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⑤(終)・小学校で流行ってた架空のタレント「ほりうちあいみ」の暴走 (2023.8.31)

文書を書くのが好きです。
でも月末(今日)まで忙しいので軽いネタを記事にします。

詳しくは前回までの記事を読んでください。






今回で最終回となります。
それでは。



⑤ ほりうちあいみ消失事件

先生たちから、「ほりうちあいみが消えた」というゴシップを伝えられたのは、翌日の朝の会でのことでした。

教室全体が騒然としましたよ。
わたしも、『夢美と愛美の 消えたバースデー・プレゼント?』のページにしおりをし、先生の話に聞き入っていたのを覚えています。


曰く、ほりうちあいみは引退し、普通のOLに戻ったそうです。なので、もうこれからは彼女のギャグを使うことはできないと。


もちろん嘘です。
そもそもほりうちあいみなんて存在しませんし。 


最近のほりうちあいみのポリティカル・ジョークはかなり度を越していましたので、遺憾に思った学校側が手を打ってきたのでしょう。

他のクラスはそうでもなかったらしいですが、わたしのクラス(ほりうちあいみ考案者がいる)に関しては、実際かなりやばいところまでムーブメントが高まっていましたからね。

冗談だとは思いますが、男子の中には!その風に煽られ、学校で政治的なクーデターを起こそうとか言い出したグループもあったそうです。

銀行を作って金を刷っていました。手書きで。
禁止されていたシャーペンもこっそり持ってきて、武装蜂起を目論んでいました。

怖いですね。

あと数年待って選挙に行ってくださいよ、と思いますが、彼らがやろうとしていたことは政治的な運動なんかではありません。ただの暴動です。
彼らは政治をほとんど知らないのですから。
ほりうちあいみで仕入れた過激な知識で過激な主張を繰り返していただけなのですから。


そこで、教師たちは火元から断つ運動を開始したのでしょう。

ほりうちあいみを、抹消する。

学級活動の時間で何度か話し合いが行われ、考案者の女子含めたあいみ組合が教師陣と対決しようとしましたが、打ち負かされました。


しかしほりうちあいみの火は止まりません。

彼女たちにとって、ほりうちあいみは政治的に神格化されたシンボルだったのでしょう。まるで指揮官を失った軍隊のように暴走を繰り返しました。

こうなったら、もはや誰にも止められません。

あちこちに広まるボックスステップ、パパイヤ、過激、エログロナンセンスな政治ネタ、もう教師たちにも手がつけられないという状態です。

彼ら彼女らはその重みを理解していないので、内側から更生することも期待できません。

と、思っていたのですが……。


いつしかその声は聞こえてこなくなりました。

なぜかって?

完全に思い出しました。その日はたしか平成二十六年の一月某日、アニメ『妖怪ウォッチ』が放送開始したすぐ後の日付でした。

そう、新しい流行のコンテンツが始まったことにより、既存の文化に興味をなくしたのです。

小学生たちの飽きは早い。妖怪ウォッチが小学校で流行ってからは、ほりうちあいみの声が聞こえなくなりました。一斉に騒動が鎮火していきます。

そのギャグは元からなかったかのように忘却され、児童たちは自動的にまともな児童に戻りました。

なんというあっけない幕引き。
ほりうちあいみが流行っていた期間はわずか二ヶ月足らずだったはずですが、その頃の記憶は、今でも強く頭に残っています。


わたしは今でもこの出来事を思い出す度に、こんな心情になります。

架空のタレント、ほりうちあいみ。

あんた、現実にいてもそこまで売れてないよ。

(完)

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