旅する日本語 第5語 「幸先の悪い1111」
「おめでとうございます」
まさか、この言葉を聞けずに終わることになるとは思っていなかった。
その日は朝から冷えていた。雨はなんとか降っていないことに安堵する。けれど早朝からスタジオに向かう途中、乗り換え駅の渋谷で彼と2人してトイレに駆け込むような事態に、不安しかなかった。幸先が悪すぎる。
なんとか時間までにスタジオ入りし、準備を始める。ドレスを着て、ヘアスタイリング、メイクをしてもらう。
目立つことが苦手な2人が、それでも記念に残ることをしたい、と選ん