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鳥人間コンテストに際した暑熱順化について

7月末の異常に暑い琵琶湖の上を飛ぶ人力飛行機のフェアリング内部は36度以上の自分の体温より高い温度になり、このような過酷な環境の中で長時間運動するには暑熱順化が必須である。今回は昨年の鳥人間コンテストに向けて自分が一ヶ月の間で取り組んだ暑熱順化について書こうと思う。
鳥人間コンテスト当日のパイロット冷却については以前noteに書いたのでそちらも合わせて読んでみて欲しい。

そもそも暑熱順化とは

人間は発汗による熱放散で身体の熱を体外に放出して体温を下げている。暑熱順化はこの発汗量や皮膚血流量を上げることで発汗を促進させ体温を下げやすくすることである。近年ではヒートトレーニングとして注目され噂ではヘモグロビンの酸素運搬能力が増えるらしい…ので貧者の高地トレーニングとも呼ばれているとかなんとか。有酸素運動能力の向上には一役買ってる。

実際にやったこと

ヒートトレーニング

本来はヒートランプテストを行い閾値を決めた上でヒートトレーニングを行うことが望ましい。が、昨年は余裕がなく外でSST強度で乗れる時間を基準にトレーニングを行った。

・ポイント練習以外のトレーニングは外で扇風機無しで。
どうしてもこなさなくてはならないパワーにフォーカスした練習(SST short)などを除き、つなぎの練習(SSTmedやLSDなど)は外で扇風機を付けずに行う。最初は10分持てば良いほうだったが後半は持続時間が増えてきた。
運動開始から体温が上がるまでには相応の時間がかかる。ヒートトレーニングゾーンに体温を持っていくためには十分なウォームアップが必要である。
自分の場合は20-30分かけてウォームアップを行い、その後体温をヒートトレーニングゾーンに持ち込んだ上でメインメニューを行っていた。
実験としてフェアリング内部の気温36℃を想定した環境で5.8w/kgの運動が継続できる時間を調べた。
結果としては一ヶ月間で
6月最終週20分
7月最終週45分
となり、運動時間の向上が見られた。
かなりキツいが琵琶湖で1mでも長く飛ぶ為だと思って耐えて欲しい。自分は6月中旬に初めて耐久回転試験をしたときこの状況下で1時間運動するなんて無理だろと思ったがそこからでもなんとかできたのであと1ヶ月あるなら十分なトレーニングができると思う。

一週間の具体的なメニュー例
月:フルレスト
火:ineos warm up(屋外)
水:SST short(屋外、ポイント)
木:SST med(屋外、繋ぎ)
金:SST short(屋内、ポイント)
土:回復走20minまたはフルレスト
日:TF

ヒートトレーニング中の自分

もっと詳細にヒートトレーニングについて知りたい!って人はIT技術者ロードバイクさんの記事を参考にしてもいいかも。

風呂

どんなに暑い日でも必ず42℃の風呂に入って10分間耐えてた。鼓動が明らかに早くなってから耐えられなくなるまで入り、タイミングを見計らって出るというのをほぼ毎日行った(あまり良く無い)。この他にはサウナに行くとかも良いかも。

冷房つけない

普段の生活においても暑熱順化を意識して長袖を着たり冷房を付けずに生活していた。もはやどこまで効果があるかは謎だがやれることはやっとこうと思っていた。
ただ、これに関しては自分は疑問があり、十分に回復ができないのなら夜は冷房つけて寝ても良いと思う。漕ぐことも大事だけど休むこともトレーニングの一環なので。

上記3つがおもに行っていたもの。このほかにもBHI渡邊さんのように定期的に熱い中ロングライドしてもいいかもしれない。(鳥人間に求められる能力はヒルクライムっていうよりツールドおきなわっていうのも納得)
1回でもヒートトレーニングしたら明らかに優位な差が出るみたいな記事もどっかで見た気がするのでまじでやって損はないはず。本番までまだあと1ヶ月あるのでぜひやってみてほしい。
今年の鳥人間パイロットの皆様が自分の実力を十分に発揮できることを心から願っています。

参考にしたITさんのブログ。まじで役に立つので全鳥人間Pは読んで欲しい。あと買えるひとはcore買ってちゃんと深部体温測ってトレーニングして欲しい。


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