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いま何を、どう学ぶべき?確実にステップアップするセラピストのキャリア形成

こんにちは!大山ふみあき(@ThanksDailylife)です。

療法士のキャリアデザインを考えるシリーズで書いています。

今回は“療法士として成長したい、患者や職場の同僚から頼られる存在になりたい、外部からもお呼びがかかるような活躍を広げたい”と思っているけれども、

“どのように学んでいけばいいのか不安”、
“将来のことを考えたいけど、日々の業務に追われてビジョンを描けていない”

という方へ向けて。

おもにリハビリ専門職で経験の浅い方や、これからの働き方を考え始めた中堅の方にお役立ていただければうれしいです。

本記事の結論はこちらのツイートです↓

13年間のキャリアでもがいてきた実体験

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これを書いているわたしは理学療法士資格を取得して13年目。まだまだ伸び盛りだと自覚していますが、これまでに3つの職場、管理職、大学院での研鑽、研修講師、都道府県士会の役割、複業、独立などさまざまキャリアの経験を積ませていただきました。

いくつもの環境や立場のバリエーションの中で、自分がどう振る舞うべきか。まわりの人とどう付き合えばいいのか。忙しい臨床のなかで将来をどう見据えればいいのか…モヤモヤと葛藤。

ただそういった経験のなかご縁あって管理者研修や書籍を通して、療法士のキャリアデザインや働き方を学び、考える機会に恵まれました。その経験をいまキャリアに悩む療法士の方にお伝えしたと思います。

いま時代は機械化やICTの発展によって、生活や働き方が目まぐるしく変わっています。療法士の働き方や社会的役割も、超高齢社会・ウィズコロナ時代において見つめ直す必要があるでしょう。

よく自分のことを知るための手段として、「これまでどんなことにお金と時間を使ってきたか」をふり返るとよいといわれます。わたしは間違いなく研修会や専門書籍代、大学院での研鑽にもっとも多額のお金と時間をつぎ込んだはず。

キャリアや働き方について経験や考えを共有しましょう

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そうした経験を経て、いま感じていることがあるのでまとめておきます。いま「将来へ向けて何を、どのように学んでいったらいいのかわからない」という方にお役立ていただければ嬉しいです。

ぜひお互いの経験や考えを共有し、充実した人生、そして社会を明るくする貢献につなげていきましょう!

本記事では知識・スキルを高め、社会的にも貢献できる療法士に成長するために必要な学びを3つの視点からご紹介します。

1.まずは今の現場で求められることを圧倒的にやり遂げる

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いまSNSやネットの世界では「好きなことで生きていこう」、「やりたいことを見つけよう」というメッセージがあふれていています。

もちろんそうした自分の意思や希望を持つことは大事。ただそこにとらわれてしまうと独りよがりで誰の役にも立たない、食べていけないなんて悲劇を招きかねません。

またハッキリとしたやりたいことを見つけていないと「自分はダメだ」と落ち込んだり、焦ったりしてしまいます。

ITやマーケティングに詳しい執筆家、フューチャリストの尾原和啓さんは著書『プロセスエコノミー』で、仕事のあり方として「Must」「Can」「Will」の順番を間違えてはいけないと指摘しています。

「Must」とは上司や先輩から「コレやっておけ」と指示される業務や役割。療法士にとっては右も左もわからない新人のころには、とにかく職場のルールを覚え、目の前の患者や家族の課題解決のために全身全霊を傾けますよね。

わたしも新しい患者さんと対峙するたびに疾患の病態や機能解剖、運動療法などについてひたすら文献やテキストを読み漁っていました。もう目の前のことで必死です。

「Can」はある程度仕事を覚え、一人で一連の流れをやり遂げられるようになってくると出てくる「自分の得意なこと」や「とくに解決したい課題」。教科書や文献を読んでも解決しない疑問、さらに追求したい専門分野やスキルについて学びを深めていきます。

「Will」はさらにサービス品質の向上や、業務効率化のために自ら提案したり、率先して改善策を行ったりします。ここまできてようやく、「やりたいこと」の発芽ですね(^^;;

ここで新しいアクションや変革を実行にうつすためには、自分ひとりの力では不十分で、同僚や上司、ときには多職種の協力を仰ぐ場面もあるでしょう。そういった場面でのコミュニケーションや信頼づくりを学んでいく時期でもあります。

このように療法士としてのキャリアをスタートしたら「Must」→「can」→「Will」の順番でそのつど必要なことを学んでいくことでスムーズに自分のやりたいことを実現し、社会的にも価値を提供する働き方につながります。

『プロセスエコノミー』は商品やサービスといった「アウトプット」の優劣が問われた時代から、制作過程や体験といった「プロセス」が重視され、お金が動く時代へと変わってきている事実と背景がわかります。これからのビジネスで成功するために外せない考え方なのでぜひご一読ください!↓

2.「深める」と「広げる」を往復して「オリジナリティ・キャリア」を築く

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医療・介護職の働き方やキャリアデザインに詳しい三好貴之さんは著書『医療機関・介護施設のリハビリ部門管理者のための実践テキスト』のなかで、「スペシャリティ」と「ジェネラリティ」の2軸のバランスによって「オリジナリティ・キャリア」を歩めると述べています。

