早ければそれでいいの？
ふとそう思った。

便利になった世の中、ものがほんの数日で届いたり、返信が秒単位の早さで返ってきたり、映画のDVD化がたった数カ月だったり。
なんだか早いであふれている。

さっきも

”今日注文すると明日届きます！
お申込みはこちらから！”

とテレビCMで流れていた。
今日注文すると明日届く。
なんて便利な世の中なのだろう。

少し前の私たちなら、商品を手に入れたいならお店に出向いていたし、送ってもらったとしても何日もかかっていたはず。
それが今ではお店に出向かずパソコンやスマホのワンクリックで注文できて、明日商品の方が自分たちのもとへやってきてくれるなんて。

本当に便利な世の中になった。
でも早いっていいことばかりなの？
そう問いかけたくなる。

前の私のお仕事の１つに資料請求処理業務があった。
資料請求があったらその日のうちにデータ処理をして発送準備・手配までするお仕事だ。

請求があったら必ずその日のうちにデータ処理をして発送まで行ってくれ。

常々上司にそう言われていた。
資料を請求して手元に届くまでの時間、これはうちの学校を選んでくれるかどうかに関わってくる重要事項であり、競合校に負けぬよう１分１秒を争うものだったからだ。

資料の請求は日によってまちまちだったけれど、多い日は１日に200件くらいあった。
これをミスのないようデータに落とし込んでから請求者に合わせて資料を組み、ラベルを貼ってダンボールに詰め込み、郵便屋さんを呼ぶ。
この一連の作業をいつもたった一人でしていた。

私の処理の遅さもあったけれど、お昼ごはんも食べずに夕方まで資料請求業務をすることもあった。
もちろん私のお仕事は資料請求処理業務だけではないので、夕方までかかった日は必然的に数時間の残業が決定する。
私の処理能力の低さからうまれた残務とみなされるので無賃金での残業が課せられる。
１分１秒を争う作業というのはそれだけ大変な業務だった。

だからか今日注文して明日届くというのは、とても大変で異常なことだと私は思ってしまう。
私たちがワンクリックした瞬間からデータ処理、ピッキング、発送手配、運送…とこの一連の流れに携わる人たちが大急ぎで動いているということ。
大手通販会社なら人出はたくさんあるだろうし、処理がしやすいシステムになっているとは思うけれど、それでも明日必着のために動いている人たちは少なからずいるということ。
それらを考えると、この異常さに危険信号を出したくなるし、この便利さを普通だとは思わないでほしいと感じてしまう。

早いってそんなにいいことなの？

たしかにパソコンやスマホでポチっとして、翌日届くって素晴らしいことだけれど、そんなに早くしないといけない世の中ってなんだかさみしくはないだろうか。
時間にも、心にも余裕がなさすぎる。

明日じゃなくてもいいじゃない。
ほしいものだもの。そのくらい待てるよ。
そう思ってしまう。

みんな早いことに慣れすぎて、
待つことができなくなってきている。
みんな早いが好きだから。
なんでもどんどん早くなる。
それって本当にいいのかな。
ふと立ち止まりたくなる。

早いってあたりまえじゃない。
ものすごい努力の上で実現しているものだから。
だから早いをあたりまえにしないで。
もう少し心ゆるやかに。
心に、時間に余裕をもとう。
ついせかせかしてしまう人たちにそう伝えたいな。

そして、いつも早くに押しつぶされそうな人たちへ
もっとゆっくりでいいよ。
大丈夫。早くなくても死なないから。
いつもたくさんがんばってくれてありがとう。
そう伝えたいな。

もっとゆっくりでいい。
そうみんなに言って回りたい気持ちでいっぱいになる。
けれど、残念ながら社会は今もいっそう早さを求め続けている。
ファストファッション、ファストフード。
ファスト○○という言葉がいくつもあるように、社会は思っている以上に早いものでいっぱいだ。
仕事も早さを求めているし、メールやLINEの返信はなるべく早くした方が良いと多くの人が思っている。
日常生活まで早く早くでいっぱいだ。

だからせめて私にだけは早く早くをしないでほしい。
返信も急がなくていいし、荷物だって本当はゆっくり便でいい。
待ち合わせに間に合わなくたって大丈夫。
もうみんな十分急いでるから。
そんなに急がなくていいよ。
ゆっくりでいい。
だって早さより大事なものを私はたくさん知っているから。

今日のおやつ
「ゆっくり便でお届け　ふんわりあまいチョコマシュマロ」

これは今日大好きな友達にもらったかわいいかわいいチョコマシュマロです。
パッケージもとってもかわいいこのマシュマロ、なんとフライングタイガーさんにあるそうです。
ゆっくりとふんわりって言葉なんだか素敵だと思いませんか？
私がお届けもの屋さんをするなら、お急ぎ便ではなくてゆっくり便を作りたいな。
なんて想像をふくらませてくれたチョコマシュマロでした。