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【最新号試し読み】月刊不動産流通 23年11月号

「月刊不動産流通2023年11月号」が発売となりました。

その中から、
・流通フラッシュ「続・関東大震災から100年 不動産各社が大規模な防災訓練実施」
・特集「『賃貸仲介・管理業の未来』Part 5 LGBTQへの対応」
・連載「電鉄会社のまちづくり Vol.8 京阪電気鉄道(株)」
の試し読みを掲載します。

試し読み①(全文掲載)
流通フラッシュ
「続・関東大震災から100年 
不動産各社が大規模な防災訓練実施」

高まる災害リスクに備え
地域と一体で自助・共助を強化

 1923年9月1日に関東大震災が発生してから100年が経過した。前号でも触れたとおり、この大災害を機に耐震基準の規定がなされ、建築物の強化が進められてきたものの、その後も、阪神・淡路大震災(95年)、東日本大震災(2011年)と大災害が発生。南海トラフ地震が70%以上の確率で今後30年以内に発生すると言われており、都市の強靭化、震災への備えはますます重要となっている。また、地球温暖化、気候変動に伴い、台風、洪水等といった気候災害も増加していることから、そうした災害への備えや訓練も求められるようになっている。

 以前は防災訓練といえば屋内からの避難訓練が定番であったが、今ではそうした訓練に加え、消火訓練、AEDを活用した救命訓練、応急手当訓練など、災害発生後のさまざまなシチュエーションを想定したものが増えてきている。また災害発生時に顧客や住民を守るための行動を取ることを念頭に置いた実践型訓練も各社で見られるようになってきた。

 防災力を高めるためには「自助・共助・公助」が重要であるということはよく知られている。しかし、いざ大災害が発生すると、公助の手は圧倒的に不足し、自助・共助が担う部分が大きくなる。この二つの力を高めるためには、常日頃から災害に備えるための意識向上、地域における良好なコミュニティ形成といった地道な取り組みが重要となる。

 建物の運営や管理を通して地域との関わりを深めている不動産事業者によるそうした取り組みにより、地域の防災力・レジリエンス強化が図られることを期待したい。

試し読み②(一部掲載)
特集「『賃貸仲介・管理業の未来』Part 5 LGBTQへの対応」

 生活の基盤となる「住まい」の選択は、誰にとっても自由であるべきだ。しかし、その住まいを確保するために、性的マイノリティ(LGBTQ)の人たちはさまざまな困難に直面し、不自由を感じているのが現状だ。
 本特集では、LGBTQといわれている人たちが住まいを探す際に置かれている状況を、アンケート調査等を基に考察しつつ、そうした課題に不動産事業者がどのように対応しているのかを取材。また、こうした多様性を受け入れる社会が世界的な流れになってきている中での今後のあり方について探ってみた。

理解不足、偏見、入居拒否…
傷つく当事者たち

【「性はグラデーション」複雑で多様なもの】
 
最近、よく耳にするようになった「LGBTQ」という言葉は、性的マイノリティ(性的少数者)を表す総称の一つとされている。「性」には4つの要素(表1参照)があり、男性または女性と認識している人、どちらにも当てはまらない人、どちらか分からないという人もいる。われわれは日常的に、男性・女性という2つの枠組みでいろいろなことを考えがちだが、実際の性はもっと複雑で多様なもの。はっきりと二分化されるものではなく、実際には「性のグラデーション」が存在し、中間領域に属する人や「LGBTQ」(表2参照)に当てはまらない人も多く、性のあり方は実に多様だ。

