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その本を読んで甘ったれていたのは自分だった話

「3月末に退職願を出そうとしていた……」

「退職願」と書かれた封筒を通勤カバンに入れて、1ヶ月以上が経過していた。
昨年からずっと毎日同じような繰り返しに嫌気が差していて、こっそりと転職活動をしていた。

天狼院書店に通っている理由も、ライティングで人生を変えるというコンセプトに惹かれていたのかもしれない。半年以上「書くこと」を習慣にしていたのだから、そのスキルを武器に企業の広報職、コミュニティコーディネーター職など、テキストや言葉を使うお仕事を中心に応募をした。しかし、結果は散々であった。

「自分の人生はやっぱり変えられないのか……」ネガティブなことばかり考えていた。

そんなときだった。

天狼院のイベントで池田店長が、この本を紹介していた。

『調理場という戦場―「コート・ドール」斉須政雄の仕事論』(斉須政雄著 幻冬舎文庫)

「私は、この本を玄関に置いて何度も読み返してます!」と、玄関に置いて読み返すほどの本ということは何か魅力が詰まっているはずだと思い、購入することにした。

著者が、12年間フランス料理の本場パリに身を置き、調理場という場所で、仕事に対する姿勢、語学もままならない状態で夢を掴んでいく物語であった。言葉にしてみると、綺麗なものに見えそうなのだが、そんなことは全くなかった。日本人というだけで、フランス人が会話をしない。人種差別を肌で感じながらやっていく。

みんなと仲良くという雰囲気はなく、自分の意思をを通すためなら、時には争って自分の常識を貫き通すこと、日本の常識が全く通じないのである。義理と人情というものは調理場にはなく、結果を残すことが出来なければ、すぐにでも辞めさせられる。はっきりしたものであった。

やらなければならない仕事は山のようにあり、仕事場と下宿を行ったり来たりするだけの生活だった。
そこに働き方改革や、パワハラというものがない。

ただ一つあったことは
「お客様に喜んでもらえる料理」を提供することであった。

今の日本では考えられないようなことが、そこには書かれていたのであった。

新しい調理器具を購入することで、より効率化を図ることが出来ても、あえて不便なものにすることによって、その経験があるからこその考え方を身に付けられる。

料理のひとつひとつに自分の経験が込められ、ちょっとしたことでも味は変わってしまうこと。最短距離で目標を目指すことも大切なのだが、苦労して傷つきながらでも進んでいくことが、仕事に対する姿勢につながることが書かれていた。

自分に当てはめてみると、効率を重視して目標に向かっていくことが全てで、できるだけ苦労はせずに仕事を身につけたい、評価をされたいということが前面にでていた。

読めば読むほど、耳が痛いことが書かれていたため、自分の至らなさや弱さに目を向けてしまいそうなる。今までやってきたことがおママごとのようであった。

「今の仕事が、自分の思っている未来に繋がらない……」だから転職をしてリセットをするという魂胆がでてきたのである。

「置かれている場所で咲くことが出来ければ、何処に行ったって通用はしない」

最後の最後まで、自分ごとにして読んでいた。そして、また最初のページに戻り再び読むことにした。

何も考えずに、「ただ辞めたい!」という衝動に駆られて行動に移るところであった。ただ文章を書きたいという抽象的な思考だけでお金をいただけるわけがない。

お金をいただくということは、「その価値を提供できる」ようになるまで積み重ねをしなければならないことだった。

「遊んでいるのか、働いているのか、よくわからない……」

自分はそのような極致に達していないため、理解をすることが出来ない。それでも、根底にあるのは、仕事ができる人材になることが、自分の幸せだということがわかった。

「この会社でやれることはあるはずだ!」

消えかけていた熱量が、この本で前向きになった。気持ちで負けそうになったときや、仕事で痛い目にあったときは、この本に書いてあった言葉を思い出そうと思う。

世間はコロナウィルスの影響で、殺伐とした空気が日本を覆っているが、人生においてはちょっとしたまわり道だと考えれば、重く受け止めるものではない。

池田店長が薦めてくれた本は、自分の意識を前向きに変えてくれた。

「まだまだや、こんなものやない!」

今思っているこの熱い思いを全力で仕事にぶつけてやりたい。


ご興味ある方はどうぞ

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ダメだった点
・第三者目線に立って考えられていなかったこと
・一度読んでも書籍のイメージができなかったこと
・どの部分を強調させたかったのか。


引き続き、読書感想文を不定期で更新していきたいと思います。

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