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コロナの新薬「ソトロビマブ」ってどんな薬?

 飲むコロナの新薬モルヌプラビルの裏でさりげなく出ていた新薬。それがゼビュディ。今回はどんなお薬か紹介していきます😄


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1.基本情報

商品名 :ゼビュディ点滴静注500㎎
一般名 :ソトロビマブ
分類  :抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体
貯法  :2~8℃で保存
販売開始:2021年9月
その他 :特例承認医薬品、生物由来製品
研究開発:グラクソ・スミスクライン(GSK)株式会社

 日本で特例承認されたものであり、承認時において一部の試験成績は評価されていないことから、本剤の使用に当たっては、あらかじめ患者又は代諾者にその旨を説明し、文書による同意を得てから投与すること。


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2.効能・用法・用量・副作用

効能  :SARS-CoV-2による感染症
<用法・用量>
 通常、成人及び12歳以上かつ体重40kg以上の小児には、ソトロビマブ(遺伝子組換え)として500mgを単回点滴静注する。

<投与目安>
 症状発症後1週間以内を目安

<投与患者>
 軽症~中等症Ⅰ(重症化リスクあり)

※選択基準
1.SARS-CoV-2陽性
2.SARS-CoV-2による感染症に合致する症状を有し、かつ、当該症状発症が組入れ前5日以内
3.酸素飽和度が94%以上(室内気)
4.次のSARS-CoV-2による感染症の重症化リスク因子を少なくとも一つ有する
・55歳以上
・薬物治療を要する糖尿病
・肥満(BMI 30kg/m2超)
・慢性腎障害(eGFRが60mL/分/1.73m2未満)
・うっ血性心不全(NYHA心機能分類クラスⅡ以上)
・慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患又は労作時の呼吸困難を伴う肺気腫)
・中等症から重症の喘息(症状コントロールのために吸入ステロイドを要する又は組入れ前1年以内に経口ステロイドが処方されている者)


※除外基準
1.入院中の患者、又は治験責任医師により組入れから24時間以内に入院を要する可能性が高い若しくは7日以内に死亡に至る可能性が高いと判断される患者
2.重度のSARS-CoV-2による感染症に一致する症状(安静時の息切れ、呼吸窮迫、酸素投与を要すると定義)を有する患者
3.重度の免疫不全状態の患者
4.SARS-CoV-2による感染症に対するワクチンを無作為化前に接種した患者、又は治験薬投与後4週間以内に接種予定の患者



<副作用>1%未満
過敏症    :発疹、皮膚反応
消化器症状  :悪心
全身・投与部位:注入部位疼痛、疼痛
神経症状   :頭痛、味覚不全
精神症状   :不眠症
臨床検査値  :血中重炭酸塩減少、C-反応性蛋白増加、
        AST増加、ALP増加、γ-GTP増加、酸素飽和度低下



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3.調整方法

生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液で用時希釈
・希釈量は50ml~100ml
・希釈前に希釈液から8mLをあらかじめ抜き取る

手順①.使用15分前に冷蔵庫から出し、遮光して室温へ静置
手順②.溶液に粒子、変色、バイアルの欠損がないことを確認
手順③.気泡ができないようにバイアルを数回回転(激しく振とうしない)
手順④.バイアルから8mlを取り、点滴バックへ添加
手順⑤.点滴バックを3~5回揺り動かす。(反転させない、気泡ができないように)
手順⑥.すみやかに投与。希釈後保存する場合25℃以下6時間以内に使用
    低温(2~8℃)で保存した場合、使用時は室温に戻し、希釈時から24時間以内に使用


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4.投与時の注意点

①.他剤と同時に投与しない
②.タンパク質低吸着性の0.2µmインラインフィルター(ポリエーテルスルホン製等)を使用することが望ましい
③.点滴静注は室温で30分かけて行う


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5.作用機序

 ソトロビマブは、SARS-CoV-2スパイクタンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)上のACE2受容体結合部位とは異なる部位に結合し、SARS-CoV-2に対する中和作用を示す。また、in vitroにおいて、SARS-CoV-2スパイクタンパク質を発現する細胞に対し抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性及び抗体依存性細胞貪食(ADCP)活性を誘導した。

→要約すると
 ソトロビマブは、吸着に関与しているスパイク蛋白質”RBD”に対するモノクローナル抗体。人に対してはRBDがACE2受容体に結合し侵入する。
 このACE2に結合するRBD以外にソトロビマブは結合し、中和作用を示す。
 →結合部位は変異が起こりにくい領域とのため、変異株にも効果が期待

 またこの他にも抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性及び抗体依存性細胞貪食(ADCP)活性も期待されている。


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5.有効性

 ソトロビマブ投与群のイベント発生割合(6/528例):1%
 プラセボ群のイベント発生割合(30/529例)     :6%
 →79%の入院・死亡リスク低下


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6.ロナプリーブとの違いは?

 作用機序がほとんど同じで、一時有名になった抗カクテル療法のロナプリーブ(カシリビマブ/イムデビマブ)。最近ではオミクロン株への効果が低いことから使いにくくなっています。ウイルスは変異が多いので、変異株には効果が期待できない場合があるということですね。
 しかし新しいソトロビマブは変異株にも有効であるためロナプリーブより使用しやすい
 また使用前に2種類の中和抗体を混合する必要がないことや、1バイアル1人分として投与できるため、利便性も高いと思われています。
 ※ロナプリーブは1つで2人分あるため余ってしまうこともあります。


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7.特定患者への投与は?

〇妊婦
 治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与
 (生殖発生毒性試験は実施していない)
 →投与はできるけど、子供に影響が出るかどうかはわからない
  またヒトIgGは胎盤を通過することが知られている

〇授乳婦
 治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は
中止を検討すること。
 →ヒト乳汁への移行は不明だが、IgGは乳汁中へ移行することが知られている

〇小児
 小児等を対象とした臨床試験は実施していない

〇高齢者
 患者の状態を観察しながら慎重に投与。一般的に生理機能が低下しているため。


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8.供給・値段

 現在値段は不明です。国からの供給となっています。
 入手は対象医療機関が、ゼビュディ登録センターに登録。

登録・入手の流れ
1.医療機関から登録センターへ医療機関登録メール送信
 →2営業日以内にウェブ登録システムのURL,ユーザーID発行
2.医療機関・責任医師・責任薬剤師、連絡先(メールアドレス)登録
 →重要薬剤情報を必ず確認
 (添付文書、ゼビュディ点滴静注液500㎎に関するお知らせ、医薬品リスク管理計画、ゼビュディ同意説明文書、外箱およびバイアルラベル記載事項に関する注意など)
3.投与患者登録・発注依頼
 →15時までに発注分は日・祝日を除く翌日に納品
4.発注完了のメール



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★参考★
ゼビュディ点滴静注添付文書
COVID-19 に対する薬物治療の考え方 第 11 版


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薬剤師国家試験問題集

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