隠しオプション
息子マニュアルを発見した。本棚の二列目に隠してあった。
さっそく起動編を読んでみる。
アラームをセットします。アラームが鳴ります。起きません。アラームは10分おきに鳴ります。起きません。苛立った親が部屋に入ってきて、怒鳴ると、息子は意識を回復します。まだ体は動きません。朝飯を作るとにおいに惹かれてベッドから離れます。ベーコンの焼けるにおいにとくに敏感に反応します。
まるで見てきたような描写。毎朝のあれは仕様だったのか。
ページをめくると、起動オプションという項目があった。
ネコをベッドに放り込むと、起床時間が5分早まります。
ネコを三匹同時に放り込むと、負傷します。
なるほど。
赤い文字で「Caution」と書かれた項目もある。
生姜とニンニクを溶かした鶏ガラスープを飲ませると、夢で見たことを3分間喋り倒してから目覚めます。
面白そうだ。今度、試してみよう。
しかし、もっと楽に起こせる方法はないものか。
髑髏マークの項目には、こうあった。
お腹のうえに石を乗せて、貝をもたせてください。無意識のうちに貝殻を割ろうとして、衝撃で目覚めます。
おーっ。これだこれ。
ただし、貝は新鮮なものを使用しないと、腹を下して三日間、使用不能となります。
(了)
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