【同性カップルの約6割が「隠れて同居した」経験あり】
 
日本におけるLGBTQの割合は約8・9%といわれている(㈱電通調査
結果より)。つまり、約11人に1人がLGBTQの当事者であり、これは左利きの人や血液型がAB型の人とほぼ同じ割合になる。今まで自分の周りにLGBTQの人はいない、会ったことがないと思っている人は多いかもしれないが、それは「気付いていないだけ」なのだ。
 左利きやAB型だからといって住まい探しで苦労することはないだろうが、LGBTQの人たちは性的少数者であるというだけで、住まい探しにおいてさまざまな困難に直面しているという。追手門学院大学地域創造学部地域創造学科准教授の葛西リサ氏らが行なった「セクシュアルマイノリティの住まいの問題に関するアンケート調査結果」を見ていきたい。
 調査は2020年と21年に実施。21年の調査は、NPO法人カラフルチェンジラボ(代表理事:三浦暢久氏)と共同で行ない、約1800名の当事者から回答を得た。自由記述欄には、不動産業界のLGBTQに対する無理解、そしてそこからくる差別的な対応の数々が記されていたという(表3参照)

 アンケート結果を見ると、「セクシュアリティを理由に不動産会社へ行くことへの不安があるか」との問いに、約40 %が「強く感じる」「やや感じる」と回答。「セクシュアリティを理由に将来の住まい確保に不安があるか」との問いにも、約40%が「強く不安に感じる」「やや不安に感じる」と答えており、セクシュアルマイノリティの多くが住宅問題に不安を抱えていることが分かった。「(賃貸物件で)不動産事業者やオーナーに隠れて同居したことがある」と回答した同性カップルも約61%に上っている。

 同調査により、LGBTQに無理解な不動産会社や店舗スタッフなどリテラシーの低い人に遭遇してしまうと、傷つけられたり部屋が借りられなかっ
たりするといった、セクシュアリティを理由とした言われなき差別の実態が浮き彫りに。また、「2人入居可」物件は同性カップルだと審査に通らない
ケースが多く、…(続く)

また、この特集ではLGBTQの方が部屋探しをしやすいようにサポートを行なう、下記の会社を取材しました。

(株)三好不動産(福岡市中央区)
(株)IRIS(東京都新宿区)
(株)Livmo(東京都港区)
(株)タカラレンタックスグループホールディングス(大阪市東淀川区)

当事者への向き合い方や、オーナーへ理解を求める上で心掛けていること、社員教育等についてご紹介いただきました。

試し読み③(一部掲載)
特集「電鉄会社のまちづくり Vol.8 京阪電気鉄道(株)」

 大阪府東部から京都府南部、滋賀県南部にかけて路線網を拡げる京阪電気鉄道(株)(大阪市中央区、代表取締役社長:平川良浩氏)。同社を含む京阪グループは現在、京阪間の中核駅である京阪本線・交野線「枚方市」駅(大阪府枚方市)周辺の大規模な複合開発を推進中。商業、オフィス、ホテル、住宅等の都市機能を集積させ、若い世代の流入を促したい考えだ。

駅ナカから周辺エリアへ、
若年層を呼び込む施設を整備(枚方市)

【高架化工事と並行して、駅一体型の商業施設を整備】

「枚方市」駅は、「京橋」駅(大阪市都島区)、「淀屋橋」駅(大阪市中央区)に次ぐ乗降客数を誇る、京阪電車の中核駅の一つだ。現在、駅周辺では大規模な再開発が進められており、まちは大変革期を迎えている。
 「枚方市」駅は、京阪本線「天満橋」駅(大阪市中央区)~「五条」駅(京都市東山区、現・「清水五条」駅)の開通に伴い、1910年に「枚方東口」駅として開業。淀川と支流の天野川が合流する立地特性から、当時の駅周辺にはのどかな田園風景が広がっていたという。京阪間のベッドタウンとして発展する契機となったのは、日本住宅公団(現・(独)都市再生機構)が50年代より整備を進めていった大規模住宅団地「香里団地」だ。同団地の建設以後、枚方市の人口は爆発的に増加。駅周辺でも市街地再開発事業が始動し、道路網の整備や宅地開発が推進された。60年には駅前に「枚方市役所」の新庁舎が竣工。公共機能の集積も進んだ。商業面では、同市の主導で
68年に「三越」が、75年に「近鉄百貨店」の前身である「丸物」が誘致され、生活利便性が飛躍的に高まっていった。

