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【後編】ジャンプ系は2020年から腐女子向けヒットがなくなった! BLと女性オタク向けコンテンツの相関関係

前編では、BLコミックや実写化作品など直接的にBLと関連性のあるコンテンツを中心にお話しました。
今回はアニメ、ソシャゲ、同人誌といった所謂オタクコンテンツの10年史を見ていきたいと思います。

BLとアニメの相関関係

主に腐女子から人気を博したアニメ作品はざっとこんな感じでしょうか。
こうして見ると圧巻ですが、はたと気づきました。

…2020年の『呪術廻戦』を最後に腐女子が熱狂する新作アニメが出ていないのでは?

たしかに『東京リベンジャーズ』『ブルーロック』など毎年新しい作品が界隈を賑わせてはいます。
しかし、2010年前半~中盤にかけて『銀魂』『黒子のバスケ』『ハイキュー!!』『進撃の巨人』『弱虫ペダル』『おそ松さん』『僕のヒーローアカデミア』といった巨大コンテンツが次々現れた時代を経験している我々からすると、あの頃の勢いはどこへやら…。人気コンテンツ出現頻度はすっかり下がってしまったように感じます。

1980年代の大ヒットコンテンツである『キャプテン翼』『聖闘士星矢』から始まり、『少年ジャンプ』本誌に連載された漫画が脈々と腐女子の二次創作のメインストリームを形成していたが、2016年をピークに二次創作を触発する漫画の出現が少なくなっているのが気がかりです。(余計なお世話)
現在ではジャンプ本誌より『少年ジャンプ+』に活気を感じるが、腐女子層はあまり取り込めていないように感じ、二次創作の源である集英社漫画からの供給不足に陥っています。
かわりに講談社マガジン系はこれまでの腐女子に媚びない方針を一気に転換し、『ブルーロック』では完全に腐女子向けに舵を切っています。
伝統的にマガジン系はジャンプ系と異なり、腐女子の扱いがいまひとつ丁寧でないところがあり、最後まで腐女子にいい顔ができない文化があります。それだけに『ブルーロック』の施策のこれからが多いに注目されます。

BLとソーシャルゲームの相関関係

ソシャゲを始めとした声優コンテンツ(CD・BLCD含む)は時代の波に左右され、大きなうねりを見せています。

2013年にドコモがiPhoneを扱うようになりスマホが急速に普及してから、アイドルソーシャルゲームが一気に広がりました。 特に2014年から2015年のソシャゲコンテンツの広がりは、今思うと爆発的でしたよね。
そんな中、スマホではなくPCを主体とした『刀剣乱舞』が短期間で誰もが知るゲームとなったのは奇跡的といえます。

2017年、CDを起点とする『ヒプノシスマイク』の人気は新たなコンテンツの新たな可能性を感じさせました。
そしてソシャゲ、CD業界が最後に新コンテンツで湧いたのが2020年。
『ツイステッドワンダーランド(ツイステ)』『原神』がリリースされるやいなやヒットを記録。初期こそ「ツイステ」が先行したものの、『原神』が驚異の追い上げを見せ、女性向けソシャゲの覇権を奪ったといっても過言ではありません。
このようにソシャゲを日常的にプレイしているユーザーはかなりの数となっており、業界全体は非常に活気があります。
しかし2020年以降新作がヒットしにくい状況になっており人気は固定化、まさに「ご長寿コンテンツ」でもっているジャンルと言えます。

BLと同人即売会の相関関係

コミティア主催 Jガーデンのスペース数推移(オリジナルBLの同人誌)

赤ブーブー通信社主催イベントの推移(二次創作同人誌)

2020年3月から2023年の春先まで外出が控えられていた時期はイベント事態の存続、またコロナ後でも客足が戻るか不安視されていました。
コロナの勢いが落ち着いてイベントの制限が緩和され始めてから早一年、同人即売会は以前と変わらぬ賑わいを見せています。

SNSでの作品発表や電子媒体での販売などが盛んになるにつれ、同人即売会はその役割を徐々に失っていくように思われましたが、その心配は杞憂でした。
同人即売会は目当ての本をグッズ感覚で購入したり、お気に入りの作家さんや友人に会うといったお祭り気分を味わう要素が重要視されていることが改めて認識される機会となりました。

また、新たなコンテンツから旬な人気ジャンルが現れ、賑わいを牽引しているわけではなく、主に既存作から全体的、継続的に二次創作が生み出されていることが多くなっています。これは過去の流れからするとかなり特殊な状況であると言えるでしょう。

まとめ

BLと女性オタク向けコンテンツの10年史

2016年までの黄金期を経て、2020年に一瞬起こった同時多発新コンテン
ツが特徴的となっています。
BLコミックに至っては、2020年を境に闇から光の時代へ変遷を遂げています。

また、弊社サンディアスには大学生のインターンが30名ほど在籍していますが、昨年ぐらいから不思議な現象が起こっています。
『HUNTER×HUNTER』にハマった 、『うたプリ』熱が再燃した、 『イナズマイレブン』を突然見始めた…といった声が次々とあがるようになったのです。
中には周年キャンペーンやイベントが開催されたりと供給があったケースもありますが、特にこれといったきっかけなく過去コンテンツに興味を持ち始めている人もいます。

Z世代が突然10年前のコンテンツに回帰するという目に見えない"時代の力"が作用していると感じるとともに、こんな時はいくら魅力あるコンテンツを制作しても波に乗れず浮上できないのではと思ってしまいます。

国内アニメ、ソシャゲは、既存コンテンツのメンテ重視

アニメ映画の海外人気が喧伝され、足元がわかりづらい状況になっていますが、アニメ、ソシャゲ、アイドルなど女性向けコンテンツを見ていくと、2020年からほぼ国内新規のコンテンツのヒットが止まっている状況です。

しかし時代は流れ、10年後にむけて大幅な方針転換を決断する局面となりました。
既存の日本国内重視、北米展開の枠組みでいくのか?アジアコンテンツを積極的に取りいれて協調展開していくのか?

少なくともここ2年の動きで、今後の展開が決定していくのではないでしょうか。


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