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なぜ京急は攻めてるのか?

今年、鉄道界隈をざわつかせた出来事の一つが京急の車輌全面塗装復活。興味ない人(ほとんどだと思うけど)には何が何やらな話だけど。
 
えーっと、ほら最近の電車ってだいたいシルバー(銀色)じゃないですか。あれはアルミとかステンレス製の車体の素材がほぼそのままだからです。塗装はしてなくて、色のついたフィルムを貼ってるのがほとんど。ラッピングしてるようなものですね。
  
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昔の電車がやたらカラフルだったのは鋼鉄製なので、ちゃんと塗装しないと錆びたり腐食したりするから。保護目的だったわけです。まあ、あと見た目と利便性(何線の電車ってわかる)目的もありましたが。
 
で、話を戻すと、京急も最近はステンレス製車両になったので塗装はスルーして赤と白のフィルム貼りを施してました。腐食に強いステンレスなので塗装しなくてもいいし、わざわざ手間(地肌塗りから時間も空けて7工程ぐらいある)とコストをかける必要性がないから。まあ、そうですよね。
 
なのに!!2018年1月から営業運転を始める「新1000形(17次車)」では、京急伝統の全面塗装を復活させるとか。赤い電車の光沢がまた戻ってくるわけですよ。
 
僕が京急の株主ならその件で株主総会で2時間くらいスタンディングオベーションしてもいぐらい。しないけど。
 
コストと効率と合理性が最大限MAXに重視される今の時代に、あえての全面塗装。その理由は「そのほうが京急らしいから(公式)」。マジか!!!
 
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その昔、僕も京急ユーザーだったので親近感があるのを割り引いてもすごいと思います。京急やるなぁ。攻めてる。
 
なんで京急はこういうことができるのか。個人的に思うのは、京急はシステムだけじゃなく、ちゃんと「人」が動かしている鉄道会社だからかも。
 
人が動かすってどういうことか。たとえば、台風とか各種事故とかが発生するとJRとかJRとかの一般的な鉄道会社ではさっさと「運休」を決めちゃいます。
 
電車を止めちゃえばトラブルは起こらないでしょという合理的スマートな判断。乗客から文句が出ても「そういう仕様なので」と言えてしまう。システムで動いてるわけです。
 
その点、京急は最期の砦として台風だろうが何だろうが、基本、動かせるものは動かす。非常時の京急名物、行けるとこまで行く「逝っとけダイヤ(興味ある人は調べてね)」は有名です。
 
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電車そのものを止めてしまえば現場の負担は確かに一面では減る。けど鉄道というインフラ全体で見たときには止めることのマイナスのほうが大きかったりするわけです。これもある種の合成の誤謬みたいなものかも。
 
すごく大雑把に言えば他社は組織やシステムの合理性で判断、京急は人が判断。
 
鉄道事業の最大の使命は人を安全に送り届けること。何もしなければその場は安全だけど、交通インフラが途絶えて困ってる人を輸送できない。まして台風なんかのときは早く帰りたい。それをシステムだからと止めてしまうのか、人の判断を最大限に使ってできることをするのかということ。
 
京急の場合は、普段からそういう姿勢でやってるのが伝わってるから「京急が止まるなら仕方ない」ってユーザーも納得するんですよね。
 
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人はシステム的機械的に対応されたことには文句が出るけど、人がちゃんと見て判断してるのが伝わればそれほどクレームにならないものなんですよ。
 
システムじゃなく「人」が運行管理してるからダメかというとむしろ真逆。遅延回数も相互直通運転している路線の中で最少。もちろん保安装置なんかは「C-ATS」と呼ばれる新しいATS(自動列車停止装置)を導入してるけど、やたらと人が判断することを排除しようというAI方向には向かってないのが京急。
  
この年の瀬に何を熱く語ってるのか自分でも不明ですが、「人」って大事だなと。京急の全面塗装復活であらためて感じたので。

※画像は報道発表資料から

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ふみぐら社

村暮らしのライター/エディター Editing and Book Writing/人とことばと土を耕して生きてます。東京⇄信州。noteでは大事じゃないけど大事なことを。何をしてるかより「なぜしてるか」の深い話を聞いて書くひと→ https://fumigura.com/

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