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不登校支援の仕事の記憶を一旦切り離して未来の角度からアプローチしようと思っている

私はだいたい8年位、通信制高校の嘱託講師やサポート校の仕事をしていた。結果、どんどん分裂縮小していってしまい、生活苦から離脱した。失敗だった。営業努力不足などその一端が自分にあることは認める。しかし正直あれ以上頑張るのは無理だった。
気持ちが入っていかない仕事はどうやったって無理だ。気持ちが入らなくなった理由はいろいろある。この手の社会貢献をテーマにすると近づいてくる胡散臭い有象無象に本業と関係ないことで翻弄されたり、具体的なプランのない行き当たりばったりの募集、意見の相違、それでも途中でケツをまくったと思われるのが嫌で3年ほど我慢したが、限界だった。誰も来ない部屋で丸一日電話番をする数ヶ月の日々の辛さは今思い出してもきつい。

当時、親しい友人に相談もした。
「ここまで考えている人がやめるのはもったいない。なんとか支援者を続けられないか」
「いやもうそれは破綻しているから次の道に行ったほうがいい」
総数としては後者のほうが多かったが、前者の意見は実際に私が働いているところを見に来てくれた人が多かった。

そもそも、最初は一つの大きな組織だったのだが、古巣は分裂に次ぐ分裂で最終的に離脱する側がもとの生徒をまるごと引き抜いて瓦解、消滅。一方こちらはというと、超小規模でやっていた。本業があってついでに余力で、ならできなくもなかったが、残念ながら逆で、すでにジリ貧だった。ちなみに私は経営者ではない。雇われだった。

他に講師の仕事やフリーで請け負う仕事もやっていたが、どれも中途半端に行き詰まっており行き帰りのガソリン代にも事欠くようになった。30歳を過ぎて一体何をやってるんだ。ここには書けない悔しいことがいっぱいあったが、自分ひとりの力ではどうしようもないことが多すぎた。若者支援のために、と思っていたが、逆だった。

まず自分がしっかり体力を蓄えた上で、手を差し伸べるべきだと。

そして仕事はニーズのあるところにしかないというごく当たり前のことをちゃんと自分の行動に落とし込むこと。

さらに低すぎる自己肯定感から、自分がお金をいただくことに対する心理的な壁を作っていたが、これもぶっ壊すことにした。

昨年身軽になった私は、それまでにやっていた専門学校の講師の時間枠を増やしてもらえるように働きかけ、当面周りに迷惑をかけずに生きていけるようになった。それまで至らないながらも努力していたのが認められたようで嬉しかった。なにより、働いたぶんだけ、ちゃんとしたお給料が振り込まれるありがたみを感じざるを得なかった。今年度は驚きの週20コマである。これはPC演習の授業も多いので工夫すればこなせる。全部座学だったらちょっとしんどい。いろいろわがままも聞いてもらえるようになって、環境も改善しつつある。ただ、けっこうしんどい。クオリティを高めつつ自分自身のモチベーションを上げていく色々工夫が必要だ。

他に、進退を相談していた相手から
「君、コンサルとか向いてるんじゃない。いろいろウチの相談に乗ってくれてるし、ウェブできるじゃん」
とアドバイスを貰っていたが、これもほそぼそウェブ屋をやっていたから実力がないなどと言い訳していた自分をぶっ壊すことにした。ウェブデザイナーはたくさんいるけど、ウェブコンサルタントはまだまだ魑魅魍魎の世界で、またスケールメリットの活かせる業界にしか浸透していない。圧倒的に人材が足りていないのだ。これなら今からでも目指せるし、いろいろ経験した知識が役に立つ。そしてグーグルアナリティクスやグーグル広告を学んだ。SEOなどはもともと基礎知識を持っているので、Wordpressを勉強し直すなどした。

そして今年は同僚の経営コンサルタントの先生に誘われてチームを編成した。実際にプロジェクトもやった。これは大きなターニングポイントになると思っている。パートナーが圧倒的に強いからだ。そこから認められたことだけでもこの10年の苦労が報われたような気分だ。
個人でも、20代前半朽ち果てていた駄目な自分を知っている複数の企業から依頼があって、いっぱしの顔でウェブコンサルティング顧問兼実務部隊としてウェブマネジメントに携わらせていただいている。本当にありがとうございます。
しかも、どの社長も、「短期的な結果にこだわりすぎるな。長く君と付き合っていくんだから長いスパンで育てていこう。必要なものがあればいつでも言うといい」とおっしゃるのである。その存在がもう尊すぎて、人生の財産である。報酬も大事だけどそれ以上に大事なのは経験とノウハウの蓄積だ。

そこで私はまた気づいた。

コンサルティングは、不登校の若者支援と、必要な能力は一部で共通しているということだ。決してクライアントを煙に巻いて予算を引っ張り出す能力ではない。

毎月レポートを送るだけの退屈なコンサルティングはやりたくない。現場に行き、話をし、笑いを交えながらアイデアを加速し、解決策を一緒に考える。やったことを振り返って次に活かす。クライアントのメンタルを支えて応援する。そういったことは不登校若者支援とエッセンスは非常に似通っている。実際ウェブと言っても、ウェブデザインの話だけすることなど殆どない。大抵、ウェブと関係ない社内の物事の相談を聞いたりもする。20代を半職半ニートですごしたような私のアイデアが役に立つというのは単純に嬉しい。

私が企業活動や教育現場で誰かの役に立つと、より大きなスケールにそのエッセンスが拡散していく。それだって立派な社会貢献だし、それを実感できるようになったことがとても良かった。

別のポストで書こうと思っているが、不登校支援界隈には残念ながら、収益を求めて頑張ろうとすることを金に汚いと評価する人たちや、その逆にがむしゃらに頑張れば成功できるんだからお前ら不登校でも頑張れな人たちがうごめいていて、結局当事者を傷つけているだけだったりする。さらに、不登校に対応した学校は産業化し、聞こえのいいことで生徒を釣ってろくに勉強も教えないまま卒業させるような学校もでてきている。不登校のカジュアル化も相まってめちゃくちゃ危険なことになっているのだ。

しかしこれについて「市場」から駆逐されてしまった私はただの敗者である。しかし敗者のままでいては、唯自分が怠惰であったから事業の足を引っ張って失敗したという評価で固まってしまう。それだけは絶対に阻止したい。俺だってやればできる。俺の考えていることは、考えてきたことは意味があることなんだ。と。

だから私は自分が得意なことで社会に自由に関わって、それがスケールアップしていった暁にはまた悩める若者とともに一歩を進めるようなことをしたいと思っている。

ITによっていろんな働きかたが生まれている。学校に行けない時期があっても、学んでいればまたいろんなチャンスが有る。理想論的だが、例えばウェブの仕事でバックヤード部門を作れば、テレワークだってできるだろう。オフィスの家賃がいらないし、今どき通信費も殆どかからないようなものだ。飲食業でも、一昔前のような過剰接客ではなく、違うあり方もいろいろ提案されている。こういう社会の匂いの変化に、私もついていきたいし、いろんな社会との関わり方を悩める若者に示していきたいと思う。

人口減、移民と少子化、いろいろ不安要素がいっぱいの未来、より働き方、Quality of Lifeの充実が求められるだろう。経済的にも不安要素だらけだし。生き方や幸福を支えるプラットフォームやコミュニティがいろいろ出てくるだろうが、私もそういう試みができるだろうか。

もっといろいろ経験を積んで、びくともしない自分になるために、過去のめんどくさい記憶は一旦捨てて、やれることにはいろいろ取り組んでいこう。

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