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万葉うたがたりコンサートat交野が原


「岡本三千代と万葉うたがたり会」の表紙

マッコト、万葉美人に変装された先生は お美しい!!

ごあいさつ

 2020年の秋、「万葉うたがたり活動の40周記念」によせて、西宮フレンテホールでコンサート開催して以来、3年ぶりの舞台となりました。
何度目かの節目を迎えながら、この度も機会に恵まれ、何よりも万葉を歌う事の楽しさに勝るものはなく、続けてこれたことの幸運と喜びに感謝の気持ちでいっぱいです。
 万葉集の研究者でもない私ですが、近年『万葉集』に親しむ、『万葉集』を楽しむなど講座の機会が多くなり、おこがましくも万葉を語らせて頂いてきました。私はあくまでも万葉愛好家として、又、皆さまには、かつて犬養孝先生に導いていただいたように『万葉集』に興味や関心を持って頂いたり古今通して変わらぬ日本人としての心の世界を共感して頂くことがあればなによりと思っております。
 本日第1部では、私にとっても興味深い人物である「大伴旅人」をテーマにものがたりで うたがたりをいたします。2006年に初演を致しましたが、令和という新たな時代を迎え、久しぶりに私も新たな気持ちで取り上げたいと思いました。
2部、3部はいつものように楽しく歌って、語ってと、岡本ワールドをお楽しみ頂きたいと思っております。
今日のステージを支えてくださる観客の皆さま、スタッフ、そして大好きな
万葉うたがたり会の仲間に心から感謝の念で尽きません。

         2023年 9月22日  岡本三千代


 岡本先生は犬養孝先生が 甲南大学に「万葉集」を教えに来られた時、
すっかり「万葉の歌」に魅了され、犬養先生のファン、今でいう「押し」として「万葉集」を学ばれ、音楽を専攻されていたので 万葉の歌に旋律をつけ、歌える万葉歌として 広く親しんでもらえるように!と 力を注いでおられる。だから、私たちの想像を遥かに超えた舞台になっていて、旅人役の劇団員が 客席の方から、装束も御髪も白くなった60歳代の大伴旅人として 舞台にあがり、静かに回想するところから始まった。
それだけでも、度肝を抜かれたのに 歌い手さんは勿論のこと、天平の装束のピアノニスト、バイオリンニスト、それに先生が あの写真の装束でエレクトーンの前に立ち いろいろな楽器の音を添え加えられて、私たちは益々 万葉の時代に引き込まれていった。


    第1部「旅人追想」

 大伴旅人は藤原の命により、あちらこちらに移動させられる。
その度に歌を詠むことになるのだが、旅人を追って妹(妻)と子供(家持)が 追いかけてくるものの、妹が途中大宰府で病になり旅人に会うことなく亡くなってしまう
そのせつない気持ちを歌に詠むことになるのだが、妹を亡くした後 伝説の
女性と出会うことになる。
それが「松浦佐用姫」で~領布振り伝説~として残っている。
 ★万代に 語り継げとし この丘に 領布振りけらし 待つ裏佐用姫
 ★海原の 沖行く舟を 帰れとか 領布振りらしけむ 松浦佐用姫
       (後、4首略)

恋文戯れの歌として、「手馴れの小琴」が残されている
 ★言問わむ 樹にはありとも うるわしき 君が手馴れの 琴にしあるべし
 ★如何にあらむ 日の時にかも 声知らむ 人の膝の上 わが枕かむ

「都から大宰府へ 行ったり来たりする途中に詠んだ歌」が 大伴旅人と
遣新羅使人が詠んだ6首が「むろの木ワルツ」としてまとめている。
 ★我が妹子が 見し鞆の浦の むろの木は 常世にあれど 見し人そなき
 ★鞆の浦の 磯のむろの木 見無頃に 相見し妹は 忘らえめやも
       (後、4首略)

旅人の悲しみは「旅人追想」として
 ★はしきやし 栄し君の いましせば 昨日も今日も 我を召さましを
 ★かくのみに ありけるものを 萩の花 咲てありやと 問ひし君はも
        (中、略)
 ★世間は 空しきものと 知る時し いよよますます 悲しかりけり

大伴旅人の話は 万葉集の歌を文字で読み解説を加えてもらったとしても、これだけ身近で切実な話として、感じることは出来なかったであろう!
それを 思うと宝塚歌劇団のように 胸をときめかせて 万葉の世界にいざなってくれる先生の方法は 誰しもが憧れをもって万葉集に興味を持つのでは?と 感激した。

     第2部 秋を歌う

 万葉集の歌は 恋も歌が多い。しかし、万葉集以後の歌は 庶民性を欠き
宮中の特別な人達の歌として 身近に感じることが出来ない。
志貴の皇子や額田王君、山上憶良等は 季節のすばらしさを詠んでなお余りあるものがある。

 愛の花

春秋競燐歌(春秋シャンソン)
 ★冬ごもり 春さり来れば 鳴かざりし 鳥も来鳴きぬ 咲かざりし
 花も咲けれど 山を茂み 入りても取らず 草深み 取りても見ず
 秋山の 木の葉を見ては 黄葉(もみじ)をば 取りてぞしのふ 
 青きをば 置きてぞ嘆く そこし恨めし 秋山われは
                         (額田王)

 秋の歌メドレー

秋の七草
★秋の野に 咲たる花を 指折り かき数ふれば 七草の花
★萩の花 尾花葛花 なでしこの花 女郎花 また藤袴 朝貌(朝顔)の花
                        (山上憶良)


第3部「万葉うたがたりコンサート」(以下抜粋の歌)

逢合橋
★彦星と 織姫と 今夜逢はむ 天の川門に波立なゆめ
★かささぎの わたせる橋に おく霜の しろきをみれば 夜ぞふけにける
                        (大友家持)

 交野市には「逢合橋」も「かささぎ橋」も「織姫神社」もあり、天の川を挟んで同じ距離に「観音山(枚方市になる)」があり、観音山には 織姫神社を向いて「牽牛石」があるので、交野市と枚方では「七夕祭り」が盛大に行われる。

二上エレジー  
★うつそみの 人なる我や 明日よりは 二上山を 弟世と我が見む
★磯の上に 生ふる馬酔木を 手折らめど 見すべき君が ありといわなくに
                     (大伯皇子:大津皇子の姉)
恋歌
★恋ひ恋陽て逢える時だに うるわしき 言い尽くしてよ 長くと思はば
                      (大友坂上郎女)
★ぬばたまの 我が黒髪を 引きぬらし 乱れてさらに 恋ひ渡るかも
                       (作者不詳)

 以下省略


<感想>
 とにかく、思ってもいなかった万葉の楽しみ方を 岡本先生は教えてくださいました。
 犬養孝先生のファンとして、ここまでの「押し」で成功された岡本先生の
情熱は 自分の特技をいかした方法で 万葉集を楽しいものとして、私たちに
伝えてくださっている事に感動して、ますます「交野ヶ原万葉会」が 好きになりました。
これからも お元気でずっとずっと「楽しい万葉集」を 広げられて行かれますことを こころから応援いたしております。

 









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