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「アルジャーノンに花束を」読んだ。ネタバレ有り。

「アルジャーノンに花束を」読んだ。
あらすじは以下。

32歳になっても幼児の知能しかないパン屋の店員チャーリイ・ゴードン。そんな彼に、夢のような話が舞いこんだ。大学の偉い先生が頭をよくしてくれるというのだ。この申し出にとびついた彼は、白ネズミのアルジャーノンを競争相手に、連日検査を受けることに。やがて手術により、チャーリイは天才に変貌したが…

知能は低いけど、優しさ、素直さを持ってる男の話はそもそも好き。フォレスト・ガンプとか、アイアムサムとか、トゥルーマン・ショーもかな?セカオワのMAGICにも個人的には同じ雰囲気を感じている。だから本作も楽しめた。

白痴が知能を得て、今まで知らなかった概念に気付いたり悩む過程は、哲学的だった。例えば、正義とは何か自問自答して苦しむシーン。自分で考えて出した行動は見事だった。

個人的には、フェイが好き。ああいう明け透けな女性に救われる時期があるのは、なんか分かる。
フェイの、部屋を構成する直線が目立つような無機質な部屋にいるのが嫌で、物を散らかすことによって直線を「ぼかしている」って考え方が、ミニマリストが優れていると思っている私にとっては新鮮な価値観だった。

チャーリーは白痴→天才→白痴と、最後には白痴に戻ってしまうんだけど、自分が白痴になっていくのを自分で明確に分かっているのはとても怖いだろうなぁ。テレビでやっていた、筋肉が衰えていって最後には寝たきりになってしまう今のところ不治の病になってしまった人が、安楽死に至るまでのドキュメンタリーを思い出した。その人は自分の尊厳を守るために安楽死を選択していた。

ハッピーエンドではないから、チャーリーは幸せだったのだろうか、と考えさせられる。天才になって色んなことを経験したり知れたりしたけど、人間の醜さや孤独も知って、天才時代はそんなに幸せには見えないな。むしろ白痴の時代の方が幸せそうに見えるような、そうでもないような。。

少なくとも、唯一の理解者であるアルジャーノンがいて良かった。

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