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炭素繊維とイノベーションのジレンマ

炭素繊維にはレギュラートウとラージトウという形態差があり、これらの観点から「イノベーションのジレンマ」に基づいて、新製品の導入と既存製品の維持に関する戦略的課題を考察してみる。


レギュラートウの既存市場

レギュラートウは、従来の炭素繊維の使用分野で成功を収めてきた。
既存市場への製品提供は安定しており、収益を安定化させている。
技術的には成熟しており、競争が激化している。

ラージトウの新市場

ラージトウは1990年ごろから本格的に新興メーカーが開発を進めてきた。物価の低い立地で既存の設備を転用して安価に提供した。
当初は性能が低く、用途も見つかっていなかったが、2004年ごろから風車用途が爆発して成長を開始した。
2012年ごろには市場全体の20%まで成長した。

ジレンマの解決策

この場合には新市場にある程度は賭ける必要がある。日本企業もさまざまなラージトウ開発は進めていた。新市場を侮るのは非常に危険という認識だった。
そのとき、ラージトウで世界一の企業が創業者の高齢化で売却を進めていた。既存市場のリーディングカンパニーがラージトウ企業を買収し、幅広い商品形態を提供できるようになり、かつ、既存市場での技術など多面的なリソースを融合させることで市場全体の拡大を加速させていった。
考慮すべき点として、文化、組織、技術の統合がうまくいかないこと、統合を急いで新市場の良さを失うことがある。

炭素繊維にはさらなる新市場の出現が想定され、その際の適切な対応が重要と思われる。

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