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ツールドおきなわ2023市民200km、24位

市民レーサーの甲子園と言われるツールドおきなわ市民200kmに参加してきました。自転車を始めたときにはまさか自分が出るとは思っていなかった市民200km。今回はそのレースレポートです。


動機

国内最高峰のレースであるツールドおきなわ、ましてやそのトップカテゴリーである市民200kmに参加するなんて自転車を始めた時には思ってもいなかった。鳥人間を通して自転車に乗るようになり早4年、いろいろな仲間ができた。そのなかでもかなり親しい友人に一緒に参加しようと誘われ、彼と一緒ならと思い、参加することにした。

目標

19位
BHI渡邊さんの最高順位が19位だったのでそこを目標に。鳥人間をやっていた時から渡邊さんはずっと目標であり、追いつきたい姿だった。

トレーニングについて

いろいろ事情があり、ニセコが終わった6月から9月まで全く自転車に乗れない期間があった。自転車どころか激しい運動もダメだったので箱ヒルの直前に自転車に乗った時、その身体の衰えようにゾッとした。箱ヒルは調子うんぬんいうレベルでは無く、完走できたらいいかなと思っていたのだが奇跡的に年代別3位となり表彰台に登ることができた。その週から本格的におきなわに向けてzwiftをメインでトレーニングを始めた。

奇跡の入賞を果たした箱ヒル

個人的に体力を戻していく方法は決まっていて、ずっとSST shortを叩き続けること。今日メニューがこなせたら明日はさらに5wあげて練習する。その出力をこなせるようになるまで取り組み、クリアしたらまた5wあげる。ずっとこればかりやっていた。
沖縄に向けてのFTPの目標は5.5w/kg程度だった。
結果としてレースの2週間前にこの出力まで上げることができ、そこからはコース特有の細かいアップダウンを想定して5分パワーをあげるメニューに取り組んだ。フンガワ-学校坂が絶対に勝負になると考えていたので、20分5.5倍-5分6倍×3(レスト3分)というメニューをメインに取り組んだ。かなりキツかったが段々とこなせるようになり、直前には自信を持って挑むことができた。
このほかに長時間のレースに耐える体を作るために練習後に4倍程度で1.5-2時間ほど漕ぐ練習をしていた。
10月は合計で1100km、15000mupほど乗り込んだ。

自転車を始めてから一番乗り込んだ。(それでも少ないが)

前日まで

直前期の練習は以下
日:20min5.5w/kg-5min6w/kg×3、freeride(3h40m)
月:フルレスト
火:free ride+5minビルドアップ(200-300w)×3
水:ineos warm up+5min5.5w/kg
木:ineos warm up+ 10min5.5w/kg-5min6w/kg
金:30minfreeride
土:フルレスト

1週間前からカーボローディングに取り組み、週前半は米を減らして豆腐に変え、後半は普段の倍以上炭水化物を多めに取った。

金曜12:00にセントレアから那覇空港へ。レンタカーで移動して夜は名護のコロンバンでピラフとステーキ。ホテルはかねひでに泊まったがロビーにサイクルラックとか置いてあって驚いた。

土曜朝はビュッフェで米とパスタを食べ、会場に受付へ。すんなり終わった。ついでにgiantブースで空気を入れてもらって、シマノブースで変速を見てもらったりした。そのあと名護漁港食堂でソーキそばと米。
ピースアイランド名護に泊まったがイナーメの北野さんなどビッグネームが泊まっていて感動した。ウェアとかバイクの準備してから夕食へ。
夕食は市役所裏のエメラルドでパスタ。ボロネーゼとナポリタン、ピザを食べた。その後ホテルで大浴場行って補給の準備とマッサージしてmag-onと鉄分ヨーグルトとキレートレモン飲んで20:30ごろに就寝。

朝のパスタ
名護漁港食堂
市役所裏のエメラルド

補給と機材について

補給

ドリンクはボトルを取らなくても済むように多めに積んだ。
•ボトル
パラチノース、mag-onをOS-1に溶かしたもの2本(750,950)
•フラスク
mag-on青みかん味4.5個。0.5個めが入り切らなかった。
•エネ餅
塩味2、クルミ味1

