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ツール・ド・やさぐれ2019

4月の本まっち柏から、11月の浜藤古本市まで、書局やさぐれこの1年の出店の軌跡。

一箱古本市に出店し始めて今年で8年、ZINEを作り始めて7年、屋号を現在の名に改めて5年と、思えばいろいろ試行錯誤してきたと改めて振り返ることができるくらい、活動をしてきました。特に今年は一箱及び即売イベントに6回も参加することができました。旅や映画祭で飛び回っている自分としては、結構よくやったなという回数です。
気がつけば今年もあとわずか。今回はやさぐれ店主として、今年の出店を振り返ります。

本まっち柏(4月21日)

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店主が高校・大学を含めた8年間を過ごし、現在の実家からも近い千葉・柏で2012年から実施されているブックイベントです。ここしばらくは春が柏3丁目を会場に1日で実施する「本まっち柏」、秋から冬に出店数を絞って複数回実施する「あっちこっちで本まっち」となっていますが、店主は2年前の秋、昨年の春と出店してきました。
昨年春の実施日は気温が高く、ほぼ夏日の中での開催で、人通りも予想以上に少なかったのですが、今年は穏やかな天候に恵まれ、楽しく参加できました。千葉在住で長いおつきあいになっているtwitterのフォロワーさんにも久々に遊びに来てもらえました。
今年は、日本人と台湾人のご夫妻による草悠書房さんと出会えたのが嬉しかったです。両岸三地だけでなくシンガポールやマレーシアで出版された華文書籍を専門に取り扱われているのですが、雑誌とZINEが主力になりつつあるこちらとは重ならないラインナップでしたし、台湾に行っても買えなかった「制服至上」があったので、ゲットしてきちゃいました。
千葉県内の古本イベントではkamebooksさん主催の西千葉一箱古本市や佐倉城下町一箱古本市が有名ですが、店主の実家からは遠いし、イベント参加以外に予定もいろいろ入っているので、なかなか参加はできません。大型連休時には一箱古本市のオリジンである不忍ブックストリートがあり、店主も2015年に参加しましたが、その後は日程が合わなかったり申込みに出遅れてしまったりで参加はできていません。
出張参加もいろいろとありますが、今の時点では春の本まっちが一番参加しやすい場所とスタイルにあるので、来年も参加を考えております。

第4回文フリ岩手(6月9日)

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第1回から友人のサークル「透明度」とダブルネームで参加しているのが、東北初の文学フリマである文フリ岩手。諸事情により友人の不参加が続き、今年も1人参加となりました。
毎年コピー印刷の新作ZINEを1冊作っていますが、いつも開催1週間前になってバタバタと作るというのが続いていました。今年は香港に行った時点でテーマを決めていたので、先行してnoteで有料マガジンとして発表し、写真や多少の加筆訂正を施したものを本にまとめました。新刊もたくさんの方に見てもらえましたし、フォロワーさんや既刊を購入していただいた方にも再会できました。小説や詩歌が多い(岩手は特に後者が多いとのこと)ブースの中で比較的マイナーなノンフィクション(旅行記と映画。しかも岩手はあまり関係ないし)を扱っているのでニッチなのはこちらも十分承知。それでもいろいろと勉強になります。かつて店主は岩手最大の同人誌即売会だった岩漫にも透明度で参加していましたが、その頃を思い出しながらも時代は変わったと思ったものでした。
また、今年は文フリの常連さんや地元サークルさんの知り合いも増え、以前別イベントでお世話になった歌人のくどうれいんちゃんにもごあいさつできました。
そして、今までどこにも言えなかったのですが、もう半年経った今だから小さな声で言います。…実は職場の元関係者がサークル参加していました。(これでもかなりぼかして書いています。しかも本人から声をかけられるまで気づかなかったという大失態)ええ、一番イヤなのは身バレですね。正直言えば職場にはバレたくないです。それでも職場の先輩にある時「(文フリ)行ってるでしょ?」と言われることもあり、その場は苦笑いしてやり過ごしましたが。
こんなことも含めて、今年の文フリ岩手では、いろいろと今後の活動について考えていくことができ、やりたかったことに思い切りをつけることができました。来年ももう募集が始まっていて、早速申し込みましたよ。

第4回浜藤古本市(7月13・14日)

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初回から一箱仲間のかまねこさんわかば図書館のえりちゃんが参加していて、いいイベントだと評判を聞いていたのにも関わらず、開催時期が春の旅行時と重なってこれまで参加できなかった地元の古本イベントが、2018年春からもりおか町家物語館の浜藤ホールを会場にして行われる浜藤古本市。後で触れる石巻一箱の1週前でしたが、2日間フルで申し込んでしまいました。
盛岡のブックイベントとしては2011年から地元をテーマにしたリトルプレスてくりの編集元であるまちの編集室が中心となって開催していた「モリブロ」がありましたが、2015年以降の実施がなくなったため、その後しばらくは後述する石巻以外の古本イベントには出なくなりました。そんな時期が続いたのですが、ここ2年ほどで参加できる新しいイベントが増えてきたのは嬉しいのでした。
屋内開催でスペースが会議用テーブル1台分(広い!)というこのイベントは一箱とはまた違うのでしょうが、桜山の飲み屋さんやカフェの常連さんから学校の先生、街の生き字引のような店主さんなど、市内の皆様による様々なアマチュアの本屋さんに出会える楽しさがありました。古老の店主さんから戦後台湾から盛岡に移住した医学生たちのお話がうかがえたのは良い収穫でした。
もう一つのお楽しみは県内のカフェやベーカリーによる出張販売があること。近隣にカフェ等があまりない場所(とはいえお隣にスーパーマーケットはある)だからか、イベント限定で出店が入るので、ランチを用意しなくてもいいのは助かります。(まあ、早く買わないと売り切れちゃうのですけどね…)
市内開催なので気楽に参加できるのは嬉しいのですが、会場が市街地の南側にあるため、北の端っこにある店主の自宅からは歩いて50分くらいかかることがわかりました。地元の皆さんは車を使うのですが、店主は車持ちじゃなかったので、行き帰りの移動が大変でした。それを引いても楽しいイベントでよかったです。

