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【農業日誌】枇杷栽培 vol.1 ~苗づくり(接ぎ木)

2024年3月
枇杷は、種から育てても実った実が、親と同一の形質とはならないため、台木へ希望の品種の木より採取した穂木を接ぎ木する事により作った苗を育てていく事となります。

枇杷の栽培をしているご近所さん(以降「先生」)に、実生の枇杷の苗30本をいただき鉢にて栽培を始めたのが去年の夏頃。
その苗達が元気に育ち、温かくなり始める少し前のこのタイミングで、その苗を台木として接ぎ木をしていよいよ本チャンの苗となる事になります。

ふいごファームの枇杷(田中)の古木

枇杷には、実の大きさや形、甘さや酸味、耐寒性や成熟期などが異なる多くの品種が存在します。
今回、先生の圃場と先生に紹介いただいた枇杷農家さんより様々な品種の穂木をいただきました、品種は以下。

  • 田中:古くから多く栽培されている品種で、先生の圃場の主力品種。※この枇杷を食べさせていただき、その美味しさに枇杷の栽培に俄然興味が湧いた個人的に思いの強い品種。

  • 瑞穂:こちらも先生の圃場より提供いただきました、実が大きく緑の斑点があるのが特徴です。

  • 大房:現在の房州びわを代表する品種、寒害に強く枇杷栽培の北限と言われている千葉に適しています。枇杷農家さんより提供いただきました。

  • なつたより:耐寒性は中程度で樹形がやや直立性で作業性がやや悪いようですが、果肉は柔らかく糖度は高いようです。枇杷農家さん提供。

  • 富房:ハウス栽培でも用いられる品種、高温障害が出にくい、果肉がやや硬く荷痛みしにくく輸送性が高いなどの特徴があるようです。枇杷農家さん提供。

  • E173:品種登録はされていない、果皮障害が多いため未登録なのだそうですが、寒害にも強く味も美味しいそうです。枇杷農家さん提供。

苗づくり① 台木の用意

地上部3cmくらいでチョッキン!

いよいよ本チャン苗づくりの一歩目
実生の苗の土の上に出ている部分を3cmくらいの位置で切断します
※将来、接ぎ木をした部分より下側から出てくる芽は、目的の品種とは異なるものとなるため除去する必要があります、そのため芽が出る可能性がある部分が少ない方がその確率を減らせます。
しかし、接ぎ木に失敗した際にやり直しが出来るようにある程度残しておく方向でやってます。。。

苗づくり② 台木に切り込み・穂木を斜め切り

一番の難所(個人的には)

台木に切り込みを入れます、形成層(枇杷の場合は、皮の内側の緑色の部分)が表面に現れるように切り出しで真っすぐ刃を入れます。
※結構硬いのですが、グリグリと切り出しを動かしながら刃を入れると表面がデコボコとなり良くないので、思い切って真っすぐに一発で決めます!(手を切らぬように気を付けて)

台木の切り込み(左)と、穂木の切り口(右)

穂木も、形成層が表面に現れるように少し斜めになるように削り取ります、台木の切り込みに差し込んだ時にがっちりとはまるように、裏側も斜めに落としておきます。
それぞれの形成層(アボカドのような色で美味しそうな部分)同士が重なるように固定をすると、癒着していく事になります。
※台木と穂木の太さが同じくらいで、両側の形成層がどちらも重なるのが理想ですが、片側だけでも大丈夫です。

苗づくり③ 差し込むべし

横から見て隙間がないように

台木の切り込みに穂木を差し込み、形成層同士が重なっている事、横から見て重なり部分に隙間が無い事を確認する。
※穂木の切り口が、台木の切り込みの中にすっぽり入りこんでしまうより、少し上に残っているくらいが良いようです。(切り口が全て入り込んでしまうと、台木と穂木がくっついていない部分が上部に出来て、そこから裂けてしまいやすくなってしまうようです。)

苗づくり④ 接ぎ木テープで固定

接合部分がずれないようになるべくきつく

接合部分がずれないように気を付けながら、接ぎ木テープをなるべくきつく巻き付けて固定します。
その際に、接合部分に水が入り込むと腐ってしまうなどの原因になるので、雨水などが入らないように十分に覆い隠すように巻きます。
そして最後に穂木の切り口に癒合剤を塗り完成です。

苗づくり⑤ あとは祈って待つべし!

激闘のあと

という事で、鉢植え30個と先生の圃場にあった地植えの苗33本に接ぎ木をしました。
春になり、接ぎ木した穂木より芽が出て成長してくれればひとまず成功です、1年から1年半くらいでしっかりと活着し本チャンの苗となってくれるはずです。
この枇杷栽培記録がvol.1で終了とならない事を祈るばかりです。

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