見出し画像

ニコンは一眼レフから撤退しませんよ、日経さん

7月12日(火)、日経新聞(紙面、Webとも)に
ニコンが一眼レフの開発から撤退
のニュースを"スクープ"として報じました。

日経新聞Facebookページの投稿より(7月12日付)

しかし、ニコンはこの報道を否定しています。
なので、ニコン一眼レフユーザーの皆様には、今後も安心してお使いください、とのことです。

経済界・政界に関係なく、こういう憶測だけで報道する日経新聞には、私は驚きません。
まぁ、日常茶飯事に近いので、見た瞬間に憶測やデマだとは思いましたが(苦笑)
しかし、当事者が公式に否定していても、日経サイドからお詫びの掲載は見たことがありません。

さらに、経済アナリストの森永康平氏(森永卓郎氏の長男)に至っては、ラジオの中でこう言及されています。

プロのカメラマンと話したところ、ちょっとしたウェブ記事にスマホで撮った写真を使っても、特にカメラマンじゃない人が見たらスマホで撮ったと分からないレベルで撮れちゃうので。
文化放送「おはよう寺ちゃん」番組レポ
https://www.joqr.co.jp/qr/article/58692/

この内容、プロカメラマンと話したとありますが、どなたから聞いたのでしょうか?
森永氏には、きちんと明示して頂きたいです。
この一文だけでも、プロ・アマ問わず全てのカメラマンを敵に回しているとしか思えません。

報道するなら、撮影の"現場"というものを知ってからにしてほしい。

まぁ、最近のマスコミは直接現場取材せず、ネットだけで情報を収集・引用?するケースが多いです。
いわゆる「コタツ記事」と呼ばれるもの。
だから、以前と比べて報道の質が落ちているのは明らかです。

ニコンは、キヤノンと所謂"2強"として、オリンピックやW杯サッカーなどの世界一大イベントから地方のスタジオまで業務で幅広く使われています。
しかも、ミラーレス「Zシリーズ」が登場しても、"写真で生計を立てている"一眼レフユーザーは現在も多いのです。

オリンピック・W杯サッカー・モータースポーツなどの世界的一大イベントから、街の写真スタジオ・学校関係など、カメラだからこそ撮れる写真が多々あります。

激しい動きものなど高速シャッター&連写、暗所での高感度撮影、バルブ撮影など、スマホではできない撮影が多々あります。
また、ファインダーを通して画角を調整できるのも、カメラの強みです。
(私を含め)仕事で使っている方々は、"道具"としてカメラ選びにこだわりを持っているのですから、報道するならそこまで深入りしてほしいのです。

今回だけではありませんが、ここ数年のマスコミによるカメラ業界の取り上げ方は、異常に思えます。

一つは「一眼レフ」「ミラーレス一眼」の違いがおわかりでない人がいること。
「ミラーレス一眼レフ」と表現する人までいるくらいです。(どんなカメラか説明してほしい…)

もう一つは「ソニーをやたらと称賛する」記事が多いこと。

「フルサイズミラーレスで成功したソニーは凄い」
「一眼レフ中心でミラーレスに遅れをとったキヤノン・ニコンは遅れている」

というようなことです。
何せ、ソニーは(いい意味でも悪い意味でも)カメラ業界をかき回し、一眼レフを時代遅れのものにし、ミラーレスを主流にしようとしていたのですから。

しかし、2強とも技術力と実績で底力を発揮し、フルサイズミラーレスの開発・発売を東京オリンピック2020に間に合わせています。

このような業界の中にあって、キヤノンも例外ではなく、昨年(2021年)12月に読売新聞が御手洗冨士夫会長のインタビュー記事を掲載していました。
「数年以内に(フラッグシップの)一眼レフ開発・発売を終了する」という内容です。

会長という企業最上位の方の発言とはいえ、一眼レフユーザーの不安を煽ってるとしか思えません。
19年連続世界シェアNo.1だからこそ、もっとユーザーの立場に立って考えてほしい。
費用面だけでなく、システムや操作方法の違いなど、一眼レフからミラーレスへの移行は、そう簡単にはできないのです。

(ミノルタから継承したとはいえ)たった数年で一眼レフを捨てたソニーと違い、フィルム時代から一眼レフで60年もの実績を積み上げてきたニコン。
写真について常に追求し続けていますし、何せ60年ものFマウントシステムの歴史は重みが全然違います

マスコミはカメラ業界に疎く、しかも取材せずに憶測だけで報道する軽はずみなことは控えて頂きたいのです。
不安を煽ってどうしたいのか、理由がわかりません。
大きい見出しで"釣る"ような購読者を増やす施策だと思われますが、ネット社会の現在では意味がないと思います。

今後のカメラ業界・写真文化の発展のためにも、こういうデマ的な報道にはもっと声を上げていいと思います。

一眼レフのフラッグシップ「D5」
CP+2018ニコンブースにて

お読みいただき、ありがとうございました。
よろしければ「スキ!」、もしくはご意見・ご感想などお送りいただければ嬉しいです。

私自身の作品づくりはもちろん、カメラや写真の明るい未来を信じて活動します。 いただいたサポートは、喜んで有効に使わせていただきます。