは1時間くらいかかりました。吊り橋効果によってWさんと仲良くなれたので、それは良かったですけど、山のあとだったから非常にしんどかったです。山と人身事故で疲れすぎていた僕は、大宮駅でガールズバーに行くことも、ラーメン凪に行くこともせずに、自宅へと直行しました。ベッドに寝そべりながら、「山の自然にはとても癒されたけれど、やっぱり家がいちばんだなあ!」と思いました。とは言え今は、「ウォーキングを負荷上げて継続し、次回参加する山歩きではもっと余裕が持てたらいいなあ」と思っています。

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