補給。フラスク便利で愛用してます

機材

ウェアは雨予報だったのでどうするか直前まで迷っていた。
当初予定ではセパレートワンピースにグローブ、velotozeのソックスだけという想定だったが当日寒かったのでかなり変えた。
•サンボルトセパレートワンピース
•夏用メッシュインナー
•lecoqアームウォーマー
•ショートソックス(サラサラしたやつ。水吸いたくなかったので)
•Nopinz flow overshoes
•ウィンドブレーカー
この他、サングラスのレンズをクリアレンズに変更。これは正解だった。

バイク

•canyon ultimate cf sl7
•ksyrium pro exalith
雨だったのでホイールが威力を発揮してくれたが正直ダウンヒルヤバかった。もうちょい空気圧下げてもよかったかも(前後6.3)

ウェアとバイク。ゼッケン大きくて端を折った

当日

4:00起床。睡眠は最悪、23:00まで浅い眠りを繰り返し実質5時間睡眠。まぁ横になってるだけでいいって話もあるかと思ってた。
塩おにぎり2個、鮭おにぎり1個、豆大福2個食べる。
トイレ行ってコンタクト入れてウェアの準備して、ホテルのフロントで空気入れ借りて5:50ぐらいに集合場所へ。

並べたら車で休むつもりだったが誰も自転車並べてなくて庁舎の中でトイレ行ったり待ち。soleilの古田さんがいたのでご挨拶。
自転車並べてもらってる間にウェア着替えてレンズ変えてトイレ行って、、、
バタバタしてるうちに7:00になって横から入れてもらってバイクのところへ。前から3(?)4列めぐらいで最高の位置。ちょっと後ろにTMIT宮原もいて安心した。
隣の人にバイク支えてもらって屈伸したり準備体操。そしてスタートへ。

レースレポート

スタート〜フンガワ1回目

7:23スタート。クリートキャッチにちょっと手間取ったが全然前の方にいれた。走り出してすぐブレーキがめちゃくちゃ滑ることに気づく。全然効かない。これはヤバい。
集団で走るのは無理かもしれないと思い、逃げに乗ることを考える。
雨で一瞬でシューズカバーの中がびしょびしょになり、爪先に水が溜まってる状態。これもヤバい。

左折してちょっと走ってリアルスタート。最初の坂でいきなり逃げようとする人たちがいたので逃げようと思い、踏む。EMUの久保田さんを追ってかなり踏んだものの後ろは完全に繋がっており諦めた。

そこからはひたすらサイクリング。最初は田崎さんの後ろに、あとは基本的に集団の左端を走る。左前からの風で足を使うことにはなるが集団の中より安全に走りたかった。事前に配られてた危険箇所の中で気になったポイントは段差と美ら海の直後の右カーブ。結構高速で入りヒヤッとしたがなんとか耐える。

雨の中、集団で走る

細かいアップダウンはあれど特に限界になるようなことは無く、順調に距離を消化していく。
スタートして50分、まさかの空腹。慌ててエネ餅を食べる。思ったより雨の寒さで体力を使ったか。
左折して橋を渡ってからの海岸線では中切れ発生。死ぬかと思った。500wで必死に踏んでなんとか繋、、、げない。ヤバい。と思ったらキョウシロウさんが繋いでくれて本当に助かった。そしたら直後に急に緩んだり、なんで踏んだんやとか思う展開。まぁそれもロードレースでしょう。
1回めのフンガワを前にトイレストップ。55kmぐらいのところ?五郎さんが来年は花が咲くよとか言ってみんな和む。集団に追いついたので2回めの補給(塩餅)。
この先はフンガワなのでちょっと気を張っていた。

フンガワ1回目

入った途端ペースがカチあがる。マグロドクターの後ろについて走っていたがどうも出力がおかしい。1回目で5.5倍は聞いてない。前を見ると一列棒状に伸びた集団の最前に久保田&真鍋ペア。予想はしてたけど、なんで1本目からくるのさ、、、と結構衝撃。
こんな光景富士ヒルで見たなぁとか思いつつ、これヒルクラレースだっけとか思いつつ、5.5-6倍で踏む。結局最後はギリギリで集団にしがみつき山頂通過。そこからのダウンヒルが地獄。集団の中でフルウェットのなかハイスピードで下る。右カーブで落車発生、RXの人がパンク?してた。先頭が見える位置で終えて登り返し。
山頂の補給ポイントでかなり緩んだので追いつけた。

