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スギ林の二酸化炭素吸収量について東大などが通年計測を実施

東京大学は2023年3月9日に、
スギ林のCO2吸収メカニズムを明らかにしたことを発表しました。

日本の全国土面積の12%を占めるスギ林。

森林の炭素隔離能力や水源涵養機能を発揮させるための管理が期待されており、人工林の代表的樹種であるスギは、その主役になることが考えられています。

研究内容
・年間を通じて森林スケールの光合成・蒸散速度を観測

・1枚の葉の光合成反応から森林と大気との間でのCO2の乱流拡散までを再現する精緻なシミュレーションモデルを構築


研究①
大気と森林との間で、
・CO2と水蒸気(H2O)の量とどのようにやり取りされているのか

上記を森林スケールで調べられた。

熊本県山鹿市の鹿北試験地流域のスギ林で、(森林総研)が長年にわたって観測してきたデータが用いられいます。
この観測では、50m高の森林タワーに据え付けられた渦相関法フラックス計測システムにより、
森林上空のCO2・H2Oフラックスが30分ごとに
https://news.mynavi.jp/techplus/article/20230310-2614855/
計測された。
※フラックスとは一般に単位面積当たり・単位時間当たりの物質移動量を表し、CO2・H2Oフラックスは、森林スケールでの光合成速度・蒸散速度を意味するという。

https://news.mynavi.jp/techplus/article/20230310-2614855/


研究②
CO2・H2Oフラックスがどのように形成されるのかを調査。


ここから仮説を立てて考えています。
森林スケールの光合成・蒸散は、1枚の葉で行われる光合成・蒸散の集まりであることから、
今回は、1枚の葉のスケールでの植物生理学的な性質と、森林全体での葉量の時空間分布を計測したとする。

1年間にわたって30分ごとのCO2・H2Oフラックス変化の観測データを良好に再現することができたとする。

一方、ヘクタール(ha)あたりの年間炭素吸収量・蒸散量は、
観測値で5.6炭素トン・875mm、
計算値で7.5炭素トン・884mmとなった。

これを受け、年間総吸収量の推定には、
なお若干の検討が必要な結果となったとしている。



この再現シミュレーションの過程で、
年間を通じてほとんど葉の光合成能力や葉量が
変化しないように見える常緑針葉樹のスギであっても、
実はその季節変化、特に冬の低温環境による
光阻害に対する防御機構を考慮しなければならないことが判明したとしています。

また、スギ林が森林全体として
「どのように光合成しているのか?」を調べたシミュレーション結果によると、
冬に葉の光合成能力を低下させるのは、
年間を通してスギ林の生産を保つためには
必要不可欠であることが明らかにされたとしています。


【まとめ】

Q:スギ林のCO2吸収メカニズム

A:年間総吸収量の推定には検討が必要。
特に冬の低温環境による
光阻害に対する防御機構を考慮する必要があるため。


正確に数値化するにはより突き詰めた研究が必要と分かりました!

今後の研究発表にも目が離せませんね!!

最後までご覧いただきありがとうございます!

生態学的プロセスを記述するための数学的モデルなどを扱う学術誌「Ecological Modelling」に掲載https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0304380022003696


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