今日の本

『モンテレッジォ小さな村の旅する本屋の物語』
（内田洋子 著　方丈社　2018年）

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イタリア・トスカーナ地方の山奥の村モンテレッジォにかつていた本の行商人を追ったノンフィクションです。山奥から本の行商を行っていた人々を知った経緯から、その歴史、中世、文学賞、現代の本屋。人々の物語をもとに枝葉に広がっていく世界を、静かに心穏やかに楽しめます。

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この本は内容はもちろん、装丁もレイアウトも素晴らしくとても印象に残った本です。

この本にはたくさんの写真が挿入されていて、3ページ読むと、左側に写真がきます。写真は必ず見開き左側に配置されており、とん、とん、とん、ぱっ、というようなリズムのあるレイアウトがお見事だなあと思います。使われている写真はInstagramのような印象をもつ、写真そのものが語っているようなものばかりで静かにそっと本文を引き立てています。

本のカバーを外すと、山深い青々とした木々に囲まれたモンテレッジォ村の全貌を見ることができます。カバーは本体より少し短くなっていて、ぱっと見では大きめの帯なのかと思いました。しかし、バーコードの印字があることからやはりカバーです。つまりは、カバーを外して欲しい、本体を見て欲しいという意図があるのだと思われます。

もともと、わたしはカバーを外して本を読む習慣があります。ですので本体そのもののデザインも目に入ります。多くの本はカバーを外すと安っぽくなるのが相場です。カバーと同じデザインを色数落として印刷しているか、真っ白で何もしていないか、がほとんどです。稀に本体にもしっかり投資されている本と出会えると本当に嬉しくなります。

巻末にYouTubeへのQRコードがあり、読後の余韻に浸れる粋な計らいがあります。

中も外も美意識に包まれたほんとうに素敵な本です。

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この本は本屋で散歩をしているときに出会った本です。時にこういう出会いがあるので本屋さんでの散歩をわたしはやめられないのです。