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【雑記】金沢旅行三日目

 三月九日、出立日。七時前に起床し、近江市場をうろつく。開いている店はあまり多くない。
 「市場屋」で朝食。ミニ海鮮丼と金澤おでんを食べる。ミニとはいえ、魚介はじゅぶんな量で新鮮。おでんは大根と貝二種類とナルトとお麩。
 部屋に戻ってすぐ屋上風呂に行く支度。十時ぎりぎりまでサウナに入っていた。チェックアウトに合わせて風呂に入ろうということは誰でも考えるのか、サウナは人多め。水風呂で目覚める。最後は坪湯。
 撤収は簡単。パソコンと充電器をリュックに放り込むくらいである。
 チェックアウトして宿を出た。荷物を預かってくれるのが親切。 お薦めいただいた「東出珈琲店」でブレンド(苦めでうれしい)と手作りデザートプリン。どちらもおいしい。プリンはケーキ型をしているのが珍しい。落ち着いたー。
 妻はえきねっとで帰りの新幹線の切符をゲット。あまり席がなく予定よりすこし遅い17時56分発のかがやきになる。
 今日は兼六園に行く予定。兼六園もお待ちかねのはず。これからは後は
金沢駅周辺で過ごすのでよほどのアクシデントがない限り、楽勝のはずである。
 まず金沢城公園へ行く。一面の芝生。たいしてなにもないなと思っていたら、妻が石垣にはまる。まさかの石垣巡礼が始まる。ついには五十軒長屋にまで入る(有料だよ。クーポンが使えたけど)。外は馬鹿陽気だが、内部は寒い。上着を着込む。長屋と言いつつ人が住むわけではなく、櫓と櫓をつなぐ倉庫である。石落としなどを見学。
 金沢城全体図の立体模型と五十軒長屋を再建した時の内部構造モデルが置いてあり、目がいく。
 時間はどんどんたつ。果たして兼六園にたどり着けるのか!という状況ではあるが、腹が減った。
「百万石通りに出ればなんとかなるか」
 だいぶ歩いて「グリルオーツカ」へ。長蛇の列に並ぶ。どうしてこんなに込んでるのかしらと思ったら、ハントンライスの誕生の地であった。聖地。
 行列中にオーダーしていたのになかなか料理が来ない。丁寧な仕事なのか。金沢のソールフード、ハントンライスの正体はざっくりいえばオムライスであった。謎がひとつ判明。
 残るタスクは兼六園のみ。徒歩で真弓坂口に向かう。急坂が続き、妻が音を上げた。「天罰かも」というと睨まれる。
 ようやく料金所にたどり着き、中に入る。ベンチで休憩。妻は時計を見ながら、
「四十五分かな」
 えーっと兼六園が嘆息する声が聞こえた。
 梅林に向かった。まだ咲き頃ではないが、ちらほらと花も目に付く。老木が多い。撮影しているうちに四時をすぎた。
 もう時間である。時間がないとなったとたん、道に迷う。どこへどう出てホテルに戻ったらいいものやら。
 今度は階段を下って上坂口を出る。まだまだ坂を下る。下の道路に出てタクシーを拾い、ようやく御宿野乃にたどり着いた。運転手さん、御宿野乃のことをよく知っている。もりもり寿しでは、あら汁を頼むべきであったとのこと。
 預けていたリュックを受け取り、バスで金沢駅へ向かう。教えてもらったお土産街がなかなか見つからず。妻の当たりが強い。私は入り口で荷物の見張りをすることになった。疲労とリュックの重さのせいだとわかっているが、キツかった。お土産選びは妻に任せる。
 自分の新幹線飯は「金沢名物笹寿し」にて「鯖棒寿司」、1180円を求める。妻は柱の下あるベンチにへたり込む。ホームに上がってしまうと休めないからだろう。しかし一度あることは二度ある。えきねっとで予約した新幹線、予約できていないような気がしてならぬ。二十分前に「行ってみよう」と改札にスマホをかざしたところ、やはりダメだった。座席指定はできているのにチケットが購入されていない。
 自動販売機前は長蛇の列。大丈夫か。
 なんとか間に合う。生茶を買って17時56分発の新幹線に乗り込む。170円。飲み物代、どんどん高くなる。北陸新幹線にはオフィス車両があり(もうすぐ廃止されるらしいが)自由に使っていいらしい。移動。鯖棒寿司を食べていると、あとから妻も合流。横で経費を入力している。私は月日会への日記投稿。トンネルばかりで電波が途絶し作業一向に進まず。
 大宮を過ぎるとあっという間に東京駅だ。壁に稲垣吾郎の芝居のポスターが貼ってある。妻が執念の撮影。
 丸ノ内線に乗る時にもちょっとトラブルがあった。iPhoneのウォレットでSuicaをエクスプレスカードにしていたので、地下鉄に乗れなかったのだ。切り替えてなんとか乗車。
 帰宅して近所にお土産を持っていき、笹寿司を喰う。
 これにて金沢旅行はおしまい、と言いたいところだが、妻がスマホの充電ケーブルが見つからぬと言ってあたりをうろうろしている。まだまだ旅の余韻は続く。

(了)

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