ダウンヒル〜奥

ダウンヒルも集団の中で。怖い。が、みんな慎重になっているので自分でもついていける。きついのは登り返し。集団後方なのでインターバルがどうしてもかかる。流石にキツいので前の方にあがっていく。
札幌自転車本舗の平口さんが出ているのが見え、その後ろあたりで集団の前まで上がると急に楽になった。
奥の登りを前にアーティファクト石井さんが声をあげトイレストップ。ここも集団で復帰。真鍋さんに調子どうなの?と聞かれたが先ほどの真鍋さんの鬼引きで限界ですとか話していた。
そうこうしてるうちにスプリントポイントを超えて奥の登りへ。

奥〜フンガワ2回目

そろそろ補給かなーと思って、集団のスピードも上がっていなかったのでエネ餅を咥えて登り始める。すると二口頬張ったところで急にペースが上がり棒状に。右手には残りのエネ餅、口にはいっぱいのエネ餅とヤバい体勢になりながらヤンコバさんの後ろにつく。ちょっと声をかけたあと集団の中に戻る、、と同時に口に放り込んだ残りのエネ餅が千切れ落ちてしまう。まぁジェルもあるしいいか。

前に上がっていく高岡選手と白いレインウェアの自分。
よく見たら口いっぱいにエネ餅が入っていて呼吸ができていない()

気づかないうちに登り切り下りへ。この辺は雨も止み、どこかでウィンブレ脱ぐかと考えながら走っていた。トンネルが2回ほどありそのうち2個目が完全に暗くなるポイントもあったので非常に怖かった。フンガワ10km手前でフラスク半分のジェルを取る。結局フンガワ手前5kmでやっとウィンブレを脱ぎ背中に突っ込んだ。位置取りをマグロドクターの後ろに変えてそこを死守しながらフンガワへ。直前の廃棄場で750mlのボトルを捨てた。

二度目のフンガワ

井上選手の後ろについて登りに入る。前からは10人目ぐらい。隣には兼松選手もいてこの2人に合わせようと走る。前の方なのでインターバルもかからないが途中の平坦でちぎれかけ、埋めてくれと後ろに叫んだ。
ところがそこから緩み前の方まで上がって来れた。キョウシロウさんが上がっていくのを久保田さん、真鍋さんの横で見る。キョウシロウさんが戻ってきたら久保田さんがあげ、またキョウシロウさんがあげ、の繰り返し。真鍋さんは動いてない。登り後半はキョウシロウさん、久保田さん、真鍋さん、自分の4人でほぼ先頭が固定されていた。

集団でフンガワを登る

出力は5.5倍ぐらいで結構余裕があった。フンガワKOM手前で真鍋さん、久保田さんが前に行ったので便乗してKOM通過と同時に先頭に出る

フンガワダウンヒル〜学校坂

KOMポイントを過ぎ、前に出たのでいくと決めていた。一気に踏んで下りを攻める。後ろは見ない。自分のラインでしっかり攻める。途中でイナーメの人が一度前に出たが登り返しでも踏んで集団を引き離す。

KOMポイントから抜け出しを図る

すると後ろからRoute365城所さんが追いついてきて、一緒に逃げようと言ってくれたので必死に喰らいつく。ダウンヒルはフルウェットで75km/h近く出ていたところもあり、我ながらしっかり攻めれたと感じた。学校坂の最初の6倍のポイントは絶対に集団でこなしたくなかった。

城所選手に牽いてもらい下りへ入る
限界ダウンヒル。フルウェットで74km/h
動画では53分40秒あたりから写っていた

学校坂途中で逃げメンバーを視界にとらえる。残り15秒まで詰まって、あとが続かない。やばいと思っていると集団が追いついてくる。あまりの速度差に手も足も出なかった。集団は15人ほどだろうか。
登りきったところで立命館大の榎木選手と一緒になり、回していこうと話す。2人でローテしていると後ろから4人の集団が来た。なんと高岡さんもここにいる。そこから高岡さんを中心に前を追っていったが高岡さんのペースが非常によく、1人逃してしまう。
そこからは榎木選手、イナーメ北野選手、Route365中村俊介選手、Team Aniki岩間選手、自分の5人のパックとなった。

