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おぞましい二人


「もう何年も本の中で子どもたちを殺してきた」

これは今回紹介する本の著者エドワード・ゴーリーの言葉です。

ゴーリーは、1925年にシカゴに生まれ、独自の韻を踏んだ文章と、独自のモノクローム線画でユニークな作品を数多く発表しており、エドワード・リアやサミュエル・ベケットらの作品の挿画、劇場の舞台美術なども手がけています。幻想的な作風とアナグラムを用いた(Ogdred Wearyなど)ペンネームを使い分けてたくさんの私家版を出版し、多くの熱狂的コレクターを生みだしました。(あとがき参照)
そんなゴーリーが、現実に起きたある悲惨な事件によって心底動揺させられます。その出来事とは、「ムーアズ殺人事件」と呼ばれる連続殺人事件です。1965年に明るみに出たこの事件は、イアン・ブレイディ、マイラ・ヒンドリーという男女が、4年にわたり5人の子どもを残虐に殺して荒野に埋め性的暴行を加えたとされています。
その陰惨な出来事が頭から離れず、物語にせずにはいられないというゴーリーの思いから『おぞましい二人』が完成しました。
「五歳のとき、ハロルド・スネドリーは病気の小動物を小石で叩き殺しているところを見つかった。」という書き出しから始まるこの作品は、事件のルポ形式ではなく、ゴーリー自身が想像(創造)したフィクションです。

体感温度18度の冷たくて残忍な世界をお楽しみください。


『おぞましい二人』
著者:エドワード・ゴーリー
訳者:柴田元幸
出版年:2000年
出版社:河出書房新社

書評担当 ふみくら倶楽部 5代目部長 まい

皇學館大学附属図書館 蔵書検索

http://opac.kogakkan-u.ac.jp/csp/carin/smp/CARsmpSRC11003.csp?SeqNo=1


版元ドットコムhttps://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784309268002


追伸
昨日の書評担当は、4代目みか部長の最後の書評でした。3年間お世話になった面倒見の良い先輩が卒業して、いなくなってしまうのは少しさみしいし、心細いですが、先輩に「また楽しそうなことしてるな」と思ってもらえるような活動をしていきたいと思います!先輩今までありがとうございました!卒業してもまた遊びに来てください!さようなら!




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