ぬばたま

遠くに見えたぬばたまの闇は
そのほとりに立つと
じんわりと蒼く滲む

ひかりに目が眩んでいた

暗中で呼吸するその青
そのそっけない穏やかさに
ずっと気づかずにいた

遠くに見えたのは踏切の橙か
時にけたたましい電子音を味方に
静かな青の闇を追い払う

背後に響く波の音
そのとき揺蕩う空間は
ずっと闇のとなりにある

どこか遠くかもしれない。会うこともないかもしれない。 でもこの空の下のどこかに、私の作品を好きでいてくれる人がいることが、私の生きていく糧になります。