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『The cup of… 響き合うお茶と私とあなたのいのち』前田千香子

昨年、これまでnoteに書いてきたマガジンをもとに、『日日是MAKE TEA NOT WAR』というZINEを作成しました。
おかげさまで細々と売れております。
まだまだ在庫ありますので、是非是非どうぞ。

このZINEを作るきっかけであり、20年来お世話になっている我がお茶の師匠、焙茶工房しゃおしゃん主宰の前田千香子さん(以下しゃおしゃんさん)がこの度、本を出版されました。盛岡のふだん暮らしを紹介する「てくり」を編集・発行しているまちの編集室さんから発売されています。

20年以上前、語学教室で開催されたしゃおしゃんさんのお茶会で初めて飲んだ千年古茶の味は今でも忘れられません。プーアル茶の水色が黒に近いものばかりでもなかったり、中国大陸には千年近く生き続けている古茶樹があることも、このお茶会で初めて知りました。また、当時手がけられていた白葉單欉も実に美味で、もう既に飲み切ってはいるのだけど、非常に忘れられない思い出を作ってくれたお茶でした。

中国茶の焙煎と販売からスタートしたしゃおしゃんは、岩手県気仙地方で長らく自家消費用として飲まれてきた太平洋側北限のお茶である気仙茶の製茶と焙煎・販売と合わせて、日本国内の自然栽培茶園のお茶の焙煎も手掛けられています。

よいお茶は、自らの体で感じてよいと思ったもの。つまり「身体性」を大切にして選ぶというのがしゃおしゃん流。毎月のお茶会では、茶杯のお茶をひと口含み、飲み込むまでにどう感じるかを見ている。焙煎をかけたお茶は市販やペットボトルの緑茶とは違い、体に優しく染みていく。その感覚を大切にし、ご一緒する皆さんと感覚をシェアして楽しく分かち合う。日頃忙しい中でも、お茶を飲んでホッと一息つけることがいかに大切であるか、ということをお茶会で考えさせられますし、本の中でもお茶会に参加された皆さんの意見や思いが綴られています。初めから最後までうんうんと頷きながら読みました。

2月にはこの本の出版を記念して、盛岡市中央公園BeBA TERRACEにある鉄瓶工房&ギャラリーSUNABAにて、「お茶を聴く展」が催されました。
そして気仙茶を試飲するお茶を聴く会も開催されたので、参加しました。

SUNABAを経営するkanakenoさんの告知記事を貼っておきます↑

当日は雪。寒い思いをして歩いてきた後に、趣のあるギャラリーで飲むお茶は暖かく、いい余韻のある味わいでした。

当日のお茶セット。煎茶も工夫茶スタイルで淹れてもらいます
1種類目の気仙茶。聞香杯につぎ分けてふるまわれます
2種類目の気仙茶
昨年(2022年)の気仙茶
次の気仙茶は2008年モノ。この年のは私も摘みに行ってます

ここ2年は制限が入って気仙茶摘みには参加していないのですが、新茶を飲むと5月下旬の大船渡の茶畑を懐かしく感じます。
もちろん、15年前のお茶も同様。
ご一緒に参加された方のお茶へのコメントも興味深く伺い、いつものお茶会とはまた違った雰囲気で飲めるのが実に楽しかったです。

千年古茶や気仙茶、現在販売されている和紅茶や釜炒り緑茶等、これまでの20年間で様々なお茶をいただいてきました。その味わいや飲み口、体への染みわたり方等を感じながらの飲み方、どれも印象深いものばかりです。何よりも、日常でお茶を飲む重要性を、この本のエピソードや自分自身のお茶への向き合い方から改めて考えさせられました。
今後も折に触れて、この本を読み返すことになるでしょう。

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