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【伸筋の連動とブリッジ】武術の体の使い方をブリッジでトレーニングする

これは体の使い方、身体機能向上などに関する研究メモです。

研究中の内容ですが、一部の方にとっては役立つ内容かもしれませんので、有料記事という形で公開しています。

いずれ編集して、より読みやすい記事の形に整える予定です。

今回の内容は、
・伸筋の連動(勁力)が大事であること
・伸筋の連動は、私が経験してきた日本武術でも自然に鍛練してきたこと
・伸筋の連動は、ブリッジなどのワークでも鍛練可能であること

をまとめています。

執筆者 ふかやとしふみ
古武道師範、身体均整師(ボディデザイナー)。剣術を中心に武道・武術やさまざまなトレーニング、整体を実践する中で工夫してきた、体の不調改善、身体機能UPの方法を紹介しています。


伸筋連動とは

私は日本武術(剣術)や沖縄武術(空手)の経験しかありませんが、中国武術では「力」ではなく「勁力」を使うことが大事にされるそうです。

この勁力について、私は中国武術特有のものだろうと思っていましたが、下記の本を読んだことで「ああ、あの感覚のことなのかな」と繋がる部分がありました。

この本は極真空手で活躍された西田先生が、沖縄剛柔流、中国武術、大東流合気柔術も修業したことで、すべての共通する体の使い方の根本的なものを見出し、それを解説されている本です。

素晴らしい内容だったので、ご一読をおすすめします。

私は中国武術や合気は未経験ですが、剣術と剛柔流空手の経験があり、また他の沖縄空手と琉球古武術もかじりました。
また、その他にもいろいろなトレーニングを試してきたため、それらの体の使い方と一致するところがあるのでは?と思いながらこの本を読みました。

さて、この本の中で重視されているのが勁力を使うことです。

これは、簡単にいえば伸筋の連動のことであるようです。

伸筋とは、簡単にいえば「伸ばす」動きをする筋肉のことです。
脚でいえば、スクワットのように立ち上がる動きが「伸ばす」動きであり、この伸ばす動きをするときに使う筋肉が伸筋です。
腕でいえば、腕を曲げたところから「押す」「伸ばす」動きをするのが伸筋です。

勁力による攻撃は、単なる筋力に頼ったものではなく、軽く打っても強い威力が出るものだそうです。

そして、勁力は伸筋の「連動」であるという点が重要です。

勁力を出すには、脚の伸筋によって地面反力を使い、それを背中、腕の伸筋を使って手先まで伝えることが必要だそうです。
これが伸筋の連動です。

しかし、普通の体の使い方では、特に腕が力みやすく勁力をうまく使えないため、力んだり頑張ったりするほど強い攻撃ができない、ということ。

つまり、せっかく脚の伸筋から連動させようとしても、肩、腕など力みやすい部分で連動が途切れてしまうと、手先から相手に力が伝わらない。

そのため、力みを排して体を連動させる体の使い方を身に着けることが必要で、その方法はこの本の中で解説されています。

この記事で私がいいたいのは、このような伸筋の連動(勁力)は私がやってきた他の武術やトレーニングでもやってきたことと共通するのではないか、ということです。

また、この伸筋の連動という体の使い方は、他のスポーツ・武道でも必要なものだろうと思います。
この記事の中では武術を中心に書いていますが、他の運動をしている方は、その競技に読み替えればそのまま使える部分があると思います。

日本武術における伸筋の連動

空手におけるサンチンの鍛練

この本の中でも解説されていますが、伸筋の連動はサンチンで鍛練することができます。

サンチンは剛柔流系の空手流派では必ず鍛練される型だと思います。

しかし、普通のやり方ではむしろ「力み」を作ってしまい、伸筋の連動が鍛練できない可能性があるのが注意点です。

私も剛柔流空手の稽古でかなりサンチンをやらされましたが、当時は「なぜこの型をやるのか」よく理解できていませんでした。

しかし、最近になって(この本を読む前に)サンチンはやはり重要なのではないかと考えて、稽古しなおしていたところでした。

そこで私が考えていたサンチンの意義が、以下のものです。

①手先、足先までの「ねじり」を体幹からつくる。
手先、足先でねじるのではなく、体の中心からねじるイメージで、そのねじりを手足に伝えることでねじる。これによって、体の中心から手先の末端へと強い力を伝えられる。

②ねじりによって体を一体化させる。
上記のねじりによって、体の中心から末端までが強く繋がるため一体化できる。一体化することで、全身の重みやパワーを突き・蹴り・受けに伝えやすくなる。

③地面反力を手まで伝える。
地面を脚で押すことで反力を得て、それを手先まで伝えること。
サンチンの動きでは、反力を背中から手までのねじりに変換する。

この③の点は特に今回の本で書かれていたことと同じでしたが、伸筋の連動という考え方は持っていませんでした。

剣術における斬撃

日本の剣術は「引き斬り」であるとよくいわれます。

また、日本のノコギリは「引き切り」で欧米では「押し切り」であることから、日本は農耕社会だったため手前に引く動きが多い。
それが武術では剣術の「引き斬り」や柔道のように「引いて投げる」動きにつながっているといわれることもあります。

確かに剣術では引き斬りを使います。

しかし、だからといって体の使い方も手前に引く屈筋主導だというわけではありません。

むしろ、私が鍛練してきた剣術では、体をめいいっぱい伸ばす力を使って斬る体の使い方をします。

たとえば初心者に刀の振り方を教えると、たいていの場合、肘を曲げ、腕に力を入れて力んだ斬りをします。

しかし、私の流派ではこれを矯正し、肘を伸ばして背中の力を使い、さらに小指から脇までのライン(下筋)を使うことを指導します。

逆に親指から肩の上につながるライン(上筋)は使わない、力ませないように指導します。

簡単にいってしまうと、この上筋ラインを使うことは屈筋主導であり、下筋ラインを使うことは伸筋主導です。

このように、体の使い方を伸筋主導にして、背中の力を下筋を使って刀に乗せて伸びやかに斬るのが基本です。

他流の剣術はわかりませんが、やはり屈筋で斬るイメージはありません。
日本の武術でも、やはり伸筋の連動が前提になっているのだと思います。


さて、ここまで書いたように、伸筋の連動を使うことは武術において大事にされてきたのですが、私は武術に限らずあらゆる運動で大事なものだと考えています。

そして、この伸筋の連動はいろいろな動きの中で使えることも分かってきました。

特にブリッジの動きをちゃんとやるには伸筋の連動が不可欠です。

逆にいえば、ブリッジは練習の仕方によっては伸筋を連動させるトレーニングになり、スポーツ・武道をやる人にとって身体機能を向上させることができるのです。

下記の画像はブリッジではありませんが、これも伸筋の連動を使った体の使い方です。

この動きについて解説します。

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