「スペシャリティ」とはある分野における技術や知識の深化・成長。例えば「脳卒中のことなら無敵」「徒手療法を極める」など。

一方「ジェネラリティ」とはスキルの幅、広がり。例えば急性期リハから回復期リハ、訪問リハといった広がり、マネジメントやリーダーシップ、経営企画、ITスキル、プレゼンテーション、ライティングなどがあります。

両者の掛けあわせ・バランスを磨いていくことであなたの希少価値(マーケット・バリュー)を高め、オリジナルなキャリアを築くことができます。

わたしの例でいえばキャリアスタート時期は、整形外科疾患術後のリハやスポーツ復帰を目指すアスレティック・リハの分野において徒手療法やエクササイズの技能を深める。急性期リハから外来リハやスポーツ現場へと広げる。テーピングや足底板作成の技術を磨く(深める)。自費領域での活動を立ち上げる(広げる)。大学院で自律神経やストレス応答について研究する(深める)。

このようにふり返れば「深める」と「広げる」を反復しながら、独自のキャリアを歩んできているのだと気づきます。

☆『医療機関・介護施設のリハビリ部門管理者のための実践テキスト』の書評はこちら

3.3つのキャリアを掛け算し、「100万分の1のレアな人材」になる

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世界を股にかけて活躍するグローバルエリートでも、世間を驚かす天才・奇才でもないわたしたちが生き残っていく道はどこにあるのでしょうか。

自分のやりたいことを大事にし、かつ大勢のライバルから抜け出して生き残っていくには藤原和博さんの著書『藤原和博の必ず食える1%の人になる方法』がすっごく参考になります。

本書では“誰でも正しく努力すれば、100万人に1人の「レアカード」になれる”と説いています。そのプロセスは5〜10年スパンで1万時間を費やしながら、3つの領域・ジャンルを組み合わせていくというもの。

1つの領域・ジャンルで1万時間を費やして学べば、その領域のトップ1%になれます。そんなジャンルを3つ掛け合わせることで、1/100×1/100×1/100=1/100万の希少な存在になれるというわけです。

そうは言っても途方も無い、果てしない道のりに思えるでしょうか?

ただ一般的に20代前半で社会に出たとすると、働く期間は30、40年。1つのスキル、同じ職場で定年まで勤め上げるのは社会的にも難しくなっているので、5年〜10年スパンで自分の注力する分野・ジャンルをまたいで(正しく努力して)いけば「100万分の1のレアな存在」になるのは夢ではないでしょう。

わたしもその境地を目指して学び、行動を続けていきます。

☆あなたの大事にしたい価値観と目指す方向性によって、どんな努力を重ねればよいのかがわかる一冊です↓

まとめ

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これから療法士がめざす理想像として「融通のきくスペシャリスト」というのがしっくりくるんじゃないかと思っています。

これは「知の巨人」と称される評論家の立花 隆さんが著書のなかで、「ゼネラリストかスペシャリストか」の優劣について述べるなかで出てきた言葉。

「VUCA(ブーカ)時代」といわれるように変化が激しく、先行きの不透明な現代をどんなスタイルで生き抜くのか指針となる文章なので、すこし長くなりますが、そのまま引用させていただきます。

平常時には、適応範囲を限ることによって適応度を高めたものが強く、危機の時代には適応度は低くとも、適応範囲の広いもののほうが強いということは、ゼネラリストとスペシャリストの優劣比較にそのまま通じる。

ひところスペシャリストの時代といわれ、スペシャリストがもてはやされたことがあった。たしかにスペシャリストはその専門領域が時代の要請に一致しているときは強い。しかしそうでなければ、無用の長物である。危機の時代、変動の時代には、専門家よりも環境変化に臨機応変に対応できる「なんでも屋」のほうが強いのである。

現代の生活環境、経済環境はあまりにも急テンポに変化しつつある。うっかりスペシャリストをめざして、一つのジャンルの中に自分の機能を固定してしまうと、そのジャンル全体が消滅して、いきどころがないといった悲劇的な事態さえ起こりかねない。スペシャリストをめざすにしても、融通がきくスペシャリスト、つぶしがきくスペシャリストであることが必要だろう。(『新装版 思考の技術 エコロジー的発想のすすめ』194、195ページより)

また立花さんは、生物が本来の機能を最大限に発揮するためには限られた条件、“むしろ我慢状態”のほうがよいといいます。

人類は数千年にわたり、厳しい環境のなかで生存に最適な条件をつくりだすために奮闘し、工夫してきました。その知性と強さが危機を切りぬける力となります。

ですのでいまあなたが「環境や条件が悪いから」と思って諦めそうなら、逆にチャンスです。「何でも自由にやっていいよ」といわれると逆に戸惑います。制約があるからこそ、その条件にふさわしい、質の高いアウトプットをしようと知恵が絞られます。

一緒にがんばりましょう!

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