介護サービスを使うまでに必要な手続きについて
はじめに
介護はある日突然やってきます。
昨日まで「自分には関係のない話だ」と思っていたとしても、あなたのご両親が今日入院するかもしれません。
今日ではなくても明日かもしれません。明後日かもしれません。
「介護」と向き合わざるを得ない日は、ある日突然やってきます。
そんなときにどういう流れで手続きを進めればいいか、なんとなくでも知っておくことはとても大切です。
なんとなくでも知っておくことで、良いサービスを選択できる可能性が高まりますし、介護が必要になってから実際に介護を受けるまでにかかる時間を大幅に短縮することができるからです。
まず知っておいてほしいのは、介護サービスを受けるためには「要介護認定」が必要になることです。
そして、認定には時間がかかります。
目安として早くても申請してから1か月~1か月半くらいはかかります。
(私の父の場合は2か月かかってしまいました。。)
想像してみてください。
ある日、あなたのお母さんが病気で倒れてしまったとします。
お母さんは自宅で一人暮らしです。
あなたの他にはお母さんのお世話をできる人はいません。
仮にすぐに要介護認定の申請をしたとしても、認定が受けられるのは1か月後です。
あなたにも仕事があり、家庭があります。
でも、お母さんのお世話もしなければなりません。
認定が出るまでの1か月間、どうすればいいのでしょうか?
仕事を休みますか?
1か月も仕事を休むのは現実的じゃないですよね。
子どものお世話はどうしましょうか?
代わりにやってくれる人なんていませんよね。
そうなのです。
介護が必要になったら、必要になったその日から対応が必要になるのです。
そして、それはどう考えても自分一人では無理なのです。
誰かの手助けが必要なのです。
そんなときは助けを求めなければなりません。
行政の力、介護事業者の力を貸してもらうのです。
そのための第一歩になるのが、「要介護認定の申請」です。
1. 要介護認定とは?
要介護認定とは、対象者がどの程度の介護を必要とするかを7段階の数値で表したものです。
(いちばん軽いのが「要支援1」、いちばん重いのが「要介護5」です。)
要介護認定が出ると、介護施設に入居したり、自宅でヘルパーさんによる介護サービスを受けたりできるようになります。
介護サービスには本来であれば高額な費用がかかりますが、介護保険を使うことで1〜3割の自己負担で受けられます。
自宅のバリアフリー化工事も、介護保険を使って格安でできるようになります。
2. 申請はどのようにすればいい?
要介護認定の申請は、地域包括支援センター(以下「包括」)を通してすることができます。
本来であれば必要な書類をそろえて市役所の窓口で申請が必要なのですが、それを包括が代行してくれます。
まずは最寄りの包括に電話して、相談してみてください。
なお、申請には介護保険被保険者証が必要になりますので、今のうちにご両親の被保険者証がどこにあるかは聞いておかれることをおすすめします。
3. 申請から認定までの流れは?
簡単に言うと、以下のような流れになります。
市役所から認定調査の日程について連絡がある
調査員による認定調査
認定の通知
こういう流れで手続きが進むということだけでも、覚えておかれることをおすすめします。
4. 認定調査の重要性
認定調査は超重要です。
この調査によって、要介護度が変わってくるからです。
ざっくり言うと、介護度が高い方が受けられる介護サービスのレベル・頻度が上がります。
介護度が低いと、必要最低限のサービスしか受けられません。
仕事や家事・育児で忙しいとは思いますが、この認定調査だけはなんとしてもあなたも立ち会うことをおすすめします。
理由は3つあります。
(1) お年寄りは自分をよく見せようと頑張ってしまうから
普段は立ち上がるのも苦労したり、歩くのもおぼつかないような方でも、認定調査のときには自分をよく見せようと頑張ってしまうものです。
調査員から「〇〇で困っていませんか?」と聞かれても、「いや全然大丈夫ですよ!」とやけにハキハキと答えてしまったりします。
調査の時に無理に頑張ってしまうと、「この人は元気で、自分のことは自分でやれる人だな」と判断され、要介護度が低く出てしまうことにつながります。
あなたがちゃんと目を光らせておいて、普段以上に自分をよく見せようとするご両親の気持ちをセーブしてあげることが大切です。
(2) 調査員と直接話をして、詳しく状況を説明できるから
基本的には調査員が介護を利用することになる方にいろいろと質問したり、心身の状況を確認したりすることで、要介護認定の判断がされるのですが、あなた自身から見た普段の様子を調査員に直接伝えることも大事です。
上で書いたように、調査の時にご両親は普段よりも自分をよく見せようとする傾向があります。
しかし、「いつもはこんなことに困っている」「自分でできるのは実際はここまでの範囲だ」といった本当の姿を調査員に説明することで、認定調査のプラスになることがあります。
私の場合は、両親の普段の様子や困っていることをA4 1枚程度にまとめて、それを見せながら調査員に説明しました。
幸いなことに、私の場合は調査員がすごく親身になって話を聞いてくださり、私が説明したことを調査票にちゃんと記載してくれました。
(3) 調査員から今後の生活に関するアドバイスがもらえるから
これは調査員によるところも大きいですが、調査員から今後の生活に関するアドバイスがもらえることがあります。
私の場合は、調査員・親・自分の3人での面談が終わった後、調査員と2人で話す時間をとってもらって、上で書いたように紙を見せながら状況を説明し、それについてアドバイスをもらいました。
それまでは「介護=施設入居」というイメージが強かったのですが、
「自宅でヘルパーさんに訪問してもらって、掃除や料理をしてもらったり、身の回りことを手伝ってもらう方法もありますよ。その方が親御さんの自立にもつながりますし、コストもだいぶ抑えられます」
といったアドバイスをもらいました。
また、母の調査時に、手足の爪が伸びたままなっていることを気にかけ、入院していた病院の看護師に「ちゃんと爪を切ってあげてください」と言ってくれたりと、大変ありがたい対応をしてくれました。
終わりに
今日のまとめです。
介護サービスを受けるためには、要介護認定が必要になる
要介護認定の申請は地域包括支援センターが代行してくれる
認定調査にはなんとしても立ち会おう
この3つをなんとなくでも頭に入れておいて頂ければ、いざ介護が必要なったときの初動がぐっとスムーズになりますし、ご両親が望む介護サービスを受けられる可能性が高まります。
完全に覚えておく必要なんてもちろんありません。
でも、もしよかったら頭の片隅に置いておいてくださいね。
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