なぜか買ってしまうカラクリを考える「グリーンDAKARA編」vol.1

なぜあの商品はヒットしたのか?

ブランドマーケティングの世界ほど「勝てば官軍」な世界はあまり無いのですが、ヒットした理由、ロングセラーになっている理由、ヒットするまでの失敗の歴史を、大学生が分かるようにひも解いていきます。

ブランド研究vol.1はみんながコンビニでつい買ってしまう商品

ご存知、サントリー社グリーンDAKARAです

写真引用:サントリー社グリーンダカラ ブランドページhttps://www.suntory.co.jp/softdrink/greendakara/product/gd/

2012年発売で、すでに発売から5年以上経過している大ヒット商品です。確かヒット大賞も受賞していたような(調べていませんが)

「果実などの11種類の素材を使った“水分補給飲料”」をコンセプトに発売したのですが、この商品がヒットした背景と発売に至るまでの失敗の歴史を目に見える範囲から考察します。


①グリーンDAKARAの成功には、しくじりに学んだ歴史があった…?!

DAKARAブランドからの商品ということで、DAKARAが元になったものと思いきや、実は風味から見ても前身は別の商品です。

写真引用:サントリー社ホームページhttps://www.suntory.co.jp/news/2011/l_img/l_11099-1.jpg

グリーンDAKARAの前身は2011年発売の「Naturai」という商品。

満島ひかりさんが汗だくになりながら自転車を漕ぐ姿が印象に残っている方もいるかもしれません。当時、天然素材による商品が注目を集め始めていた背景から、新しい発汗時補給飲料として夏に発売されました。

しかし、発売してから鳴かず飛ばず。発売初年度に終売を迎えた商品に。ナチュライがうまくいかなかった理由としては以下3つと分析します。

・当時の競合環境

今でもそうですが、サントリー社における競合商品の2大巨頭は「アクエリアス」と「ポカリスエット」

この2つに対抗する商品はそれまで「DAKARA」でしたが、やはり見劣りしていた事でしょう。このスポーツドリンク市場に対して「天然素材配合」という新しい切り口とした商品でしたが、市場に大きなインパクトを与えるほどの切り口とはなりえませんでした。

・商品の味わい

海洋深層水を使用して、海藻系素材も配合した処方設計でしたが、独特の臭みとぬめりのある味わいで、飲んだ後のスッキリ感が…

・プロモーションCMについて

CMの訴求ポイントも今一つ。満島ひかりさんが、全力で汗だくで自転車を漕ぐ姿は印象的なので、かなり強いインパクトを与えるCMでしたが、尋常じゃない汗をかいていたので、かなりスポーツシーンに限定した使用訴求となってしまいました。スポーツシーン訴求の前に立ちはだかるアクエリアスの壁…。まして、学生にとっては天然素材のぬめりのある味わいよりもスッキリ感の方が好まれることに。

という事で、せっかくの新コンセプト商品でしたが、競合商品を意識した結果、カテゴリーの同質化に自ら陥り、売れませんでした。


いきなり長くなってしまったので、グリーンDAKARA発売時のヒットにいたる戦略考察は以下別のページで。

➁グリーンDAKARA商品化にあたっての競合商品との差別化

③プロモーションにおけるターゲット層の選択と集中

④商品リニューアルで大きく変えた戦略転換(現在をさっさと知りたい方はこちら)


ブランドマーケッター&ヒットマーケティング研究家 藤本たぬき

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