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「情報を食って」生きている世界にあらがう術

U理論、アンラーニング、デザインシンキングなどをベースに、現代の情報過多な文化に相対するための処方箋について書こうと思う。


情報過多という逃れられない「外圧」

「あいつらラーメンを食ってるんじゃない。」「情報を食っているんだ!」
「ラーメン発見伝」から引用

この言葉は「ラーメン発見伝」というマンガで、主人公最大のライバルにして宿敵のラーメンハゲが主人公に言い放つセリフ(らしい)。
(このマンガは読んだことがないのでこのくらいの知識しかない)

「客は金を払ってくれればいい」というラーメンハゲの価値観が色濃くでている言葉だし、「商品は情報とセット」という考え方自体、ビジネスをやっている人間であれば誰しも思い当たること。
情報と対象が紐づいて、より魅力的に、より高付加価値なものとしてマーケティングされる(する)。

現代社会において、ほとんどすべてのビジネスは「情報ビジネス」だと言っても過言ではない。
人々が買っているモノは、モノではなく情報。
生産地の背景や作り手の哲学までもが語られなければ、消費者の心には響かない。「何かを食べる」という行為は、「対象の情報」とセットで紐付いた一つの体験になってしまっている。

情報化の波は鮮度に満ち、めずらしいもの、新しいものを求めて漂っている。情報は、一瞬の隙をかいくぐって無意識に浸透、洗脳してしまう。

でも、生活者の本音は、生き生きと活気に満ちた暮らしをしたい、ただそれだけだ。

究極的に言えば、そこに情報があろうがなかろうが、ほんとうは関係のないこと。情報化社会は、スマホやWeb3 、メタバースなんかの技術論にとどまってはいけないと思う。それを乗り越えた先に、人間らしい生活(Humanity)をおくるための道具に昇華しなければいけない。

そういう時代を一緒につくろうという共感の波だけが、この海を越える方法だ。

いつもの習慣がもたらす「内圧」

とはいえ、そんな外圧が悪い、僕が苦悩しているのは周りのせいだ、と言い放ってばかりでは成長はない。
そこで、自己惰性のパターン、つまり「イケてない内圧」を変える術を考えてみたい。

マザー・テレサ

自己のパターンが認知バイアスとなって、惰性の思考・言葉・行動・習慣・性格となって認識し、それが良くも悪くも増強される。

そう。良く語られるフレーズではあるけれど、
運命を変えたければ、自分の考えを変えること。

その変え方をプロセスに落とし込んだ理論がある。
セルフカウンセリングやビジネスイノベーションの界隈で話題のU理論

U理論とは、個人、組織、コミュニティー、社会における変容・変革を導く7段階のプロセスを理論化したもの。
マサチューセッツ工科大学 スローン校 経営学部上級講師であるC・オットー・シャーマー博士によって生み出された新たな「現実」を生み出すための理論。オットー博士は世界中のリーダーへのインタビューや、イノベーションの仕事を通じた経験を調査し、組織や集団がイノベーションを起こすために、どのようにリーダーシップ能力を開発するべきかを調べた。

U理論の提唱者 C・オットー・シャーマー

シャーマー博士はこう言っている。
「我々がすることは、行為や思考の習慣的なパターンに従っていることが多い。おなじみの刺激は、おなじみの反応を触発する。将来の可能性に向かって動くには、我々が過去のパターンを再現し続けているダウンローディングのモードに支配されていることに気づき、それを捨てなければならない。」

『U理論(第二版)』 (英治出版)p203
「U理論の7つのステップ」

ざっと簡単にプロセスを見てみると、
今現在の自己を批判的に振り返り(Seeing)、持っている常識や価値観を放棄し(Sensing)、意義や信念を保留する(Letting Go)。
そして、深い深い自分の源流を見つめなおし内省する(Presencing)。そうすると、新しい自己(Letting Come)、新しい現実が見え始める(Crystalizing)。っと。

この7つのステップは、アンラーニングと相似だと思う。

アンラーニングとは、学びほぐし。
「ルーティン化された行動・慣習、そして信念に関する変化」
「染み付いちゃったものを、痛みをともないながら、変えること」

アンラーニングは「痛みをともないながら」というのところが肝で、
内省するにしても、自分を批判する事柄を取り入れて信念までも変化させる、極めてマゾヒステックなプロセス
自分が信じてきた信念を変えるには、一回死ぬほどのおもいをするくらいのインパクトが必要ではないかと思う。
転職やキャリアチェンジ、引越し、結婚、離婚なども小さいアンラーニングにはなるのかもしれないけれど、
例えば、家族が離散するとか、資産を盗られるようなこと。そんなレベルのことでないと内省後に信念を手放したり、変えることはできないような気もする。
残念ながら、私にはその経験はないかな。。。

経験してみないとなんともわかりにくいけれど、これらはデザインシンキングと良く似たところがある。つまり、現在を洞察し、自分の外側にある価値を見つめ直し、取り入れ、新しいフレームやコンセプトを創造する思考と似ている。
どちらもビジネスごっこ遊びにならないようにするには、自己のキチンとした内省ができるか、が重要!!
(この辺りは別の機会にまた書こうと思う)

自己の拡張。自分はどこまで?

U理論とアンラーニング図解

ここまで、「外圧」つまり外的環境と「内圧」つまり内省化の対立軸で語ってきた。
情報過多時代、ある特定の情報を悪者にして自分の正しさを論じることは容易い。
しかし、自分が正しいと思っている世界を超えて、外に出て行き情報を摂取する行為自体が、セルフオブザベーション(内省)でもあるんだと思う。
エスノグラフィーにも通じるけど、顧客の中に答えがあるのではない。
顧客を通して、自分の潜在性を観る。それが、パターンを再認識し、再構築し、イノベーションにつながっていく。


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