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今日は投票日

 丁度お昼の時間に衆議院選挙の投票に行ってきました。感染対策で投票所に入る人数が制限されているだろうとは思いましたが、列を作っているのには驚きました。朝から買い物に出かけた家内によると、午前中は道路に溢れるほど列が続いていたそうです。雨が降るという予報が出ていましたから、その前に投票を済ませようということだと思うのですが、この天候も選挙に影響を与えるのでしょうか。

 せっかく投票にも行ったことですし、今回の衆議院選挙について考えてみたいと思います。

1)なぜ、盛り上がらなかったのか

 自民党総裁選に比べると盛り上がらなかったという印象を持っているのですが、そんなことは無かったでしょうか。コロナ禍で街頭演説に多くの人を集めにくかったということもあるでしょう。岸田総理によって短期決戦に持ち込まれ準備の時間も選挙活動の時間も限られたということもあるでしょう。候補者によっては、不完全燃焼だという人もいるかも知れません。しかし同じコロナ禍でも、自民党総裁選は面白かったと思うのです。

 まず第一に、菅前総理が立候補を断念し、候補者が乱立したことで、同じ自民党でありながら随分違うことをそれぞれが考えていることがわかりました。誰が何を言っているのか関心が高まったと思います。一方、衆院選では大きな争点であり得るコロナ対策、経済対策について、特に政権与党の自民党と最大野党の立憲民主党の違いが、わかりませんでした。選挙公報で立憲民主党と自民党を比べてみましょう。

 コロナ対策について。立憲民主党は「新型コロナから命と暮らしを守り抜く」。一方、自民党は「感染症から命と暮らしを守る。」とほぼ同じことを謳っています。その上、立憲民主党は方策として「医療体制強化と集中的な感染防止、強力・広範な生活・事業支援」と書いています。立憲民主党からすれば政権与党は失敗していると言いたいのでしょうが、自民党政権にしても医療体制強化や生活・事業支援に努力していることは確かな訳で、なぜ自民党には「国民の命と暮らしを守る」ことができなくて、立憲民主党には「国民の命と暮らしを守る」ことができるのかわかりません。これでは同じことを言い合っているようにしか見えません。

 経済対策について。立憲民主党は「一億総中流社会の復活。分配なくして成長なし」。一方、自民党は「新しい資本主義で分厚い中間層を再構築する。経済には成長と分配の両面が必要です」と訴えてます。これまた「分配なくして成長なし」「成長と分配の両面が必要」、同じことを言っているように見えます。実際はコロナ対策も経済対策も違いが沢山あるのでしょうが、私には伝わってきません。岸田総理は総裁選の時から様々な政策について示しています。自民党が今回の衆議院選挙で、どのような公約を打ち出してくるかは大体わかっていたのですから、最大野党の立憲民主党は違いを浮き彫りにして、何故自民党にはできなくて自分たちにはできるのか。国民の興味を引く論戦を挑んで欲しかったと思います。

 第二に自民党の総裁選は、派閥による総裁選びにならなかったことでしょう。派閥の力関係だけでは予測がつかず、河野氏、岸田氏、高市氏にもひょっとしたらチャンスがあるのかもと思わせる選挙戦でした。結果も多くの予想とは違って岸田総理が票を伸ばしました。選挙前から結果が見えている選挙では面白くもおかしくもありませんが、今回はひょっとしたらひょっとすると思わせたところに、投票権もない国民にも興味を持たせたのだと思います。

2)情勢調査が与える影響は

 マスコミ各社は、その時々で選挙情勢を調査しています。その結果を見てあれっと思ったのは、朝日新聞は「自民が単独過半数確保の勢い、立憲はほぼ横ばい」と自民党が優勢と報じているのに対し、産経や読売は「接戦区で立民優勢、自民苦戦」というような結果になっていることです。最初は与党に厳しい朝日新聞が、自民党に油断させようと自民党に甘い結果を報じているのでは?とゲスの勘ぐりをしたぐらいですが、政治評論家の田崎史郎氏がテレビ番組で語っていたところによると、情勢調査には非常に費用がかかるため今回、朝日新聞はやり方を変えてネット調査を導入したとか。他社は従来と同様な方法で行っているようですが、もし朝日の調査の方が選挙結果に近かった場合、次回から他社も方法を変えるのではと話していました。いずれにせよ与党が危ないとなれば与党支持者は選挙に行かねばとなる気がしますし、国によっては選挙結果に影響を与えるから情勢調査には規制があるそうです。マスコミの報道がどのような影響を与えるのか気になります。

3)実は誰も政権交代が起こると思っていない?

 今回、野党5党の候補者一本化が進み野党が躍進し、与党は議席を減らすと多くのマスコミが予想しています。岸田総理も「自公政権に委ねるのか、立憲民主党、共産党の野党勢力に委ねるのか。これが選挙で問われている」と訴えます。

 ここで、もう一度選挙公報を見てみましょう。国民民主党は「現金給付」「消費税減税」「ベーシックインカム創設」などが目を引きます。社民党は「消費税3年間ゼロ」「子育て・老後、教育の無償化」、れいわ新選組は「消費税廃止」「20万円現金給付」、日本維新の会は「最低所得保障」「議員報酬、議員定数3割削減」、日本共産党は「消費税5%に減税」「最低賃金時給1500円」、嬉しい公約が並んでいます。それらの政策の良し悪しはわかりませんが、ホントに実行できるのでしょうか。その点、立憲民主党は具体策を謳うと実行できるか不安なのか、具体的な施策を選挙公報では書いていません。一方「暮らしの安心への投資」とか「まっとうな政治」と書かれても困ってしまいます。政権を担っている自民党、公明党は選挙に勝てばやらなければなりませんから背伸びをしても現実的。ひょっとすると野党は躍進すると言われているのに、自らは政権交代が起こらないと考えているから、バラマキ政策を謳っているのでしょうか。

 立憲民主党の枝野代表は「ぶれ続ける岸田首相を選ぶのか、一貫している枝野を選ぶのかが争点だ」と語っていました。「岸田を選ぶか、枝野を選ぶか」という問いはマズかったのではないでしょうか。10年程前の民主党政権、その顔だった一人が枝野代表です。民主党の功罪については、色々な見方がありますが、大混乱を引き起こしたことは事実でしょう。生まれ変わった姿、さらに言えば過去を引きずらない新しい野党を期待したいのですが、「岸田を選ぶか、枝野を選ぶか」と言われれば民主党政権を思い出してしまいます。「まだ政権交代の準備ができていないから岸田首相を選んでね」というように聞こえてしまうのは私だけでしょうか。

4)不思議なこと

 今回、立憲民主党と国民民主党の党名略称が同じ「民主党」となったのは何故なのでしょう。調整はつかなかったのでしょうか。「民主党」と書いた場合、それぞれの得票割合に応じて票を割り振る「案分」になるそうですが、両党にとって良いことは無いと思うのに、何故こんなことが起きたのか不思議です。

 なんともはや野党に厳しいことを書き連ねてしまったようで、野党支持者の皆さんには申し訳ない限りです。しかし今回、自民党にとって厳しい選挙であることは良いことだと思います。前回の選挙で勝ちすぎている自民党の自力ではなく党勢で当選したような議員は落選すべきです。政治に真摯に取り組まない人、不祥事を起こすような人は落選した方が政権運営は上手く進むのではないでしょうか。数の力ではなく、議論を重ねることでより良い政策を生み出す与野党の関係を望みます。

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