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『ぼくがここに』まど・みちお sence of wonder

子どものときは
勉強が大嫌いだったけど

大人になってからは
学ぶことが楽しくて

好奇心が年々
高まっているように
感じています。

一つ学ぶと
次から次へと
好奇心がつながっていきます。

“好奇心”

と聞くと

“センス・オブ・ワンダー”

という言葉が
ふと浮かびます。


好奇心とワンダーは

似た感覚のような気もするけど
どう違うのだろうと
気になっていました。

JT生命誌記念館・名誉館長の中村桂子さんが
『子どものからだと心白書 2023』

の中でこう書かれています。

『センス・オブ・ワンダー』(sence of wonder)と、レイチェル・カーソン(1960年代に環境問題を告発した生物学者)が言っていますが、これは驚きの感覚ですね。この驚きは、びっくりした驚きではなくてタウマゼイン(thaumazein)というギリシャ語だそうで、存在驚愕と難しい言葉で言われています。存在していることがすごいということです。(中略)好奇心という言葉があるのですが、好奇心はやっぱり上から目線。恐れとか憧れが好奇心の時にはなくなっていると、面白そうだからなんとかしてやるみたいになってしまう。センス・オブ・ワンダー、驚きがいいですね。

存在していることがすごい

という存在驚愕。

恐れや憧れが
センス・オブ・ワンダー
の中にはあるということ。

子どもたちが
昆虫を見つけて

うわあ!
おおー!!
みてみてー!!

と目を輝かせる時、

触れてみたい
もっと近くでみてみたいと

顔を寄せる時、

そこには

驚きの感覚
センス・オブ・ワンダーが

あるのだろうと

子どもたちの姿を
思い浮かべます。

中村桂子さんは
この言葉の後に

まど・みちおさんが
ご自分で一番好きな詩だと
おっしゃっていたという

「ぼくが ここに」

を紹介されています。

ぼくが ここに    まど・みちお

ぼくが ここに いるとき
ほかの どんなものも
ぼくに かさなって
ここに いることは できない

もしも ゾウが ここに いるならば
そのゾウだけ
マメが いるならば
その一つぶの マメだけ
しか ここに いることは できない

ああ このちきゅうの うえでは
こんなに だいじに
まもられているのだ
どんなものが どんなところに
いるときにも

その「いること」こそが
なににも まして
すばらしいこと として

この詩を読んだ瞬間

国語の教科書の扉に
この詩が載っていたことを
思い出しました。

3年生の教室で
子どもたちを目の前に
国語の授業をしている
ある日の自分が
浮かびました。

目の前にいる子どもたちと
その時、その瞬間に、
この詩を読めることに

ものすごく
ありがたくて
なんともいえない
あたたかい
感覚になったことを

今でも覚えています。

虫たちも
子どもたちも
自分も
植物も

すべてのあらゆる生きものは

「いること」

こそが
なににもまして
すばらしい

ということ。

その
センス・オブ・ワンダーを
大切に生きていける
人でありたいです。