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ゆるせぬ。

「今朝起きたらコタツ点いたままだったんだけど」

起きてきた彼の目を見ずに
不満な気持ちをたっぷり乗せて伝える。

「あ?あー、ごめん」

寝ぼけた声で特に反省した様子もなく
彼は洗面所に入っていく。

一晩コタツが点いてたって
大した電気代じゃない………
いや、お金の問題じゃないのよ!
省エネ意識が低すぎる!!
コタツと思って油断してると
火災の原因になる事だってあるんだから!!!
脳内でプリプリしてしまう。

私は何でも気にしいで
ガスの元栓閉めた?
電気消した?
玄関の鍵は??
知らない人が入ってきて…
なんて、怖い話もあるんだから…!!!
と常に考えている。

彼は反対の人。
布団に入ろうとしているところを
私から指摘され、
「はいはい…」と確認しに行く事もしばしば。


ある朝、
彼から「コタツ点いてたよー」と告げられた。
昨晩最後に座っていたのは私だ。

「…嘘だ」
「ほんとだよー」
「いや…そんなはずはない……」
頑なに認めない私を笑う彼。

「朝寒くてねぇ、ぬくぬくだったよぉ」
嬉しそうに言う彼。

まいった…ずるい、そういうとこだよ。
敵わないなぁって思う。
私にはその返しできないもん。
私もそういう人間になりたかったよ。
無理なんですけど。

ほんとにね、なんでこんなピリピリ女と
一緒に暮らそうと思ってくれたんだか。
仕方ないな。コーヒー淹れますよ。
パンも焼きましょうか?
一緒にぬくぬく朝ごはん食べよう。


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