『かりん』2024年3月号掲載作品
夕暮れは画面の中に冷たくて月が浮かんだ手のひらの空
背伸びした鋭くきゃしゃな鳥のあし かかとの高い靴からぬけて
水圧の強いホースがいうことを聞かないような性急(はや)すぎた恋*
デバイスの先に感じるあなたとは側でなくても見つめあうよう
あの人はこう この人はこう、さてと そういう私はいったいどうか
昼休み苦い思いに傷ついたひとが立ち寄るコーヒーショップ
*: かりん4月号「前月号の十首 Ⅲ欄」にて鹿取未放氏の選をいただいた。
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