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凡人でも描ける、マンガの描き方

お話作りって、楽しい。
けど苦しい
ですよね。

マンガを描こうと
ノートの前に座ったものの
真っ白なまま数日経つこともザラだった私。

周りをみていると
・萌力でどんどん主人公を動かす人
・いきなり1コマ目から最後までネーム書いちゃう人
・ネームをすっとばして1P目から下絵を入れて、いきなり完成原稿作っちゃう人
みたいにどんどん漫画を描いている人達がいました。

「私には才能がないのか?」
落ち込んでいたのですが、
締め切りは待ってくれません。
(仕事を取る才能だけはある・・・)

切羽詰まった私は
手当たり次第、マンガの勉強をスタートしたのでした。

それから2年ほどたち、
私なりのお話作りの手順が出来てきたので
新作漫画を実際に作りつつ、ご紹介しようと思います。

【こんな方にオススメ】
・マンガ制作の裏側に興味がある方
・マンガを書いている方
・お話を最後まで作りきりたい!

※これが正しいマンガの作り方!という訳ではありませんのでご注意ください


【記事中に出てくる私の漫画】


1.どんな人を幸せにしようか?


好きな人、興味のある人を主人公にするのって、大事です。
筆の進み具合がぜんぜん違う・・・!
マンガの主人公は、「今気になる人・好きな人」にするのがオススメです。

最近の私が興味しんしんなのはこの方。中尾ミエさんです。
マツコ会議を見て「こんな素敵な年の取り方あるんだぁ」と感動。
こういう心が動いた瞬間を逃さず、メモしていくのが、のちの創作にいきてきます。

気になる人が見つかったら、深掘りしていきます。
さっそくこの本を読んでみることに。

ふむふむ。もう完全に今が幸せな人だな。
ミエさん的なおばあちゃんが主人公だと、物語が進まないぞ。困った(笑)
物語の基本的な流れは、ハードルがある→事件・解決→ハードルがなくなる、です。なので問題がない人を主人公にしてしまうと、物語が動かなくなる危険性が・・・!

というわけで、視点変更。
相手役を作り、”出会った人を幸せにするおばあちゃん”という方向で進めてみます。


2.相手役はどうする?


私は必ず、主人公の対となる相手役を作ります。
人と人が出会って、初めて変化が起こると思うから。
で、今回はどうしようか・・・?
なんとなく、売れない漫画家さんを描きたい気分です。

そこで閃きました。
やさしさに溺れる」田端先輩の彼氏さんのエピソード。
”売れない漫画家”設定にしてたんだった!

やさしさに溺れる・21話より

はい決定。
今回は田端先輩の元彼が、おばあちゃんとの交流を経て、幸せになるような話を作ろうと思います。
田端先輩が好きになった人だもんな〜・・・どんな男性だろう?
妄想が広がりますね(笑)


3.何がハードルになってるの?


田端先輩の元彼さんのハードルを決めます。
今決まっているのは、売れない漫画家で36歳ということだけ。

・年齢的に焦っている
・私生活もうまくいっていない(田端先輩と別れた)
・漫画家としての自信を持てないでいる

こんなところでしょうか?
短編にしたいので、ハードルは小さめに設定しました。
まだこの段階では、可能性を残したいので、ぼんやりと決定していきます。
先に進んで筆が止まってしまったら、ここまで戻ってやり直します。



4.どう変化する?(=作品テーマになる)


・年齢的に焦っている
・私生活もうまくいっていない(田端先輩と別れた)
・漫画家としての自信を持てないでいる

というハードルを
おばあちゃんとの絡みで、
良い変化を起こす。
これが今回の物語の肝になります。

・年齢は関係ないと気づく、は、自分より年上のおばあちゃんが生き生きとしているだけで、乗り越えられそうな気がしますね。

・私生活を立て直す、は、太っている→健康的に痩せるで、絵的に分かりやすく表現できるかな?

・漫画家としての自信を取り戻す、は、いい設定を思いついたので、漫画公開時のお楽しみということで、ここで書くは控えます(笑)

これを踏まえて、作品テーマは「大事なものはずっと持っていた。ただ忘れていただけ」にしようかな。まだ仮決めで進めます。


5.ハードルを乗り越える瞬間、を決める


”ハードルを乗り越える瞬間”を「4年付き合っても、結婚してくれない彼と別れました」で解説してみます。
(これから描く漫画だとネタバレになるので・・・)

ハードルを乗り越える瞬間は、絵的に分かりやすく!がマンガの醍醐味なのかなぁと考えてます。
現実世界ではじわじわと心の変化があるものですが、それを忠実に書いてしまうと、伝わりづらい。結果何をいいたいかわからない漫画になりがちです。

それにマンガは絵付きの物語になるので、絵としても見応えのある瞬間を切り取りたい!
「4年付き合っても、結婚してくれない彼と別れました」だと、この絵が最初に思い浮かびました。


この瞬間が印象的になるように、逆再生で前のシーンを作っていきます。
この時点で、大まかなエピソードも決めます。基本的には”ハードルを乗り越える瞬間”につながっていくネタを意識してます。

(大まかなエピソード)
・好きだけど結婚できないから別れたカップル
・女友達とキャッキャする
・料理を作って食べる
・もう一度、別れた彼と対話する(きっかけどうする?)


