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嫌で嫌で仕方がなかったのに、感謝していること

小さいとき、気づいたら習い事をやらされていたという経験はないだろうか。
私にとって、それは習字だった。


私は小学1年生から習字を習っていた。通っていた習字教室はおばあちゃん先生と先生の弟子の2人で運営しており、お茶タイムが設けられるような和やかな教室だった。習字教室に通うことは苦ではなかったが、中学進学と同時に引っ越すので当然、習字はやめるつもりだった。

「中学なったら、習字やめるで」と私。
すると父が猛烈に反対したのである。
「あかん。中学でも続けなさい。」
私はまわりからは、字はきれいだと言われていたし、必要ないと精一杯訴えた。

しかし、私の意見は通らなかった。当たり前だ。今となっては、笑い話であるが、態度が悪いからと小学4年生の娘を真夜中、山に捨てに行くような父だ。(山には行ったが、捨てられてはいない)私が嫌だと言ったところで言うことを聞いてもらえるはずはない。

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私は、中学3年間、引っ越した先でも習字を続けることになる。嫌で嫌でたまらなかったが、先生が厳しかったからか、その3年間で私の字は小学生のときより、きれいになったと思う。

印象に残っているのが、高校時代、合唱コンクールの練習でのできごとだ。合唱コンクールは日々の出欠も点数に反映されるので私は出欠表に名前を書いていた。そのとき、隣に相武紗季似のものすごくかわいい先輩がいたのだが、話したこともないのに、私の出欠表の字を見て「すごい、字きれいだね」と言ってくれたのだ。
今までも字について褒められることは多かったが、何の利害関係もないのに口に出して言ってもらえたことがとてもうれしかった。


社会人になってからは、手書きで文字を書くことも少ないが、たまにお褒めの言葉を頂けることもあり、悔しいがひそかに父には感謝している。

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