第8回石巻一箱古本市(7月20日)

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2012年の第1回から欠かさず参加している石巻も、今では東北最大の一箱古本市となりました。
もともとは不忍ブックストリートを母体として震災復興援助を目的に結成された一箱本送り隊によって始まったイベントですが、2014年からは石巻まちの本棚が中心となって行われています。
この一箱も東京や東北各地のガチな一箱店主たちが集まるため、こちらとしては毎年参加しながらもひたすら恐縮してしまうのですが、行くたびにお会いできる人や新たな出会いを呼ぶこともあるし、これまでもいろいろと転換点になる経験もしているので、毎年参加することを心がけています。
今年は台湾や香港で購入したZINEを石巻を旅行している台湾人のお客さんに購入してもらえたり、ご主人のお仕事の都合で香港にしばらく住んでいたというお姉様に出会えたり、打ち上げではまちの本棚のオーナーである元書店オーナーさんとお話できたりといろいろありました。
石巻は震災前から好きな街で、石ノ森萬画館はリピートして通っていたので、震災のときには心から心配しました。毎年通っていると市内の変化が大きく、それを見る楽しみも感じています。
今後もできる限り、参加していきたいイベントです。

ブックハンターセンダイ(9月8日)

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今年始め、twitterのタイムラインに流れてきたのが、このブックハンターセンダイの開催決定と出店募集のお知らせ。サイトによると、文フリの岩手定着と各地の文芸イベントに触発されて企画された仙台発の文芸イベントのようで、一箱古本市とインディーズブックバザール(文フリタイプの創作文芸即売会)の2種で出店を募集していました。一箱での参加も考えましたが、販売するZINEのラインナップも増えてきましたので、ブックバザールの出店を決めました。
仙台西公園に近い会場の1to2bldgは、3階と4階がギャラリーになっているビル。一箱とブックバザールでそれぞれ1階ずつを各会場に宛て、簡易机の狭いスペースでお店を広げました。混雑してて移動が大変そうとも思ったのですが、出展ブースの狭さ故か、並びの店主さんとお話する機会も多く、いろいろと勉強になりました。文フリにも参加されたサークルさんとお話していたら、文フリ岩手は俳句や短歌、詩集の出品が多いというのもなんとなく納得行った感もありました。
当日、楽しく出店できたのは良かったのですが、開催直後に懸案事項が発覚しました。幸い主催者側の対応が早かったのはよかったです(詳細は記しません。上記リンクを見てください)初のイベントだったのでいろいろと問題はあるのでしょうが、これを教訓として、次回も開催していただければ幸いです。
コミケも行けず、全国の文フリ&創作文芸イベント周りができない身として、東北でこのようなイベントがあることは貴重なことですからね。

第5回浜藤古本市(11月17日)

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なんと、今年は3回も実施された浜藤古本市。全国各地の一箱イベントのピークも過ぎ、出店納めには丁度いい頃の開催でした。しかし1日目は出勤日…。出店料は両日参加の方が安くなるのですが、それでも他の一箱出店料よりは実は安いので、申し込みました。
しかし困ったことに、古本は売れ残りばかり…。ブクハンで増刷したZINEの在庫メインで売ることにしましたが、ちょうど香港情勢で大きな動きも合ったことから、香港テーマの本を探してメインに据えることにしました。
こちらでも、常連の店主さんたちにお会いできたり、以前モリブロのイベントでご一緒したご近所のS先生が初参加されたのでご挨拶できたり、9月の藍色夏恋上映会に参加された方にお会いできたりと、今回も楽しく過ごせました。
お楽しみの飲食物販はおむすびと糀スイーツを扱う喫茶喫酒 六花さんと、花巻の春隣cafeさん。それぞれおむすびと豚汁を購入して美味しくいただきました。
来年の浜藤は夏(7月)と秋(11月)の2回開催となるそうです。地元で開催される古本市ほど参加するにも遊びに行くにも嬉しいことはないので、来年も参加いたします。

来年に向けてのやさぐれ

今年もあと僅かになりましたが、今年はいろいろ慌ただしくもこれだけのイベントに参加でき、新しい出会いも多かったのはとても嬉しいことでした。これに加えて、今年もCyg開催のART BOOK TERMINAL TOHOKU 2019にも作品を出品いたしました。こちらはCygのオンラインショップで通信販売も行っております。

そして来年は、古本も売りながら本の執筆に力を入れていくことになります。実はすでに来年の文フリ岩手の募集がかかっているので申し込んだのですが、どさくさに紛れて文フリ東京の出店も申し込んでしまいました…。
来年はコミケも某巨大イベントの影響を受けて春に開催されることになり、その影響で文フリ東京もかなりの申込数があるそうですが、果たして無事に出店できるのでしょうか、やさぐれは…。
そして新作ですが、はい、一応水面下では複数の企画が進行中です。なんとか実現に向けて励んでまいりますので、来年もよろしくお願いいたします。


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