6.ボリューム確認&細かいエピソードを決める


マンガを描き始めた頃。
真っ白なノートの前でうんうん唸っていたときに、手当たり次第に創作系の本を読みました。(あとマンガの学校にも行きました)

そこで知ったのが「物語には型がある」ということ。
物語はたいだい同じような構成になっていて、それが”型”のように、応用していけるということだそうで。

私は【3幕構成と喜劇型】を基準にして物語構成しています。
今は型を体に染み込ませていく段階。空手でいう型の練習というか。とにかく繰り返しマンガを作るしかないなと感じています。

・三幕構成とは?
映画の脚本でよく使われる手法です。
1幕2幕3幕の切れ間に転換点がある。
詳しく知りたい方はwikiもどうぞ。

・喜劇型とは?
すべての物語の分析すると、すべての物語は7つに分類されるというもの。その中の一つが喜劇型。桃太郎も喜劇型に分類されてます。

これを元に「4年付き合っても、結婚してくれない彼と別れました」の流れを書きました。真ん中に書かれている波線が、主人公の感情の浮き沈みです。

この時はW型の感情曲線に挑戦してました

これを3幕に分けて、話数をおおまかに配分します。
ここまできたら、あとは絵を描いていくだけ!
すこーし気がラクになる瞬間です。
(しかし作業はまだまだあるw)


7.キャラの詳細を考える


一番楽しい作業!
キャラクターの詳細を考えます。

・年齢、名前、経歴、住まい
・ファッションや見た目
・口癖や、やりがちなリアクションなど
・分かりやすい弱点を作る

あたりを考えていきます。
私の場合は、友人や有名人を何人かミックスして、リアルな人物に仕立てていきます。

そしてファッション。
実はあんまり興味がなくって考えるのが苦手。。。
でも漫画のためにはそうも言ってられない!!
当初はWEB検索で頑張ってたんですが、なんだかんだ雑誌が優秀でした。雑誌ごとに、テーマや読者層が決まっているので。雑誌さえ探し出せれば、ファッションはよりどりみどり(笑)

今回のおばあちゃんでいうと、この雑誌がよかったです。
なんと60代向けのファッション誌!



8.いざ!1ページ目から順にマンガを描いていく


だいたい準備が終わりました。
料理で言うと、何を作るか決めて、素材を購入し、下拵えまで終わった段階でしょうか。
あとは一気に仕上げていくだけ!!
と、言うのは簡単だけど、時間で考えたらここからが長いです(笑)

「4年付き合っても、結婚してくれない彼と別れました」だと、2ヶ月弱。
「やさしさに溺れる」だと、4ヶ月弱。
こつこつと毎日漫画を描き進めました。
最後まで書き上げられるのは、読者さんが読んでくれたからに他なりません。1人で描いてたら絶対挫折してた・・・本当にありがたいです。

ここまで読んでくださった方は、うすうすお気づきかもしれませんが、私のマンガの作り方はめちゃくちゃ面倒くさいです。。。時間かかります。。。
毎日、マンガ更新されてる他の方がすごすぎて、ほんと吐きそうになる(笑)

ノート真っ白なまま1ヶ月すごしたあの時。
「なんて私には才能がないんだろう」と落ち込みました。
でも、こうやって、こつこつと進めていけば物語は作れる!
凡人でも、手順を踏めば必ず物語は作れるんです。
私が証明しました(笑)

あの時出来なかったことが、どんどんできるようになる。
そんな楽しさに背中を押されて、漫画を作り続けている気がします。
何歳になってもこういうのって嬉しいんだよなぁ。

もっと面白いマンガをお届けできるように、これからも勉強&挑戦&振り返りを繰り返していこうと思います。
引き続きどうぞよろしくいたします^^


9.おまけ・参考本


基本的な物語技術を教えてくれる本
(難易度★★★)

三幕構成がよくわかる本
(難易度★★★★)

物語の型についての本
(難易度★★★★★)

連作短編の作り方がわかる本
(難易度★)



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