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漫画「メタモルフォーゼの縁側」の言語化できない優しさを言語化したい

「メタモルフォーゼの縁側」という漫画を久しぶりに読み直しました。

BL漫画にハマった75歳の市野井雪さん。
ひょんなことから女子高生の佐山うららさんとBL友達になり……というあらすじです。

全5巻なので読みやすい長さ。
ハラハラドキドキというよりは、登場人物たちのこまかい心情や、空気感を楽しむタイプの漫画です。

この作品の良さって、言語化しづらい「雰囲気」だなと思ったので、なんとかそれらの言語化に挑戦します。

ちょっとだけネタバレあるかも!

注意書き

行動的な75歳⇄ちょっと受け身な17歳

主人公のひとり、うららちゃんはオタク気質。社交的なほうではなく、どちらかというとマイペース。序盤はわりと受け身かも。
一方、75歳の雪さんはがんがん行けちゃうタイプ。いろんな人に話しかけるし「ええい、ままよ!」って感じ。

ふたりの対比が心地よい。
だんだん雪さんの行動力に影響されて、いきなりおうちに行っちゃったり、何も考えずに電話しちゃううららちゃん。真逆のふたりが互いに影響しあうのってめっちゃ好きだ。

でもBL漫画の感想にかんしてはわりと似通っているところも面白い。(そこの解釈がちがうタイプだったらどうなっていたのだろう……)

幼ななじみとその彼女

うららちゃんには紡くんという幼なじみの男の子がいます。
どちらかというとチャラそうな、彼女持ちの子なんですが、うららちゃんに対しては昔と変わらずフランクに接してきます。
一方で、紡くんの彼女とうららちゃんは、お互いの顔や名前は把握してるけど、友だちとかでもなく、微妙な関係性。

この三人の関係がとても絶妙です。
目に見えて派手な事件が起こるわけではないんですが「あ、この子はうららちゃんに対してこう思ってるのかな……」とか「 紡くんは多分こういうことに悩んでるのかな……」とか、いろいろと想像してしまいます。

この三人にかぎらずなんですが、この作品はかなりハイコンテクストで、モノローグやセリフというよりも、表情とか構図で魅せてくれるところがあるので、読み手の想像力をかきたてると思います。

創作の楽しさ

BL漫画を通して仲良くなったふたりは、同人誌即売会に出かけたり、創作に挑戦したりします。
初めて漫画を描くうららちゃんがとても愛おしくなりますね。彼女にとっての創作って、創作そのものというよりは、創作をすることで人間とつながる、という意味合いが強いように感じました。

読みながら、自分が最初にコミティアに出たときのことを思い出しました。この漫画を読んで即売会に初めて参加する方もいるのかな?


まとめ

いろいろ書いたけど、最終的には「フラット」という言葉が思い浮かびました。

この漫画はとても静かで、穏やかで、だけど水面下にはたくさんの感情がゆっくりと流れている。
読むたびに新しい発見がありそうだ。

実写映画にもなりましたね。こちらはまだ観たことがないので、今度観てみようと思います。

書いてみたいもんだぜ……いい文章、ってやつを、サ。