 このように同駅周辺では、戦後、行政主導でまちづくりが推進されていっ
たが、京阪グループがこれらの開発に大きく関与できなかった要因は、「天
満橋」駅~「淀屋橋」駅間の延伸工事や「京橋」駅周辺の再開発など、郊外よりも都心部に集中的に投資をしていたこと等が挙げられる。

 京阪グループによるまちづくりが本格化するのは90年代以降だ。78年より段階的に進めてきた「枚方市」駅の高架化事業が93年に完了。翌年、駅一体型の商業施設「京阪枚方ステーションモール」をグランドオープンし、「京阪ザ・ストア枚方店」、「京阪百貨店ひらかた店」、高架街「エル枚方」等が営業を開始した。2003年には特急が終日停車するようになり、京都・大阪へのアクセス性が格段に向上。駅周辺でのディベロッパー各社による分譲マンション開発も活発化し、現在のまち並みができ上がっていった。

【駅ナカに新たな商業ゾーン。改札外広場ではマルシェも】
 このように京阪沿線で屈指の人気を誇るまちとなった枚方市だが、00年代
以降、高度経済成長期に建設された周辺施設の老朽化が進行。05年には「三越」が、12年には「近鉄百貨店」が相次いで閉店した。また、戦後流入した住民が一斉に高齢化し、若年層の人口流出に歯止めが掛からず、市内の人口は09年の約41万人をピークに減少の一途を辿るなど、まちは徐々に活力を失いつつあった。「このまま何も手を打たなければ、人口は減り続け、鉄道事業にも大きな影響を及ぼしかねない。沿線の『再耕』をテーマに、駅を起点とした新たなまちづくりを推進、若年層の囲い込みと流入を促すことにしま
した」と語るのは、「枚方市」駅周辺のまちづくり事業を担う京阪ホールディングス㈱執行役員の大浅田寬氏。

 その取り組みの初弾として、15年に駅舎のリニューアルプロジェクトを始動。18年12月に完了した。改修工事は㈱良品計画が展開する「無印良品」がトータルデザインを手掛け、中央口の改札周辺を木目調の温かみある空間へと刷新。中核施設として、改札内コンコースを中心とした商業ゾーン「ひらかたもより市」を設けた。枚方産の野菜や弁当・総菜、オーガニック食品等を置くミニスーパーマーケットをはじめ、焼きたてパンを手頃な価格で提供するベーカリー、全国各地の有名ブランドや人気スイーツを期間限定で展開するスイーツ専門店、フラワーショップ等が軒を連ねる。

 「同駅以外の沿線の住宅街でも、人口減少等に伴い、スーパーマーケットの撤退等が相次ぎました。『駅』は多くの人にとって最も身近な場所の一つ。同駅は本線と交野線、各駅停車と特急の連絡駅となっており、乗り換えのついでに買い物ができれば、沿線住民の方々に喜ばれるのではと考えたのです。駅構内を散策してもらい、枚方に興味を持ってもらおうという狙いもあります」(大浅田氏)。開業後数年でコロナ禍に見舞われたものの、「まちを出歩かずに買い物を済ませたい」というニーズとマッチし…(続く)

その他さまざまなコーナーが有ります

月刊不動産流通2023年11月号」では、この他にも不動産実務に関わるさまざまなコーナーを掲載しています。

・一問一答!建築のキホン
「大通り沿い以外の敷地でも大規模な開発はできますか?」

・宅建業者が知っておくべき『重説』に必要な基礎知識Q&A 〜建築編
「建物の不具合事象の調査 各論編」

・不動産登記の現場から
「マイホーム購入後の事情変更」

・関連法規Q&A
「宅地建物取引業法に基づく講習におけるアナログ規制の見直しについて教えてください。(その1:登録講習編)」

・適正な不動産取引に向けて―事例研究
「予定していた建物の改装ができず、買主が売買代金返還等を求めたが、棄却された事例」
                             
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