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柳に雪折れなし

昔 こんな諺があったっけ?!

「やわらかい柳の木の枝は 積った大雪にも枝は折れない」

柳の木は一般の木と違い

枝はしなやかに下へ下へと伸びるので、垂れ下がっていく

若葉に芽吹いたしなやかな枝が そよと吹く春風にも揺れる様子は

まさに 京都の町に似合っていた

特に 鴨川沿いに植えられていた「しだれ柳」は 風情があった

万葉集にも「我が門の一つの末(うれ)にうぐひす鳴きつ」と詠まれ

平安の人々の衣装にも「やなぎがさね(表は白、裏は青)」として愛された

「しなやかなれど 折れない」強さに人々は 憧れの念もあったのでは?


しかし、いつの間にか「柳の木の下に幽霊が・・」などの話が出始める

無理もない、戦国時代 鴨川沿いの何か所で処刑が行われた

処刑だけではなく「さらし首」等がさらされた

風情どころか恐怖の場所の木となって行ったのでは・・

現在では柳の代わりに 桜が植えられるようになった

それはそれで 美しく華やかな風情を醸し出している

鴨川にかかる四条大橋の袂に「東華采館」という中華料理店がある

築100年と言われるビルのようなお店には 日本ではかなり珍しい

アンタッチャブルに出て来そうな古いジャバラのエレベーターがあって

今も動いている

滋賀県在住の華僑の先人が このお店を建てたとか!

さすが大国の人が建てるスケールは 当時の日本人の度肝を抜いたのでは?

3階以上は個室で、この個室も華僑の古き良き時代の重厚な部屋である

1階2階は予約のない一般の人々が中華料理を楽しむ造りだ

その2階の大衆食堂的な衝立のない部屋には 

窓に赤いランタンが均等に取り付けられ、華僑の雰囲気を 醸し出している

その窓から見える風景は さすがに2階なので鴨川は見えないけれど

遠くに向かい側の鴨川沿いに建ち並ぶ家々の屋根瓦が見え その手前に 

今尚 残された数少ない柳の木が 赤いランタンの合間から見える風景は 

なんとも言い難い心に残る風景だ


鴨川沿いには柳も良し 桜も良し!

しかし、最近トンと見かけなくなった柳の木は

「柳に雪折れ無し」という格言共々消えてしまいそうなこの現代

「強いものが天下を支配する」ような傾向になりつつある

それを危惧するとともに 私としてはとても心残りである

「強いもの程 折れやすい」ことを 肝に銘じて忘れてはならない

と、思い返しております。

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