アップダウン〜羽地ダム

イナーメ北野選手が回そうと声をかけてくれて、高岡さんを追うためにローテを回す。ローテを回していくうちにキツくなり、何度か飛ばしてもらうこともあった。この辺りは中村選手もキツそう。途中きつくてローテを飛ばした際、北野選手から高岡さん見えてるから大丈夫と言われ再度頑張る。
この辺りのアップダウンには地味に足を削られ、だんだん踏めなくなっていくが下りで回復してを繰り返して走っていた。
そうこうしているうちに高岡選手をキャッチ。グルペット走法で行こう、登りはペースで平坦と下りで踏もうと声をかけられ、集団でローテを回す。高岡選手の下りは圧倒的に上手く、参考にさせてもらいつつ下る。

北野さんのラインで下る

慶佐次の補給直前あたりで中村選手がローテから外れるようになり、ドロップ。一時6人だった集団は再び5人へ。170km付近の連続した3-5分の登りのために160km地点でジェルを1/4飲む。残りは羽地に残しておく。登りは北野選手がペースを刻み、時に高岡さんがダンシングで登っていく。
下り、平坦はハイペース。トンネルっぽくなっている海岸線を過ぎたあたりからローテがうまく回り始めた。ローテに抜けたり入ったり。結構限界気味。

海岸線を5人で走る

羽地前最後の海岸線に入ったタイミングで残りのジェルを流し込む。と、同時に大雨が降ってきて一気に身体が冷える。最後右折してからローテを休ませてもらう。酷い腹痛と吐き気を堪えながら羽地の登りへ。

羽地ダム〜ゴール

入った途端、足が動かなくなった。無駄に気負ったか。高岡さんがダンシングで上げていき集団は崩壊。高岡選手、岩間選手、榎木選手、自分、北野選手の順でパラパラと登っていく。身体が冷え切って200wが出せない。心拍も全然上がらず160あたりをうろうろしていて、もう限界に近かった。もうこれで順位は決まったかと思い、榎木選手を視界に捉えられる位置で淡々とペースを刻む。二つ目のトンネル内ではいろんな人が応援してくれて本当に力になった。
トンネルを抜けると榎木選手は見えなくなり、ちょっと左折した先に同じゼッケンのイナーメの選手が見えた。必死に踏んで追いつき、頑張りましょうと声をかけると高杉選手だった。下り手前の登り返しまでは一度前に出たが下りは圧倒的に高杉選手が上手く、回せなかった。そのまま名護への最後の下りへ。最後の橋手前の段差は避けてクリア、下の橋で踏んで追いつく。
オリオンビールの前のマンホールで足を取られスリップして転けそうになったが、ギリギリ耐えられた。
右折して前に出て2人で並んで話しながら走る。最後は5倍くらいで踏んでゴール。最後譲ってくださって本当にありがとうございました。

記録

順位など

記録証

24位
3:36:33、トップ+11:24

lapcrip。凄まじいビッグネームばかり

パワーデータなど

NP193w(ap163w)
TSS275

パワーデータ

反省と感想

目標だった19位には届かなかったが、24位という結果は上出来だと思う。一ヶ月の練習でここまで戻してこれたのは自分でも驚きだし、頑張ったと思う。それと同時に上位の方々との意識の違いを思い知った。自分の周りの人たちの目標は現実的に「優勝」を見ていた。そのためにどんな練習をしてどんな走りをしてという戦略を徹底的に考えていた。対して自分は目標順位を達成するための必要十分の練習しかしていなかったと思う。上位を狙って、さらに勝ちに行くことはそんな練習だけでは叶うはずがない。日々のちょっとしたプラスアルファが結果として現れるのがツールドおきなわ市民200なのだと知った。嬉しくて、悔しくて、充実していたけれど満足はしていなくて、といった複雑な心境。
また走るかは分からないけれど、これからは何事にもちょっと頑張ることを積み重ねていこうと思った。
何はともあれ、本当に楽しいレースだった。一緒に走ってくれた皆さま、話してくれた皆さま、そして何よりこのレースに誘ってくれたT-MITの宮原、本当にありがとうございました。最高じゃん!

ゴール後、恒例になりつつあるヤンコバさんと記念写真
誘ってくれた宮原と。また一緒に走ろう

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