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「クリステヴァ ポリロゴス」 西川直子

現代思想の冒険者たち  講談社

読みかけの棚から
読みかけポイント:第1章をざっと…

クリスティヴァ 第1章「構造を超える生成」のメモ
静的で変容を認めない構造主義に対して、クリスティヴァは意味生成の記号学を企てる。バルト・バフチンそれからソシュールのアナグラム研究(晩年)などを通して。
フェノ=テクスト・ジェノ=テクスト(前者が書かれたテクスト、後者が書く人・読む人が行う意味生成で生じるテクスト)
間テクスト(間主体性を越えるものだという、こういう意味では「反主体論」の立場に徹底的に立つ)
パラグラム原理(詩の意味生成から、バフチンは詩を叙事的記述(線状記述)と捉えたが、クリスティヴァは詩こそ非線状・意味生成の端的なものと考える)などなど。

そういう意味生成はテクストを書く(エクリチュール)・読む(レクチュール)際に「テクストの表面に垂直的に現れる」という。この一見矛盾した言い方は、テクストの現場にない「真なる物」という思想を排除したとも思うけど、ここら辺が次のクリスティヴァの段階では精神分析見解で説明される部分なのだろうか。 それでは、意味生成は一体どのように起こるのか。

意味生成性の過程・・・「差異化」(構成する記号を成立させる契機)・「成層化」(意味の伝達が可能になるテクストの表層を作り出す)・「対決」(交換されうる表象的な意味と、それに還元されない意味ならざるものとが対峙しつつ併存している二重性状態)
(p47を少し変更して掲載)


渡仏前から彼女の父親の方針によりフランス語学校に通っていたという。フランス語・文化は身に染み付いていたに違いないけど、しかし「異邦人」的観点は消え去らず、それが「異化・構造破壊・生成」の観点に結びついたのか。そしてこの時点で既にこうした考えは単に言語・記号に限らず、社会のあらゆる事象に見られる、という見方をしていた。

 目的論としてではなく、空間として見られた社会の歴史も、そのあらゆるレヴェルで(・・・)パラグラムとして構造化されている(自然=社会、法=革命、個人=集団、階級=階級闘争、線的歴史=面的歴史、というように)。そして、これらの非排除的な対立をなす対においては、対話的な関係とつねに繰り返される「侵犯」とが作用している。
(p94)


(2011 05/22)

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