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炭素繊維と木材

木材の強度

木材にも多くの種類があるが杉を例にすると繊維方向に押しつぶす強度で23MPa、年輪が成長する方向に1MPa、接線方向に0.7MPaである。繊維引張方向には55MPaである。これは無欠陥の数値であって、節などの欠陥を含むと大幅に低下する。炭素繊維の引張強度は最も一般的なもので5000MPaであるので100倍ほど異なることになる。

木材の変形しにくさ

変形しにくさを弾性率というパラメータで表現されている。杉を例にすると、繊維方向に7GPa、年輪成長方向に0.6GPa、接線方向に0.3GPaとなっている。使う方向によってたわみ方が異なる。参考までに炭素繊維は繊維方向に230GPaである。

木材の密度

杉の密度は0.33g/cm3である。桐は0.26、バルサは0.1である。木材は空隙が多く、空隙を含まない部分の密度は1.5となる。炭素繊維の密度は1.8であり、炭素繊維にも近い密度でありながら、あえて空隙を持たせて厚みがある。実部材として用いるときに、弾性率だけでなく厚みも変形しにくさに寄与するので、木材は軽さと強さ・堅さを兼ね備える。

炭素繊維のフォーム材

CFRFというフォーム材がある。
炭素繊維の繊維を布団のようにふかふかにしている。繊維がある一定長さで長いのと炭素繊維の弾性率が高くてたわみにくいので、空隙を大きくしても木材並みの軽さと木材を上回る強さを発現する。木材は吸湿による変化や、部材ごとの品質ばらつきがあり、それも改善できる。

まとめ

木材という天然材料には強いものが生き残ることで淘汰されてきた知恵が詰まっている。一方で、木材には天然ゆえの限界があり、適切に設計することで性能を最大限まで引き出せる。そうした取り組みが始まっている。

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