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バルセロナサッカーに有効なゲームプランとは?(セビージャに見た、プレッシング)

20/21 ラ・リーガ 第5節
バルセロナ vs セビージャ

~セビージャに見た、バルセロナに対抗するためのハイプレス~

 「バルセロナのようなショートパスによるポゼッションを武器とするチームに対して、どのようなゲームプランが有効なのか?」と私はよく考えることがあります。
 自陣に引いて守るのか?あるいは、敵陣の高い位置からハイプレスをするのか?
 個人的な意見として、バルセロナのようなチームが相手の場合、自由にボールを扱わせないこと自体が相手の長所を大きく削ぐことになると思います。つまり、高い位置からのハイプレスを主軸としたゲームプランがバルセロナのような相手には有効だと考えています。
 そんな中、ラ・リーガ第5節のバルセロナvsセビージャにて、セビージャが非常に有効なハイプレスを披露していたので分析していきます。


スタメン(home : バルセロナ)

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(away : セビージャ)

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結果 : バルセロナ 1 - 1 セビージャ
( 前半 1 - 1、後半 0 - 0 )


セビージャの守備
(敵陣でのプレッシング)

① 開始点
 セビージャはプレッシング時、原則として下図のエリアでプレッシングを開始する「超攻撃的プレッシング」を行う。
(状況や時間帯に応じてはミドルプレスも行う)

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② 陣形
 陣形としては、下図のように「4-1-4-1」となる。具体的には、インサイドMFのラキティッチ(左)、ジョルダン(右)が相手のボランチ2枚をマークし、ウイングはその外側に立ち相手SBとCBを監視する。また、アンカーのフェルナンドは相手のトップ下をマークする。また、DFラインでは3枚の相手に対して4枚の数的優位を保つ。

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③ スイッチと追い込み方
 プレッシングのスイッチとなる選手は、CFのルーク・デ・ヨングで、相手GKに対して片一方の相手CBへのパスコースを消すようにアプローチし、ボールをサイドに誘導する。
 その後、ボールを誘導したサイドのウイング(オカンポス左、スソ右)とスイッチとなったCFのルーク・デ・ヨングが相手CBに2枚で挟むように寄せる。このとき、同サイドのSB(アクーニャ左、ヘスス・ナバス右)が相手SBに、CB(カルロス左、クンデ右)は相手ウイングをマーク(監視)する。
 ここでも、中央ではインサイドMFのラキティッチ、ジョルダンとアンカーのフェルナンドは相手ボランチ、トップ下をそれぞれマークする。

(左サイド)

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(右サイド)

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 また、下図のようにCFのルーク・デ・ヨングをスイッチに、両ウイングのオカンポス(左)、スソ(右)が相手CBに対してプレッシャーをかけることもあり、フリーになった相手SBに浮いたボールが入ったところをボールサイドのSB(アクーニャ左、ヘスス・ナバス右)がアプローチすることもあった。ここでも、SBのアプローチに対してボールサイドに全体がスライドし、ボール周辺のエリアでマンマークとなる。

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④ バックパスに対して
 上記で示したようなプレッシングで追い込んだ後、相手がボールをCBやGKに下げた時は、下図のように、相手ボランチをマークしていたインサイドMFのラキティッチやジョルダン、CFのルーク・デ・ヨングなどが、バックパスに対してプレッシャーをかけ続け、さらに追い込んでいた。

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 今回の試合を見ると、やはりバルセロナサッカーには、高い位置からのハイプレスを主軸としたゲームプランが非常に有効だということが分かりました。
 しかし、サッカーでは1つの試合において、必ず自陣に引いて守るブロック守備の局面も存在します。そのため、ゲームプランとしてはハイプレスを主軸としながらも、やはりブロック守備の局面も重視する必要があります。
 今回のセビージャでは、プレッシングの局面であるハイプレスを分析しましたが、実際は、ブロック守備の局面やミドルプレスの局面も非常に見事だったと思います。
 ですが、今後のサッカーでは当分の間「ハイプレス」がキーワードになりそうです。

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