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《ソプラノが高い所で歌う秋》読響定期演奏会と日比谷公園について

私の朝のルーティーンは、ベランダに咲いている、ほんの2株の小さな花に水をあげることです。

10月17日(火)夕方、

サントリーホールで行われるコンサートの開演まで少し時間があったので、寄り道して日比谷公園を見て回ることにしました。

日比谷公園は開園120周年、めずらしい洋風の花壇、洋食のレストラン、洋楽の野外音楽堂を備えた洋風の公園として、当時から人気だったそうです。

日比谷公園の花壇はいつ行っても美しく、この日も秋バラがきれいに咲いていました。

日比谷公園の秋ばら「ミスターローズ」

そんな日比谷公園を後にして、サントリーホールまで、霞が関を通り抜けて約30分の道のりを歩いて移動します。

コンサート

読響 第632回 定期演奏会
サントリーホール19時開演、

出演者は、
指揮者、ピアニスト、声楽家4人、
新国立劇場合唱団、読売日本交響楽団、
総勢約150人。

プログラムは、
ヒンデミット:主題と変奏〈4つの気質〉
アイスラー:ドイツ交響曲〈日本初演〉

ヒンデミットの曲について

最初に演奏されたのはヒンデミット(1895-1963)の「主題と変奏〈4つの気質〉」という約29分の曲。演奏者は読響の弦楽奏者24名(8+6+4+3+3)に指揮者とピアニストです。

プログラム・ノートによりますとヒンデミットはブリューゲル(父)(1530頃-1569)の絵画をテーマとして作曲を始めますが、

ヨーロッパの戦火、アメリカへの亡命などの時期とも重なり、最終的には絵画から離れ、ストーリーを持たない抽象的なバレエ音楽として作品を完成させます。


この絵は、ブリューゲル(父)が1560年頃に描いた「子供の遊戯」という作品で、460年以上前(!)の公園の様子。


アイスラーの曲について

次に演奏されたのはハンス・アイスラー(1898-1962)の「ドイツ交響曲」という日本初演、全11楽章、演奏者約150名による、約64分の大曲です。

約80名の合唱団がステージ後方の二階席へ、約70名の交響楽団がステージ上へ、あとは指揮者と4名の声楽家が登場するのかと思いきや、

ステージ上には指揮者と声楽家のメゾ・ソプラノとバリトンとバスはいるのですが一人足りません、ソプラノがいません。

いちばん華やかで目立つはずのソプラノがステージに現れない、そして、この点については説明がありません。

意味がわからないまま演奏は開始され、二階席の合唱団も歌い出し。

合唱が休止したあたりで、どこからともなく高い声の(意味深な歌詞で)悲しげな歌声が聴こえてきます。

このあたりでやっと私にも理解できました。ソプラノのアンナ・ガブラーは二階席の合唱団の最前列に紛れ込んでいて、その高い所から歌っているのです。

このように冒頭から、意外な演出に驚き、魅了されて始まり。

歌い終わると、アンナ・ガプラーは二階席から去り、次に現れるのは最後の第11楽章、今度はステージ上で(これまた意味深な歌詞の)短い旋律を歌って終わります。

第2〜10楽章も十二音技法やジャズの要素も含まれた軽快さ、不気味さ、重厚さを感じる完成度の高い演奏で圧倒されました。

最後に、

毎朝花に水をやるのと同じように、毎月一定額を投資する、そういう手段を「ドルコスト平均法」というそうです。

たった2株の小さな花でも、毎朝水をやって花が咲くのは嬉しいことで、

同じように、毎月小遣いを積立のように投資して増やせたらいいですね。私の場合、そのお金で演奏会へ行き、また、いい曲、いい演奏に出会いたい。


と、積立や投資の話としてみたのは、
この日、10月17日が「貯蓄の日」だったから。


読んでいただき、ありがとうございます。

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