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2021年の仕込みがラストスパートです!

焼酎の仕込み時期

通常、芋焼酎の仕込み時期というのは8月中旬から年内になります。
これは原料のサツマイモの収穫時期に合わせたものです。
春に植えたサツマイモが8月以降に収穫できます。
8月に収穫するものは、秋になった10月11月に比べて早く収穫するので、早掘りと呼ばれます。
業界では、この早堀は希少性が高く、高値が付くというメリットがあります。しかし、品質、大きさは流行り秋収穫のものと比べると劣るそうです。
冬の時期も希少性が高くなりますが、霜が降り、水分をたくさん含んでしまうのでサツマイモのデンプン料が少なくなってしまいます。
やはり9月末から11月末ぐらいまでに収穫するのが品質の上では良いです。
サツマイモは水分量が多い、果物のような根菜野菜なので保存がききません。鮮度が命です。収穫してできるだけ早く原料として使用する。これが酒質をよくする為に必要です。
年中仕込めるわけではないので、芋焼酎自体がいろんな原料がある焼酎の中でも希少性が高いものとなってます。

芋焼酎業界を悩ます基腐れ病

2018年から芋焼酎業界を悩ませている病気があります。
基腐れ(もとくされ)病です。現在は約半分の都道府県で発見されており、焼酎業界をはじめ、成果としてのサツマイモ。サツマイモを使用していた飲食店は大打撃です。
私の蔵の状況は実際に畑に行ったり、収穫に携わる中でみることができるのですが、他の蔵の状況まではわかりません。
しかし、噂によると何処の蔵もサツマイモがなくて仕込みができない状況にあるそうです。間違いないのはどの蔵も予定していた仕込み数を下回っていると思います。
コロナで例えると非常にわかりやすいのですが、ワクチンが開発されて日本に広まって行くまでに時間、労力が相当かかります。
この問題は他人事ではありません。しかし、自分に出来ることが思い浮かびません。毎日神棚に願うばかりです。
そして、業界全体がこのような状況にある事を知ってもらうのも出来る事なのかもしれませんね。

現場と市場の時間差

酒屋やネットで焼酎を定期的に購入する方が多いと思います。
サツマイモのコロナウイルスこと、基腐れ病が流行して、3年が経ち、サツマイモの収穫量が減っているのに焼酎を今まで通り購入できるなんて不思議ではないですか?
このまま病気が蔓延すると、来年には皆様のお好きな銘柄が欠品なんてことが起こるかもしれません。
これは、その年にできた焼酎の量と蔵出しする量の違いから生まれるものです。今年できた焼酎が全て今年出荷される訳でなく、最低でも1年寝かせて出荷します。なので焼酎蔵は基本的に過去に造った焼酎を熟成する為の在庫として保存してます。
しかし、サツマイモの収穫量が減り、生産量が減って3年が経過、4年目を迎えるに連れ、熟成期間を待たず在庫を商品かする必要があるのです。

基腐れ病により考えられること

①あなたの好きな銘柄が欠品になるかも
②あなたの好きな銘柄の味が少し変わるかも(熟成期間や、サツマイモ自体の品種が変更される場合があります)
③今まで通りの酒質だけど出荷量が減るかも

しれません。
農家の方、蔵の方は現実のものとして対策、対応に追われていますが、小売、消費者はまだいつも通り購入できるので基腐れの影響は無いと思います。むしろ、コロナの影響で焼酎の量としては多く、余っているのかもしれませんね。
上記の事が実際に来季起こると、小売店の経営が厳しくなります。特に芋焼酎に力を入れているお店は大打撃でしょう。そして、在庫を持っていない蔵は売るものがなくなりますので収益が上がらない事に加え、酒税法違反にもなりかねません。
そして、農家さん。
サツマイモから大きく事業転換する農家さんも出てくるかもしれませんね。

コロナワクチンのような対応策が早めに出る事を願ってます。

ちなみに僕が働く蔵は土作りから見直し、来季も自社でサツマイモを造ります。年内の仕込みもラストスパートです。今でも仕込める事に感謝して年内を駆け抜けたいと思います!

年末には、私が造りに関わった新酒が出ますのでお楽しみに!
ドメーヌ芋焼酎 八千代伝むろか です。是非年末年始のお供にどうぞ!

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