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戦場からビジネスへ:SaaS時代におけるデータ連携の進化


パランティア テクノロジー

ご存知の方も多いと思いますが、パランティア テクノロジー(Palantir Technology)という会社があります。イーロン・マスクも一時期CEOを勤めたペイパルの創設者であるピーター・ティールという人物が2008年に設立した会社です。

「AI(人工知能)を基盤にしたオペレーションであらゆる意思決定を支援」と銘打ち、サービスを提供しており、主要な顧客は、民間企業もありますが、米軍、米政府などです。日本ではSOMPOが2019年にパランティア テクノロジーズ ジャパン株式会社を合弁で設立しています。

パランティアの製品の特長は、様々な場所から発生するデータを統合し、AIを使って分析し意思決定を進めるものです。

システム間連携という潮流

SaaSでも多くのアンバンドルされたサービスをリバンドルする「コンパウンドスタートアップ」という流れがありますが、基幹システムとその周辺システムも既に非常に普及をしており、複数のシステム間での多元的なデータ連携の必要性が「コンポーザブルERP」などの概念を生み出しています。

完全につながっていないシステム間でのデータ連携の要諦

一方、パランティアがサービス提供の対象としている戦場では、基本的にシステムは様々な制約で完全に同期させることはできません。そうした中で彼らがどのようにデータ連携を実現してきたのか、その会話の中でこのパランティアの動画はわかりやすくデータ連携の標準化の本質を説明しています。

CEOのKarpは、冒頭で「Palantirは戦場におけるバックエンドシステムを構築した」と述べていますが、以下のコメントを踏まえると「バックエンドシステム」はデータ連携プラットフォームと読み換えてもよいかと思います。

動画の中では、分散したシステムをつなぐ要諦を以下のように説明していますが、これは、グローバルサプライチェーンで企業間で分散し、同期しない多元的なシステム間でのデータ連携とも多数の共通点あると感じます。

・分散したシステムにつなぐには、異なる体系のデータを互いに解釈し「翻訳」する「共通言語」が必須
・同期していないシステム間でイベントの時系列をマネジするVector Clockが必要
・データ更新に際して、スナップショットと差異データを明確に区別し両方に対応し、変化を分割した最小単位(“atomic-unit of change”)をマネジ
・バックエンドを基礎にフロントエンドを磨き込む
など

産業を超えて進むデータ連携

Karpは2008年当時は自分たちが「完全にアウトサイダーだった」と述べており、軍事領域ですらデータ連携がソリューションとして認知されるまで時間がかかったことを示しています。しかし、2008年時点で、軍事でもそうしたデータ連携の標準プラットフォーム化に需要があると、少なくとも彼らは想定していました。

例えば、インターネット技術も最初は軍事目的で開発されたものであり技術が転用されました。民間でのデータ連携プラットフォーム自身はインターネットのような軍事技術の転用ではありませんが、パランティア自身は自社でこうした軍事技術を民間に転用してサービスを展開しています。

軍事のような極端な環境下で、極度に正確性や可用性が求められる領域で実用化されるサービスは、民間でも同様のニーズが一般化されてイノベーションとなる傾向はあるかもしれません。

パランティアが見出し実用化したことは、軍事とビジネスという異なる領域で「多元的なデータ連携と、その標準化」が同時に進んでいる例といえます。


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