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春時雨 なかなか来ないバスを待つ

 娘の引越しと息子の伴奏合わせの日程が重なり、週末は2週連続で息子と犬に留守番をさせることになりました…。こうなると思わずにコンクールに申し込んでしまった私のミスです。かといって今からやめることもできません。とりあえず、来週の週末に1人で先生のお宅まで行けるように、今週は一緒に電車とバスを使って練習です。
「母ちゃん、これ、全部僕が持つの。」
「当たり前でしょ。当日はあんたが1人で行くんだから。」
伴奏合わせ後にそのままジュニアオケの練習に行くことになるので、バイオリンを背負って右手にビオラ、左は楽譜を入れたバッグを肩にかけて傘を持ち、かわいそうですが練習なので持ってやるわけにはいきません。速歩きで駅へ向かい、電車に20分ほど乗って、次はバス停へ向かいます。
「母ちゃん、ほんとにここで合ってるの。」
「合ってるよ。◯番のりばって書いてあるでしょう。」
「え、でも。」
「何?」
何か間違ったかとバス停回りをきょろきょろ歩いていたら、春雨で濡れた歩道の段差を踏み外して転倒。大人にはありえない派手な転びっぷりで、道路に倒れ込むことに。
「大丈夫ですか。」
「あ、大丈夫です。」
同じくバス待ちの優しい紳士に声をかけられ、慌てて立ち上がりました。ちょうど車が来なくてよかった。こんな死に方したら、恥ずかしくて誰にも言えない。

 それにしても、バスが来ません。定刻を10分過ぎても来ないので、このままでは時間に遅れると焦って先生と夫に電話し、その5分後にようやくバスが来ました。バスを降りた時は予定を2分過ぎており、ちょうど来た夫の車で先生のお宅へ10分遅れで到着しました。

 慣れないことをすると、次から次へとうまくいきません。軽く擦りむいた足をさすりながら、これくらいですんでよかったじゃないと自分を慰めました。

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